#51 神と人
また一つ、物語が終焉を迎える。
自分が仕組んだ物語とはいえ、以外にも――
「あ、また見てる」
「これも我々の仕事だ。遊びではない」
「そんな事言っちゃって、楽しいんじゃないの?」
まぁ、面白いのは事実だ。
「今どんな感じ?」
「ちょうど今戦い出した所だ」
「そっか、もうすぐで旅が終わるんだね」
いや、それは違う。
「旅という名の人生に終わりなどない。また新たな旅が始まる」
諭すが、きっと聞いていないだろう。
「お、何か策があるのかな?」
これが私の仕事だ。
私が作ったシナリオがもう少しで終わる。君たちのこの先の旅を、楽しませてもらうよ。
――――――――――――――――――――――――
「一斉に行こう!数では勝ってる」
力では勝てない。
スキルを持っていない。なおかつ、戦い方も知られている。
それに今回は、"倒して終わり"では済まないのだ。
"元の世界に帰る"
黒幕の協力なしでは帰れない。
つまり、どうにか説得しなければ行けないが――
黒幕はきっと、何かしら信念がある。
感情こそ少ないが、きっと――
あ、感情と言えば…
「ルナ、黒幕の感情読み取れない?」
ヒントがあるかも。
「無理。なぜか暗くて分からないの」
「今までそんなことは?」
「なかったよ。なのになんで…?」
ルナもよく分かっていないよう。
黒幕に、僕たちにない何かがある…?
考えても無駄だ。
ここで生まれていないのに能力を持っている。
それも、よく分からない。
分からないことだらけなのだ。
…
戦って心を開くパターンかも知れない。
「戦いの途中で理解し合うしかない!」
「白石君はいつの間に脳筋に?」
「違います。分からないからです」
「ふ~ん。まあいいけど」
そのようなやり取りを見ていた"黒幕"は…
「事象支配」
いきなり戦闘を始めた。
「攻撃来てます。避けてください」
シフリスの発言で、現実に叩き戻される。
「もう来てる!?」
魔法陣の完成。
そして――
「死操顕現」
言い放った瞬間に、波動が襲う。
もちろん、実際には放たれていない。
心でそう感じた。
ルナを見ると…様子がおかしそうだ。
「ルナちゃん、また操られるの…?」
先輩は不安そうだが、その心配はなさそう。
今回は自力で振り切れている。
「これぐらいで、操られると思わないでね…」
――結構キツそうだったが、なんとかいけたようだ。
シフリスは…?
余裕。
「何度も操られて、解除法はもう知っています」
そう何度も利かないみたいだ。
そう言えば、なんで僕と先輩は操られないんだ?
「なるほどね…」
ルナが言う。
「今ので分かった。アレ…きっと神格能力だ」
「じゃないと私が操られるはずがないもの。きっとそうだよ!」
「神格者を否定する神格者ってこと?」
「いや、私の義弟にアイツはいない」
そう言えば昔、どこかで聞いたような――
現人神
人の姿をした神。
たぶん黒幕は厳密には違う。
でも、きっとそんな感じのだろう。
「どうするの?倒せなくなるけど…」
いや、所詮現人神は人だ。
倒すことは出来るが…
厄介だな。
「それなら、作戦があります」
シフリスの一声で、事態は更に混沌を極める事になるのだった。




