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幕間 ソル=ラグナの日常

恋愛要素が混じってるけど、できれば読んでほしい

苦手な人は読み飛ばしてもOK

目が覚める。

いつもならいるルナは、今日もいない。

それが当たり前なんだろう…


「今日は、花火大会があるから、そこに行くよ!」

唐突に言われた。

どうやら、僕たちの

"連続爆破事件の犯人"を捕まえた事のお祝いらしい。

フィアナさんは、"遺跡が崩れて行方不明"と言う、

――嘘の報告をしていた。

ヘリの人も、

「先生がそう言うなら別にいいですよ」

と快く証人になっていた。

グッドポーズが似合う、いい人だった。

「私たちは三人で動くから、白石君は…」

そう言いかけて、

「あれ、ルナちゃんいなくない?」

気がついたようだ。

「昨日からずっと見てないんですよね」

「何かやらかしたとか?」

先輩がニヤニヤしている。

「そんな事は…」

否定しきれなかった。

「まあ、行ったら会えるでしょ」

そんな軽い言葉だが、少し心の救いになった。



開催場所は、身動きが取れないほどの大混雑だった。

はぐれてしまったら、見つけるのは難しいかもしれない。

売店も出ていて、元の世界の祭り会場のようだった。

「混んでるね〜」

「再会できるの?」

難しいだろう。

「よろしければ私が…生活魔法:意思再会(リユニオン)を使って探すこともできますけど…」

「え?なにそれ!」

「また会いたいと強く願っている人と会うことができる魔法で…恋仲ぐらいだったら大体できます。聞いた話、白石さんはルナさんと結婚したとか…」

ちょっと待て、そんなの言ったことない…

まさか!

先輩を睨む。

先輩は目を逸らした。

「いったい何のことだろうね〜」

…分かりやすい。

「その年格好で結婚とか…いや、互いに認め合っているなら問題ないですけど…」

まずい。

カルナに変な人だと思われている。

「いや…付き合ってすら…」

ない。

その2文字だけが、なぜかはっきりと言えなかった。

「まぁ、使わなくてもいいよ。自分でどうにかしたいし…」

もし場所がバレたら、先輩達が介入してきて、とんでもないことになる可能性が…

「分かった。じゃあ行ってらっしゃい」

「行ってきます」



すごい、全然会えない。

人が多すぎる。

やっぱり、使ってもらっといたほうがよかったかな…

「もう少し探してみるか…」


そんな白石 湊の後ろ。

「なんで出逢わないの…せっかく尾行してる意味がないじゃない」

「そもそも…尾行する意味あります?」

「大アリよ!いい話になりそうな予感がするの」

「時間もまだあるしいいんじゃない?」



一人の影だけが伸びていった。

隣にはいない。

(見つからない…)

もうすぐで花火が始まる時刻だ。

このまま、間に合わなかったら…

待て、

もう会えないのか?

こうなるんだったら…

("出会えて、幸せだった"ぐらい、ちゃんと、話しておけばよかったな…)

もう、遅いな。

僕は本当に鈍感だった。

「先輩達を探しに行くか…」

そう言って、諦めたとき…

人混みのざわめきが、少しずつ遠くなる。

「ルナ…」

ようやく見つけた。

ずっと探していた、その背中。

「やっほー」

いつも通りの軽い声。

でも――どこか違う。

少しだけ、背が伸びたような気がした。

「よかった…会えて…」

本心だった。

胸の奥に溜まっていたものが、一気に溢れそうになる。

そのとき――

ドンッ――

夜空に、大きな花火が咲いた。

遅れて、光が降り注ぐ。

「綺麗だね」

ルナが、小さく呟いた。

その横顔は、どこか大人びていて。

初めて会ったときとは、違って見えた。


「あの時、どう思ってたのさ」

「どの時?」

「爆発した時」

あの時か…

正直、迷ってる間に爆発したんだけど…

「仮に僕が死んでも…きっとカルナを、そして僕の事も助けてくれると信じてた」

「あまりすぐに死ぬとか言わない方がいいよ」

怒られた。

でも声を聞くのもひさしぶりで、つい笑ってしまう。

「あ!笑ったな!」

そう言いつつ、ルナも笑う。

"時間が止まればいいのに"なんて思ってしまう。

そんな時間も、まるで、花火が咲いては消えるかのように過ぎていった。



「それじゃあ、私、帰るね」

その言葉は、あまりにも軽い。

「バイバイ」

振り返らない。

そのまま、人混みに溶けていこうとする。

その瞬間――

胸の奥が、強く引き止めた。

(このままじゃダメだ)

考えるより先に、体が動く。

一歩踏み出す。

手を――掴んだ。

「……っ」

ルナの足が止まる。

振り返らないまま、小さく言う。

「手…離して」

その声は、少し震えていた。

「イヤだ」

はっきりと、言い切る。

迷いは、なかった。

花火の光が、二人を照らす。

夜空に咲く光とは裏腹に、

胸の奥は、静かに燃えていた。



「なんで…離さないの?」

少し怒ったような声。

でも、その奥にあるのは――

寂しさだった。




「もしあの時、君がいなかったら――僕は、あのまま死んでいた」

花火の音にかき消されそうになりながら、それでも言葉を紡ぐ。

「君のおかげで、僕は生きてる」

手を握る力が、少し強くなる。

「だから――これからも、」

一瞬、言葉に詰まる。

「(仲間として)僕の隣で、一緒に歩んでいってほしい」

言い終わった瞬間。

(あれ、コレ……プロポーズみたいじゃね?)

自分で言っておいて、今さら気づく。

その時だった。

ぽたり、と。

ルナの涙が、手の甲に落ちた。

「……なんで」

小さな声。

でも、はっきりとした感情がこもっていた。

「なんで、そんなこと……今さら言うの……」

俯いたまま、肩が震えている。

「私……来ないつもりだったのに……」

胸が、強く締め付けられる。

「え……?」

思わず聞き返す。

ルナは、ゆっくりと顔を上げた。

涙でぐしゃぐしゃになりながら、それでも真っ直ぐに見てくる。

「だって……また会ったら……離れられなくなるから……」

花火が、夜空に大きく広がる。

その光が、涙を照らす。

「本当は……もう会わないつもりだった」

その一言が、重く落ちた。

「このまま、いなくなった方がいいって……思ってたのに……」

手を、少し強く握り返される。

「なのに……なんで……そんなこと言うの……」

責めるような声。

でも、それは――


「……ごめん」

自然と口から出た。

「ちゃんと話しておけばよかった」

あの時。

別れる前に。

ちゃんと向き合っていれば――

「でもさ」

一歩、近づく。

「それでも、会えてよかったって思ってる」

はっきりと言い切る。

「君が来てくれて、よかった」

ルナの目が、揺れる。

小さく呟く。

「そんなこと言われたら……」

言葉が続かない。

代わりに、手を握る力が強くなる。

「……もう、離れられないじゃん」

その言葉は――

諦めじゃなくて。

覚悟だった。

夜空に、ひときわ大きな花火が咲く。

音が遅れて響く。

まるで、二人の決意を祝うみたいに。

「それでいいよ」

静かに答える。

「今度は――ちゃんと、隣にいるから」

ルナは、少しだけ笑った。

泣きながら。

でも、確かに笑っていた。



花火も、やがて終わりを迎える。

夜空に残った煙が、ゆっくりと風に溶けていく。

「僕のいた世界にも、花火があったな」

ぽつりと、こぼす。

「また見れたらいいね」

隣から、柔らかな声。

その言葉に、少しだけ間を置いてから――

「そうだね……また、ルナと一緒にね」

ルナの頬が、ほんのりと赤く染まる。

言葉は返ってこない。

でも――

握られた手が、少しだけ強くなった。

その温もりが、何よりの答えだった。

フィナーレの残光が、二人の手を照らす。

離れなかった、その手を。

この世界の夏が――

静かに、終わろうとしていた。

活動報告を始めるので余裕のある方は覗いてね

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