#69 能力の神化
伝操統術って確か…敵対者だよな。
どれどれ…物語の相手であり好敵手の役職…?
あいつの敵だったってことが関わってるのか。
能力内容は…
・操る。
・能力を強化する。
…これだけか?
まぁ、まだなにかあるかもしれないし、楽しみにとっておこう。
あと、こんなのまで着いた。
――契約の絆――
シフリスにも同じのがあるようで。
まぁ、名前の通り、契約を示すものだろうな。
ちなみに、シフリスも能力が変化して、ただでさえ強かった時空跳躍が、世界超越に――
「ちょっと、なにその姿!?この反応…神格者になったの?どうやって!?」
相変わらず五月蝿い奴だな。
「そんな変な姿になっちゃってるし…」
そうか、自分の姿も変わって…
って、なんだコレ!?
黒い翼に、暗めのコード。
これだと見た目完全に悪魔系…というかイタい人じゃないか。
でも、少しだけ大きくなったか…?
ホントに、シフリスの姿が羨ましい…
白銀のドレスに水色のライン。
それでいて動きやすそうな…
コレとは大違いだ。
「白石さんはまだ起きていないのですか?」
「そだよ。私はもう寝れないからね…暇なんだ」
神格者って、寝れなくなるのか?
「君たちはまだ成りたてだから良いんだろうけどねー」
今のうちに楽しんでおこう。
「でも、たぶんそろそろ…」
上で物音がしだした。
「起きたね」
時刻は5時を指し、朝日が垂れ込めていた。
「なるほど…」
白石の理解が早くて助かる。
「それって、バグだと思うよ」
…コイツは何を言ってるんだ?
ゲームの話じゃないんだぞ。
「明確に"神格者"ってのを作ったのは法則王なんだよね。それまでは特に生贄とかいらなかったのよ。私魂使ってないし。で、それなんだけど…たぶんだよ。世界が違って、法則王の力が届いてないんじゃない?」
そんなので…いけるのか?
「まぁ、ホントのことはわかんないから、納得するしかないと思うよ」
…コイツにしては珍しく、一理ある。
「とにかく、神格者おめでとう。あっちにも12人しか居ない――って、どうやって帰る?」
「それは昨日考えた。シフリスのスキルを付与して――」
「いや、もうそれはしなくていいです。私のスキルに、"ゲートの保存"が追加されました」
それは素晴らしい。
「だから放っといても大丈夫です」
「なら早速…」
「時空跳躍!ではなくて…世界超越!」
いつものゲートが生成される。
「ちょっと、こんな所に作ったら親に見つかるよ!」
「そうですね…なら…」
クローゼットを開ける。
「こことかどうでしょうか?」
ちょっとしたハンガーまで置いてあって、オシャレを意識だした高校生みたいな感じだ。
そこに容赦なくゲートを作る。
「隠せるし、最適解だと思います」
「ならいいが…ルナはこのまま帰るのか?」
「そうだね。もう少し話して帰るから、先に帰っていいよ」
「そうですか。なら…」
このまま帰るムード?
だったら…行ったほうが後悔しないよな。
「ちょっと寄りたいところがあるから、ついて来てくれないか。行き先は――最初に来たところでいい」
「はい。喜んで」
簡単なゲートを生成。
「それじゃあ、後はよろしく」
そう言って、視界の彼方に消えた。
いつか見た山に、この暑さ。
"帰って来た"という実家感。
――実家に向かうのは事実だが。
「ここからそう遠くないから――」
「その前に、この服装をどうにかしたほうがよさそうです」
…本当だ。このままだと変人だ。
「神格――解除」
いちいち言わないといけないのは恥ずかしいな。
「心で唱えてもいいそうですよ」
そうなのか…
「行きましょうか」
――鹿児島市郊外――
「確かこのあたりのはず…」
9年前だから忘れかけている。
「この路地を…曲がるのかな?」
「しっかりしてください…」
その時、ある一つの場所が、視界に入る。
――猛烈な吐き気が襲った。
膝を地面に着く。
呼吸が浅い。
「フェイタルさん、大丈夫ですか!」
――間違いない。
ここが、実家…
私のトラウマ。
克服したと思っていたのに…
「ウッ――」
まさか…神格者でも、心の傷は癒えないなど――
「帰りましょう!このままでは貴方が保ちません!」
駄目だ…
それだと駄目なんだ…
「…あの、大丈夫ですか?」
少し年を取った女性の声。
顔を上げると、そこには――
「もしかして…玲なの…?」




