#184 二人の行方
ラファエルに言われた通り、神格者を助けることにした。
本当は今すぐにでも"社長"と戦いたいが、この状況では厳しい。
と言うことで、最も近場で仲のいい2人に会いに来たわけだ。
「で、ここまで来たんだけど…」
当然のように、周囲には警備が張られていた。
物々しい装備を身に纏って、その事からも"社長"の本気が伝わってくる。
「まさかもう捕まって…」
そんな嫌な予感が脳裏をよぎった。
しかし、先輩がそれを否定した。
「もし捕まえているなら、ここまで厳重にする必要はないと思う。偶然家に居なくて、帰ってくるのを待ち伏せしているんじゃないかな?」
…待ち伏せと言う割には、派手すぎる気もするが。
「神格者相手に隠密行動は不可能だと踏んだとかかな?」
先輩の言葉が、ストンと腑に落ちた。
それなら、十分にあり得るだろう。
「…だけど、状況はあまりいいとは思えないよね」
こうして物陰に隠れているだけでも見つかってしまいそうだ。
「…このまま帰ってくるのを待つか、それとも…」
その時、背中に柔らかい感触が広がった。
「な…」
声を上げた直後、口を手で覆われる。
「世界超越」
気が付けば、そこは静かな森の中。
奥に見えたのは、崩れた塔。
それには、見覚えがあった。
あの時、シフリスと初めて戦った場所。
咄嗟に周囲を見渡すと、そこには二人の姿があった。
シフリスとフェイタル。
少し気のない声で「ようやく起きたか」フェイタルは言った。
「先程、何も言わず連れ去った事をお許しください」とシフリスが謝る。
ということは、さっき後ろに立っていたのはシフリスだったのか。
…さっき当たったのって…
邪な考えが生まれたが、気にしないことにしよう。
「ともかく、無事で良かった。この先どうしようかと…」
すると、思い出したようにフェイタルが言う。
「そうだ。突然スキルの弱体化を食らったんだが、一体何が…」
この事を聞くと[天罰]の範囲は、神格者全体に及んでいるらしい。
そうして、事のあらすじを説明した。
途中で先輩も起きて、一緒に説明してくれた。
「――"社長"が敵に回ったか。それとも、洗脳か…」
真意が掴めていない以上、全て憶測の域を出ない。
「そう言えば、君達はどこに行ってたの?」と先輩が聞いた。
「日本です。夜月様の御家族への挨拶と…」
「その呼び方は日本でだけにしてくれ」とフェイタルが口を挟んだ。
…なんだかもう、カップル以上の関係に行ってそうだ。
「話を戻しますと、そのおかげで拘束を免れることができました」
「ですって。良かったですね先輩…」
先輩の方に振り向くと、感動的な顔をしていた。
きっと、成就が嬉しいのだろう。
「…もうじき、結婚か…」
話の全く異なるところで、ストーリーと言うのは続いていた。




