#45 再戦
戦闘の合図は、シフリスが跳次元門を開いた事だった。
「来る!」
瞬間、足元にゲート。
バッと横に動き回避。
「シフリスを傷つけないように!刻印だけ狙って!」
倒すではなく救う。
難易度は上がるが…
シフリスは、自分の近くにゲートを生成。
そこに、適当な石を投げる。
あの時も見せた、あの攻撃。
「でも、石だったらそんなに痛くない…」
先輩が言うが、それは間違いだ。
はるか上空に飛ばして、落下の威力をそのままに出しているから、全然凶器になる。
むしろ、避けるたびに速度が上がるため、もっと強い。
「…"神格"解放」
ルナが呟くと、よく見た大人の姿。
――翼が生え、神格者となる。
「記憶でどうやって戦うの!」
走りながら、先輩が叫ぶ。
「記憶を舐めたら後悔するよ」
ルナは、自信満々。
そして出したのは、光る珠。
――記憶を集めた、あの珠だ。
「記憶、使わしてもらうよ」
瞬間、ルナの身体が光る。
いや、正確には――
"ルナの周囲に、武装が出現した"
なにが、『見ても地味』だ。
星巡記憶、凄い能力じゃないか。
その頃には、ルナの武装は完成していた。
手に持っているのは…あの弓。
僕の剣が変化した、アレだ。
でも、剣は今、僕の手にある。
だったら、あれは…?
「流矢之雨!」
上空に矢を放つ。
その矢は、十倍…いや、もっと多くなって降下する。
「これは…さすがの時空跳躍でも避けれない」
いや、シフリスは自分の真上だけにゲートを生成して消費量を最小限に抑えた。
「ああ、止められた!」
先輩は落胆しているが、ルナに至っては――
「まあ、そうするよね」
光の矢から、魔力が出る。
「これは、魔法陣!?」
時空跳躍で消えたところが円になって――
「生活魔法:不可拘束」
閃光。
「眩しっ」
思わず、目を閉じる。
…静かだ。
戦闘の気配はない。
目を開くと、シフリスが"光の鎖"で拘束されている。
「一次的なものだから後は任せたよ私の夫!」
急に言われて、どうしろと!
いや、これは…
「ルナ、ちょっと上まで飛ばして」
頼む。
「いいけど…」
そして来たのは、シフリスの真上。
「ありがと、後は任せて」
そこで、剣を下にして落ちる。
狙いは一つ。
首下の欠片。
シフリスに気付かれる前に、速度で決める。
「ほら、帰ってこい!」
「時空跳躍」
気付かれた!
まさか、黒幕が…
ゲートが落下地点に生成。
もう一つは、視界の端に見える。
体勢を整えないと…地面に直撃。
(どうする?押し込むか、もう一回狙うか)
間に合わな――
その時、ゲートが消える。
「なっ!?」
これは…
「そのまま落ちて来てください」
シフリスが言う。
「そうか!欠片だから、完全に操れてないんだ」
先輩が気付いたようだ。
「!」
欠片に当たる。
このまま…押し切れば…
その時、シフリスから大量の魔力を感じた。
大きなゲートが周囲に、生成。
一番遠くの先輩まで落ちる範囲。
いや、まだ行ける!
落ちながらでも、欠片を狙って…
――パリン――
割れた。
「遅かったですね」
「仕方ないだろ…相変わらず強いんだから」
「感謝してください。助けがなかったらどうなっていたか、分かりますか?」
シフリスが目覚めた…
「いや、今も落ちてるんだけど」
…
「いくら私でも、開いたゲートは…」
ドカァーン!
地面に激突。
「みんな無事!?」
「痛たたた…無事だよ」
「私も、無事です」
「僕も…」
良かった。
みんな無事なようだ。
「はぁ…どうしてこうも戦略と言うのは、すぐ崩れるんだろうな」
後ろから聞こえたのは…
一度、聞いた声。
あの時の――
見ると、初めて見た時の黒フード姿。
「コイツが、今回の黒幕?」
「たぶんね」
言葉も少なくなる。
――警戒。
「まあいい、自ら動けばいいだけのことだ」
黒幕は、ゆっくりと動き出す。
その歩みは、絶望か、それとも破滅か…




