#4 門出
朝日が差し込む明け方。
まだ人の少ない広場に、二つの影が伸びていた。
「そろそろ、出発してもいい」
“社長”が静かに言う。
「え、本当ですか」
思わず声が上ずる。
「ああ。ちょうどいい任務もある」
「任務……どんな内容ですか?」
「最近、この周辺で行方不明者が増えていてな。その調査だ」
調査。
その言葉を聞いて、胸をなで下ろす。
(……よかった。いきなり討伐とかじゃないんだな)
正直、かなり安心した。
「目的地の方向も、君の行き先と同じだ。適任だろう」
やっぱり――此花先輩に繋がっている。
「一応、武器は持っていけ」
差し出されたのは、あの剣だった。
……うん、知ってた。
(できれば、もうちょっと“強そうでカッコいいやつ”がよかったんだけどな……)
「道中、何が出るかは分からん。危なくなったら、迷わず逃げろ」
「……はい」
やっぱり、ちょっと怖い。
でも――
(やっと、会えるかもしれないんだ)
それだけで、足は止まらなかった。
---
見送りには、“社長”と、あの大男が来ていた。
「頑張れよ少年! ハッハッハッ!」
……この人、ほんとに元気だな。
でも、不思議と悪い気はしない。
「これが地図だ」
“社長”から紙を渡される。
「ここを出て、まずこの街。それから、この地点だ」
……遠い。
思っていたより、ずっと遠い。
(これ、本当に徒歩で行く距離か……?)
「道は単純だ。この街道を真っ直ぐ進めばいい」
簡単に言うなぁ。
「……じゃあ、行ってきます」
一歩、踏み出す。
「ああ」
「元気に帰ってこいよー!」
背中に声が飛んできた。
少しだけ振り返ってから、前を見る。
――行こう。
此花先輩を探しに。
そして、この世界で生きていくために。
こうして、僕は旅に出た。
異世界に来てから――五日目の朝だった。
だいぶ短め。明日更新
次は長くなるように…




