#22 魔力
部屋に、ただならぬ緊張感が漂っている。
「きっと、解放してみせる!」
そういい、刻印に向かって走り出す。
「愚かな」
軽蔑するように言った。
そして、
「生活魔法:隔壁創設!」
地面から壁が生えてくる。
「なに!?」
とてもじゃないが登るのは難しい。
四方を囲まれた。
「これは…」
カルナは宙に浮いている。
「生活魔法:音波響鳴!」
壁の上部から音波が飛んでくる。
「音なら、耐えれば…」
「無駄だ」
「音波は壁に当たって反射し、再び帰ってくる。私のスキルによって、さらに強くなってな」
確かに、どんどん強くなる気がする。
耳を塞ぎたい。ただ…
剣があるのだ。
手放した瞬間、勝てなくなる。
「この…」
剣を下に振り、反動で壁を乗り越える。
「生活魔法:空気圧縮!」
空気が収束し…
一点に放出される。
「ぐっ!」
受け身を取ったが、後ろに吹き飛ばされた。
防戦一方。
「何か打開点があるはず…」
――――――――――――――――――――――――
「閉じ込められたみたい」
ルナが明るく言った。
「あれ、こんな感じなのは前にも…」
あのときは確か…
「無理やり、抜け出してた」
今回は、できそうにない。
固く閉じられている。
「魔法は…使えないんだった」
どうしよう…
しばらく悩んでいると、
「あ、コレ使える!」
ルナが使ったのは、情報確認
この世界の誰もが知っている、初歩中の初歩の魔法。
「でもなんで…」
それだけ封じられていない?
その時、魔力が少し減った気がした。
「気のせいかな?」
そしたら、もう一度減った。
分かった。
「白石君がカルナと戦ってる!このまま魔力が減れば抜け出せるかも!」
希望に満ちた言葉。
「じゃああとは…」
なるべく多く魔力を使わせるように、暴れるだけだ。
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猛攻をしのぎつつ、考える。
相手に何か弱点があるはず…
「生活魔法:電雷双奏」
微弱な電流。
でも、威力はスキルによって底上げされる。
一撃一撃が致命傷。
「また魔法…」
まてよ。
何故さっきから生活魔法しか使って来ないんだ?
何か…
思いついたのは、先輩達。
(そうか!閉じ込めるのに魔力を消費してるんだ!)
だったら、策はある。
(攻撃魔法がとんでこないなら…)
距離を詰める。
「電雷双奏!」
生活魔法なら…
少しは受けれる。
足は止めない。
刻印目掛けて剣を振る。
(これで…)
カルナの顔を見ると、笑っていた。
聞こえるほどの大きさで呟く。
「炎華爆発」
気付くと、魔法陣が出現していた。
(不味い!)
回避が間に合わない。
間に合うか?
その間に斬れば…
駄目だ、魔法は発動する。
どうしよう…
迷ってしまった。
――――――――――――――――――――――――
「魔力は減った?」
「まだ。少ししか減ってない」
まだ抜け出すには至らない。
魔力が多すぎる。
何か起きないと…
遠くで低い音がした。
「あれ?」
ルナが気づいた。
「今だいぶ減った!」
見る。
「このぐらいなら…」
杖を使って無理やりこじ開ける。
「開けぇ――!」
バコン。
扉が壊れた。
「やった!」
「早く向かおう」
「白石君!」
やっとついた。
そこには、カルナと…
目を見張る。
倒れている。
白石君が。
「……白石君?」
返事はない。
動かない。
倒れたまま――ぴくりとも。
「……嘘」
先輩の声が、かすれる。
空気が、凍りついた。




