#46 レーゾンデートル
「何故、お前達は共にいるのだ?」
黒幕が投げかけた質問に、面食らう。
「そんなの仲間だからに決まってるじゃん」
ルナは当然のように言う。
もちろん、同じ気持ちだ。
「仲間…か。その割に、何も知っていないじゃないか。白石 湊」
名前を急に呼ばれ、驚く。
「君は確か…そうだ。ミリア=ルナの本当の事を知っているのか?」
ルナの名前まで!
コイツ…どこまで知ってるんだ?
いや、それよりも…
考えてみると、
何も――知らない。
「"私の夫"とほざいても、結局ルナは自分の事を何も教えなかった。つまり、
"お前はその程度の存在"と言うことだ」
「違う!」
「ならなぜ隠している?お前のその、"本性"を」
「黙れ!」
ルナが走り出す。
「激情で勝てる相手じゃありません。止まってください!」
シフリスの忠告も、耳に入らない。
完全に怒りに飲み込まれている。
その勢いは、味方も動けなくなるほど。
黒幕に、殴りかかる――
パリィン
「な、何!?」
拳が…止められている。
「真実を知らぬ者が、勝てると思うな!」
ルナに一発。
「…神格化状態のルナに、一撃を…」
強いというのも、ハッタリじゃない。
「ぐっ…」
「ルナ!大丈夫か」
走り寄る。
大きな怪我はしていないが…
「私は…何も…」
完全に、戦意喪失。
「無知の末路は常に同じだ」
「あのなぁ!神格者がこの世界の真実じゃないか!」
声を荒げる。
「違う。神格者は"世界の平和"と言う幻想を謳っているだけ。真実とは程遠い」
黒幕は常に冷静だ。
「そんな事――」
「なら何故、争いは絶えないのだ?」
「"世界の平和"とやらを願う神格者がいるなら、ゼルティア学園での戦いも起きなかったはずだ」
「それはお前が原因だろ!」
「その戦争の火種となった私は、神格者によって消されるべき。しかし、私は今ここにいる。それこそが、神格者の存在意義そのものが間違っている証明だ」
「――ッ…」
言葉に詰まる。
分かっているから。
正しいように思える。
でも、神格者――ルナの存在を否定するなんて、
間違っている。
それだけは、確信できた。
「――お前の言う"真実"ってなんだよ」
「"平和"なんて存在しないと言うことだ。人間は二度の大戦から何を学んだ?平和の尊さか?それとも恐怖か?現に世界は再び争いに向かっているではないか」
「一体何を言っているの…?」
シフリスは不思議に思っているが、僕と先輩は、知っている。
しかしそれは、黒幕が僕達と同じ世界から来ていると言う事を意味する。
「お前はまさか…」
「そうだ。君たちと同じ、"日本"からやってきた」
――やっぱり。
「だったらなんで、私達を連れてきたの?」
先輩の質問。
それには、答えようとしなかった。
「もう会話は済んだ。おとなしく帰れ」
黒幕が言う。
その答えは――
剣を握り、黒幕に向ける。
「ほう…自ら戦いを望むか」




