表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/51

#26 級友

夏休みが明けたクラスは、

「夏休み中何した?」

「花火見たー」

と、いつも通りの雑談で賑わっていた。

そんな空気を断ち切るように、教壇に先生が立つ。

「落ち着けー」

数秒後、ざわめきがゆっくりと収まっていく。

「今日は、転校生がいます!」

再びざわめく。

「入ってきていいぞー

呼ばれて、ドアに手をかける。

ガラッ――

一斉に視線が集まる。

ほんの一瞬、息が詰まる。

(……まあ、慣れてるけどな)

教壇に立ち、軽く一礼する。

「僕は二之宮 湊です。よろしくお願いします」

二之宮 湊。

それが、この学園での“偽名”。

「湊君の席はあそこね」

先生が指したのは、クラスの端。

(都合いい配置だな……)

ちなみに、校長・教頭の許可は取れている。

教師陣も調査に協力済み。

――つまり、かなり自由に動ける。

席に向かうと、隣の男子が小さく笑った。

「俺はガルド。話は聞いてるよ。よろしく、白石――いや、二之宮君」

「よろしく」

(そういえば、こいつだけは知ってるのか)

そのとき――

「あと、教育実習生が来てるから、入ってきてー」

ガラッ。

入ってきた人物を見て、思わず目を見開く。

(あれ……あの人って……)

「ソル=ラグナ国立大学から来ました。レイン=カルナです。魔法学を担当します。よろしくお願いします」

静かで、よく通る声。

一通り挨拶を終えたあと――

カルナの視線が、こちらに向く。

ほんの一瞬、目が合った。

(気づいた……よな)

「レインさんには副担任として入ってもらうから」

「よろしくお願いしま〜す」

表向きは、ただの挨拶。

でも、この教室には――

“普通じゃない人間”が多い。

授業が始まる直前。

窓の外で、一瞬だけ“影”が揺れた。

ビルの隙間――

白く、巨大な何か。

次の瞬間には、何もなかった。

(……気のせいか?)

「二之宮、どうした?」

「……いや、なんでもない」

胸の奥に、小さな引っかかりだけが残った。


――――――――――――――――――――――――


「私の名前はスミレ。好きなものは恋愛。よろしく」

スミレ。

それが、私に与えられた偽名。

「スミレさんの席はあそこね」

案内された席に向かう。

(ターゲットの隣……ね)

座ると同時に、隣の少女が身を乗り出してきた。

「この時期の転校生って珍しいね!私はイリス。よろしく(^^)」

語尾に何か付いている気がするのは私だけだろうか?

少し距離が近い。

「慣れないことがあったら何でも聞いてね(。•̀ᴗ-)✧」

(……テンション高いな)

でも、悪い子ではなさそうだ。

「ありがとう。助かるわ」

そう答えると、イリスは嬉しそうに笑った。

(この子が――今回の鍵になるのか…)


――――――――――――――――――――――――


放課後。

指定された通り、戦略部の部室へ向かう。

扉を開けると、すでに全員揃っていた。

僕、先輩、ルナ、ガルド、ヴェルナ。

そして――

カルナ。

「なんでここにカルナがいるの?」

先輩が即座にツッコむ。

「私は……あなた達とは別の案件で」

少しだけ視線を逸らしながら答える。

「まさか知り合いだったとはね」

ヴェルナが面白そうに笑う。

(この人……絶対わざとだろ)

どこか“社長”と似た、胡散臭さ。

「今日は特に進展がなくてもいいわ」

空気が少し締まる。

「でも明日からは――」

ヴェルナの表情が変わる。

「この学園の“裏側”、しっかり暴いてもらうわよ」

静かな圧。

そして――

窓の外、遠くの空に。

一瞬だけ、白い影が揺れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ