#6 不穏
昼下がりに、街道を歩く小さい影がある。
「あの、此花先輩。さっきの街、お祭り?っぽかったですけど、あれなんなんですか?」
「アレねぇ。確か流星群が見えるからだったっけ。
ロマンチックで告白するにはぴったりね。」
流星群か、一度見てみたいな。
「後2日ぐらいだっけ」
2日。もしかしたら見えるかもしれないな。
「ところで、次の街にいつ着くの」
「もうそろそろだと思うんですけど…」
「あ、あれじゃない?」
あった。あの街だ。
静かな街を2人で歩いている。
「この街、静かすぎない?」
「そうですね…」
口数も減ってしまう。
普段明るい先輩も、元気がない。
「行方不明者も出てますし、外に出て来てないのかもしれないです。」
そう話していると、
「キャー!」
「悲鳴?」
「先輩、いきましょう」
「うん!」
日が暮れそうになってしまった。
「このあたりから聞こえたんだけど…」
周りに気配がない。
「先輩。見失ったかも知れません。どうしましょうか」
「そうね。ちょっと離れてくれる?」
「はい?」
一体何をするんだろう。と思っていると、水色のオーラが出てきた。
「魔力?じゃああれは…」
「魔力探知!」
「あっちだね」
といい、指を指す。
「先輩。魔法使えたんですか?」
「ちょっとだけね」
早く言って欲しかった。
「ほら行くよ」
「このあたりだね。あ、あれじゃない?」
先輩が駆け寄る。
「もう大丈夫だからね〜」
――その瞬間。
“それ”が振り返った。
人、ではなかった。
顔の中央に、巨大な一つ目。
人の形をしているのに、決定的に何かが違う。
「……っ」
背筋が凍る。
「先輩、下がって!」
反射的に飛び出す。
剣を振る。
――空を切る。
「なっ……!?」
さっきまでそこにいたはずの“敵”が、消えている。
いや、後ろにいる。
一瞬で。
「……今の、何だ」
「白石君、ありがとね」
短い言葉。
だが、視線は敵から外さない。
そのとき――
敵が腕を上げた。
魔力が収束し、弾が放たれる。
だが、その軌道は――明後日の方向。
(外した?)
そう思った瞬間。
弾が、消えた。
「――っ!?」
次の瞬間。
目の前に“再出現”する。
「ぐっ!!」
防御が間に合わない。
直撃。
身体が吹き飛ぶ。
「相手の能力は……テレポート……?」
理解した瞬間、
敵が消えた。
「――まずい!」
視線を動かす。
先輩のすぐそばに、“それ”がいた。
間に合わない。
地面が歪む。
穴が開く。
――あのときと同じ。
「白石君!!」
手を伸ばす。
届かない。
「先輩!!」
落ちる。
穴が、閉じる。
音もなく。
静寂だけが残る。
気づけば、敵の姿も消えていた。
「……先輩」
返事はない。
「先輩!!」
叫ぶ。
声は、暗くなり始めた街に吸い込まれていった。
明日も投稿




