#18 2人の弟子
「君か……私の“元”弟子、レイン=カルナよ」
…あの人も、フィアナさんの弟子?
「……まさか、その名でまた呼ばれる日が来るとはな。だが、今はあの頃とは違う。今の私は――"災禍 カルナ"」
「ディザスター、ねぇ……」
フィアナさんが小さくため息をついた。
「最近ソル=ラグナを騒がせている変人がいるとは聞いていたけど……まさか、自分の弟子とはね」
呆れと、ほんの少しの悲しみが混じった声だった。
「まぁいいわ。道を踏み外した弟子を正すのも、師匠の役目だから」
そう言って、杖を構える。
カルナも、無言で杖を向けた。
一触即発。
空気が張り詰める。
……
遠くから、サイレンの音が近づいてきた。
「……今じゃないな」
カルナが小さく呟く。
「続きは、また今度だ」
そう言い残し、姿を消した。
その夜。
フィアナさんの家は、いつもより静かだった。
「……カルナは、あんな魔法を使う子じゃなかった」
ぽつりと、フィアナさんが呟く。
「さっきの感じ……普通じゃなかったですよね」
僕は慎重に言葉を選ぶ。
「ああ。魔力の質が変わっていた」
「外から“何か”を与えられている可能性が高い」
――外から。
その言葉に、僕と先輩は顔を見合わせた。
「それって……」
「黒幕と、繋がってるってことですか?」
フィアナさんは、ゆっくりと頷いた。
「おそらくね」
空気が重くなる。
今回の件が、ただの暴走じゃないと分かったからだ。
…
「ねえ」
沈黙を破ったのは、ルナだった。
「その人……助けられるの?」
全員の視線が、フィアナさんに集まる。
しばらくの沈黙のあと――
「助ける」
はっきりと、そう言った。
「弟子だからね」
その言葉は、強くて、優しかった。
「じゃあ決まりだね!」
先輩が、いつもの調子で明るく言う。
「敵の本拠地に乗り込んで、黒幕をぶっ飛ばして、ついでに弟子も助ける!」
「軽いな……」
思わずツッコむ。
でも、不思議と嫌じゃなかった。
「場所は分かるんですか?」
僕が聞くと、フィアナさんは机の上に地図を広げた。
指が、ある一点を指す。
「ここ。魔導遺跡アル=ゼリオ」
聞いたことのない名前だ。
「古代の魔法装置が眠っている場所よ」
「そして――強い魔力が集まりやすい」
つまり。
黒幕がいるには、うってつけの場所。
「明日、出発する」
フィアナさんが言った。
「準備は、今夜のうちに済ませておきなさい」
夜風が、窓から吹き込む。
その冷たさが、妙に現実的だった。
(また、戦いか……)
でも今度は違う。
守るだけじゃない。
救うための戦いだ。
隣を見ると、先輩が小さく笑っていた。
「ね、白石君。今度はさ――ちゃんと助けようね」
その言葉に、強く頷いた。
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