#180 夢の終わり
ぺちぺちと叩く音が聞こえる。
ぺち…ぺち…
何かのリズムを刻んで、頬が叩かれている。
…痛い。
ビャクヤか…?
それとも、話の流れだと…
思考がたどり着き、すぐに否定する。
そんな事しないよな、と。
となると、これは一体誰が…?
そして、自分が今目を瞑っている事に気が付く。
瞬間、反射で起きる。
「あ、起きたよ」
声が聞こえる。
聞き馴染みのある、あの声が――
「放せ!ランボウな事するな!」
響く声。
驚きとともに見る。
そこには、ポラリスに捕まっているビャクヤがいた。
「…何してるんだ?」
すると、先輩が言った。
「気が付いたら自分達は起きてたけれど、白石君だけ寝てたんだよ」
そこで、遂に状況を理解する。
夢が覚めたのだ。
恐らく、ビャクヤが捕まることによって。
「放せって言ってるでしょ!ボクはカレに何もしていない!」
必死に抵抗しているが、それでもポラリスから逃げ出すことはできない。
いや、最初の目的が捕まえることだったから任務達成ではあるのか。
「…で、どうする?強制的に気絶させて連れ帰る?」
ルナは相変わらず物騒な手段を取ろうとしている。
夢から覚めたが、現実もほぼ変わらなかった。
「…使用主。どう処罰いたしましょうか?」
ポラリスが言うが、処罰する気なんて毛頭ない。
「…なんとなく分かった。なんで僕に夢を見せたのか」
きっと、やってみたかったのだろう。
「後でさ。好きに旅していいから、一度だけ…ついてきてくれないかな?」
結ばれていた縄を解く。
「白石君!?」
先輩が驚いて言った。
こっちにも説明しないといけないな…
「つまり、悪夢とかを見せられた訳では無い…と?」
「旅を思い出していた…ああ、そういう…」
つまり、ビャクヤは冒険したかったんだ。
お尋ね者生活からの脱却…
それなら、益々ついてきてもらわないといけない。
「仲間の所に行くよ。きっと待ってる」
…で、どこだここ。
「いつから夢だったのよ」
すると、ビャクヤは平然と言う。
「サイショから。もともとレーベルなんて街はナイよ」
「え…?」
となると、もしやラグナに入った時から…?
「だって、憎っくき神格者が作ったスキルだからね。それなりのツヨさは保証されてるってワケ」
「ポラリス?」
ポラリスが、ぎこち無い口笛を吹いた。




