#42 昇華の力
「俺達はここまでです。またいつか会いましょう」
唐突に言われる。
気づけば、そこは目的地のすぐ近く。
「そうだね。レジスタンス活動も頑張ってね!」
「はい!」
元気な声が重なる。
――ゲルゼズ共和国で革命が起きて、民主国家になるのはまた別の話。
「いい人達だったね〜」
「そうですね」
ヤク◯達だと思っていたが、いい人と言うのはどこにでもいるんだな。
"渡る世間に鬼はなし"とはこの事だろう。
また…会えたらな。
「うーん。難しいな…」
「もう少し核心に触れる感じでやってください」
「やってるけど…」
「昇華って難しいよね…よく分かるよ」
ルナが頷いている。
いくらなんでも寒すぎるので、体調管理を昇華させようとしているのだが…
いつまで経っても出来ない。
「早く行こうよー」
先輩は体調管理がないから、退屈そうだ。
「歩きながらしましょうか。その方がいいでしょう」
「昇華… 昇華…」
「そこまで根を詰めなくてもいいのに…」
何でこんなに難しくしたんだ。
ユークレル兄妹め…
見たこともない人を恨む。
「今悪口言った?」
ルナが尋ねてきた。
なぜ分かった!?
いや、知ってるはずがない。
落ち着こう。
「そんな事――」
「ふ~ん。図星だね」
バレてるようだ。
「一応…何でバレたのか教えて下さい」
下手に出る。
「言ったでしょ。私には星巡記憶があるって」
それは聞いたが――
「強い感情は読み取れるんだ」
サラッと言う。
「つまり…心の中も、安全じゃないってこと?」
「当たり前でしょ…」
呆れたように言われる。
プライバシーを下さい。
「今まで考えてた恥ずかしい事を言ってもいいけど?」
「え!教えて!」
先輩が即座に反応する。
「分かったから教えないで…」
ルナは、まるで弱みでも握ったような顔。
――本当に握っているが…
「ところでさ、そんな事知って幻滅しないの?恋愛系でありがちなパターンだけど」
いわゆる、蛙化現象。
「そんな所も含めて私の夫だもの。それぐらいで愛せなくなるのは違うと思うよ」
「おー。純愛だね」
「あ、でも一回だけ"え、気持ち悪"って思ったかな」
――いつのことですか?
全部バレてると思った方が良さそうだ。
「シフリスに関する事なんだけど…」
「え、私ですか?」
ホントにいつの話?
頭をフル回転させる。
…出て来ない。
「まぁ、言わないよ。人を不快にさせるのも違うからね」
ルナ様、ありがとう。
「でも気を付けてね。感情なんてすぐバレるから」
そういやフィアナさんも虚偽確認を持ってたな。
やっぱり、元の世界とは違うな。
「あ、白石君危ない」
ゴン!
木にぶつかる。
「痛そー」
ルナが言うが、不思議と痛くない。
これは…まさか。
「ついに体調管理の本質に触れましたか」
「おーやったね!」
「ただ気を付けて下さいね。ある程度の痛みだけが、防げますから」
無敵じゃないんだな。
こういう事も、教えて欲しかったです。
"社長"さん。




