#55 決着
「君たち、遅いよ」
ルナの険しい顔。
申し訳なさそうに正座するガルド。
「私の夫のピンチに間に合わないってどういう事?」
「学校があったんだから仕方ないのに…」
ガルドのその呟きは、ルナには届いていなかった。
(いや、ルナちゃんも行ってなかったけどね)
そんな事を思う先輩とイチャつくイリス。
「助けに来たと思ったら、もう決着してたんだけど!?」
見せ場がない事を嘆いているようだ。
「まぁ、来てくれただけでも嬉しいよ」
なだめるように言う。
「本当!?来てよかった\( *´∀`* )/」
そしてもう一人、リゼリアは…
「なんです、この惨状は?ワタクシなら最も強力な方法で終わらせれますよ」
「それって…重力で押しつぶすことを言ってる?」
「当たり前ですわ」
思わずため息が出る。
ああ、状況を理解出来ていないようだ。
「潰したら帰れなくなるでしょうが!」
そんな事知らないと言う顔をしている。
「リゼリアの相方の方がまともだった…」
「当然でしょう」
なぜお前がドヤ顔。
「そう言えば…カルナは?」
「教育実習の方の事ですか?きっと事務作業を押し付けられているでしょうね」
あっちも大変なようだ。
「シフリス、"社長"によろしく――」
言いかけて、一つの疑問にたどり着く。
「そう言えば…"社長"の名前って何なの?」
「私に言われましても…」
そりゃそうか。
シフリスが知っている訳…
「それより、元の世界に帰るんでしょう。早くして下さい」
シフリスが急かしてくる。
隣には、黒幕もいた。
目に希望が宿っていないものの、生きる意思は感じれた。
きっと、立ち直るだろう。
「先輩も、こっち来て下さい」
僕が呼ぶと、一斉に静かになった。
ルナが駆け寄ってくる。
「ホントに行っちゃうんだね…」
仕方ない。出会いに分かれはつきもの――
なんて言えなかった。
悲しい。
それは事実だ。
「それでも、またいつか――逢えるさ。きっと」
根拠は無いが、何故か確信を持って言える。
「きっと、会いに行くからね」
ルナが言う。
「もちろん。待ってるよ」
先輩も、それぞれへ区切りをつけたようだ。
「君は…帰らなくてもいいの?」
同じ日本人なんだし一緒に――
「帰らないみたいです。きっと、ここの方が居心地がいいのでしょう」
小さく頷く。
黒幕は想像より少し――
訂正。だいぶ小さかった。
フードでかさ増しされていて、まさか小学生ぐらいの身長だとは…
「実年齢は18歳らしいです」
じゅ、十八!?
苦労してたんだな…
まぁ、可愛いよ。
ルナが睨むが、気にしない。
――その後、黒幕がシフリスの質問攻めにあうことを、彼はまだ知らなかった。
「もう開きますよ。時空跳躍!」
門が開く。
何度も見た門だ。
一歩踏み出す。
帰る事に、後悔はない。
それでも――つい、後ろを振り返る。
「またね」
――――――――――――――――――――――――
光の暗闇。
そこには、三人の影があった。
「やっぱり、君だったね」
影の一つ――ルナが言う。
「"運命王"ディストリス=ファルト」
始まりの神格者、運命王。
「なんだ、君か…」
興味がなさそうに言う。
「私の夫の運命をかき乱すのは、止めてほしかったな」
「それはお互い様だろう。"憶奏王"ミリア=ルナよ。それに、私のおかげで君は彼と出会えたはずだ」
「それは君ではなく、その横に居る――」
視点を変える。
隣の、"配縁王"ディストリス=エレンに。
「エレンのおかげでは?」
二番目、"配縁王"は言う。
「二人の関係は、見てて面白かったよ。終わらせるのが――悲しいほどにね」
その言葉に、反応する。
「私達の関係が終わった…?そんな事はないよ」
言葉を続ける。
「たとえ君たちが創り上げた物語だとしても、私は今よりも素晴らしい結末を見つけてみせる」
それが、私なりの物語の編み方。
「やっぱり、君を参加させたのは間違いだったかな」
呆れたように言う。
「大義のためとはいえ無理矢理入れたから、その分黒幕には悪いことをしてしまったな」
世界に絶望させて…
「それでも、彼なりの結末を見つけたから、よかったじゃない?後は私に任せてよ」
エレンが言う。
「君に任せると、どんな話も恋愛になるからな…」
「夫婦で神格者の人達が何言ってるの」
本当は私も、なりたかった。
でも、彼が望んでいないなら――
今はまだ無しだ。
次合うときまで――ね。
次もあるよ




