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#190 月夜に現れたカゲリ

2つ目の部屋。

そこに挑戦したのは白石湊だ。

部屋には、何もない。

部屋と呼ぶよりも、箱と呼んだ方がいいのかもしれないほどに。

ただ真っ白な壁が四面、広がっていた。

「…ここで何をすればいいんだ?」

今の流れで行くとちょっとした遊戯なんかが置かれていてもおかしくはなかった。

しかし――こうも何もないと、こちらの気が滅入ってしまう。

「…貴方達は僕に何も言わないんですね」

うるさいぐらい思念が流れてきたポラリスの剣とは違い、この武器からは何も感じれない。

もしかしたら、この2人には感情がないのかも…?

そんな事を思っていると、不意に部屋の奥で物音がした。

「…誰かいるのかな」

そう思い、近づく。

そこには、横たわったルナの姿があった。

「ルナ!?」

慌てて駆け寄る。

少し介抱すると傷は特に見られず、ひとまず安心した。

となると、何故気を失っているのか…

一晩監禁されたとしても、ここまで陥るとは思えない。

尋問が効くような身体でもないはずだし、何故…

すると、一つの思念が流れ込んだ。

『危険』

盾――つまりエレンから。

その言葉を理解し切る前に、攻撃が飛んだ。

槍が、顔めがけて振られる。

そして――咄嗟にエレンから放たれた防御結界(ディフェンス)により防がれる。

間一髪、顔の目の前で止まった。

「…ルナ?」

その槍の持ち主は、ルナだ。

ルナは静かに立ち上がる。

再開の喜びも、そこには映っていない。

異常である事を察知し、距離を取る。

気が付けば、ルナは星巡記憶(エターニティメモリー)を使っていた。

「…まさか、また操られて」

いや、"社長"がそんなスキルを持っているのか?

本人から明かされたことはない。

しかし『スキルだった』だけでは腑に落ちない、何かの違和感があった。

「…」

ルナは何も言わない。

無言で距離を詰める。

神格者と同じ一挙手一投足で、神のような速さで。

全力で槍を振るうその姿は、操られているようにも、手を抜いているようにも見えなかった。

「…とにかく、戦わないと」

慣れない剣を構える。

よくよく考えると、本気のルナと戦うのはこれが初めてだ。

今まで側にいてくれた分、その強さはよく分かっている。

「攻撃は――受けたら終わり」

スキル:情報確認(パラメーターチェック)発動。


[結果]

個体名:ミリア=ルナ

種族 :神格者

スキル:星巡記憶(エターニティメモリー)


⋯これで終わり?

所持スキルや加護、昇華(プロメイト)等は一切無かった。

⋯しかも、最も大切なスキルの中身の説明が抜けている。

迫りくる危機にただ抵抗することしか出来なかった。

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