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#64 きてん

『まもなく、2番線に各駅停車中野行きが参ります。黄色いブロックの内側でお待ちください』

「せっかくの花火なんだ。変な気持ちは水に…」

流せる雰囲気じゃなさそうだ。

方や失恋。もう片方は配慮の塊である。

失恋の方はどうにも…てコイツ神格者だろ。

なんでそれぐらいで落ち込んで――

コイツも矛盾してんな。

とにかく、もう片方は…

「シフリス。そんなに気を揉まなくてもいいと思うが…」

「人に置いて失恋後と言うのは最も気を使わなければ行けない時です。貴方もなにか――」

どうしろと。

スキルじゃどうにもならないだろ。

そもそも今持ってないし。

「違います。なにか寄り添ってあげてください」

私に恋愛を聞くのは間違いだと思うが…

「経験、ないんですか?」

違う!

「とにかく、フォローする言葉を――」

あ、着いた。

「降りるぞ」

「そういう所ですよ」


「まだ早いです。6時開催が2時に着くなんて、しかも昼食は無しですか。そんなんだから彼女が――」

コイツ…えらく言うようになったじゃないか。

「つまり、今までここに連れてきたんだから私の彼女になってくれるってことか?」

それぐらい言う権利はあるはずだ。

「…早く食べさせてください」

無視すんな!

「…まあいい。テキトーに買ってこい。ルナと一緒にな」

1000円札を三枚渡す。

これで足りるだろう。

って、シフリスはともかく、ルナって飯いらないんじゃ…

考えないことにしよう。

それに、元気になってくれれば――

私もアイツと一緒だな。


――――――――――――――――――――――――


「どうして貴様らはまともな飯を買わないんだ」

「だってなにか分かんないんだもん」

まだ陰りを帯びているが、少し明るくなった気がする。

やはりシフリスに任せたのは正解だったか。

それはそうとして、買ってきたのは…

・焼きそば

・たこ焼き←よく売ってたな。

ここまでは、普通だ。

・カステラ

・かき氷

まだまし。

何だこの…芋をぐるぐる巻いたやつ。

それに、このいちご飴もどき。

十年前は見かけなかった屋台に時の流れを実感させられるとは思ってもいなかった。

ちなみに、私の昼…もとい晩御飯は砂糖水(ソーダ)

「あ、炭酸水飲めないんですか?」

「飲めないんじゃない。飲まないんだ」

これは重要。

「…」

その目をやめろ。


そうこうしている内に、時刻は3時半を迎えた。

あいつ、本当に――

来ないのか?

どうでもいいと思いつつ、どこか不安になっている自分がいる。

腐っても人間、つまり矛盾をはらむこと…

どうでもいい…どうでも――

「だぁーー!!」

「どうしました!?いきなり」

「シフリス、ちょっと来てくれ」

「は、はい…」

離れたところに連れ出す。

「何ですか…って、大体わかりますけどね」

「私を白石の家にテレポートしてくれ。あいつが不憫でしょうがないし…白石に灸を据えたくなった」

「知ってましたよ。きっと貴方はそう言うって。もう準備はできてます」

やけに話が早いな…まあいい。

あいつの家に――



「じゃまするぞー!」

きっと玄関先だろう。

二階に聞こえるよう、大きく叫ぶ――

目の前に、此花がいた。

「ちょっと!?耳が――って、黒幕!?」

「その言い方やめろ」

「何しに来たのよ?」

「貴様らこそ、どこへ…」

「会場に向かおうとしたんだけど…」

まさか同じ事を考えていたとは。

「空間から、人が…?」

ああ、あいつまだ居たのか。

「すまない松尾。その話はまた後だ。今はとりやえず…」

家に乗り上がり、向かう。

「白石 湊。お前だ」

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