#175 夢想家
胃炎になりました。原因不明
ポラリスに連れられて来たのは、あの時海を割った海岸。
何も言わず、再び剣を向ける。
「聖なる斬撃」
その言葉に、全員が反応した。
「それをもう一度やるのは不味いって、止めて!」
しかし、ポラリスは手を止めない。
「黙って見といて」
そして、力いっぱい振り下ろした。
終わった。
今回こそ罪を受けることに…
そう思っていたのも束の間。
海が割れると同時に、ある一点で斬撃が消えた。
「ルナ。今すぐに海を凍らせて」
いきなり言われたルナは、「う、うん…」とだけ言って、星巡記憶を使用。
その瞬間、裂けた海が氷塊と化す。
「このまま、あそこまで行くわよ」
そして、ポラリスは悠々と海底に降り立った。
「一体何をするつもり」
「この世界を壊す」
先輩が聞くと、平然と言った。
「壊すって、この世界は…」
「ニセモノよ。何をしたいのかはさっぱり分からないけれど、敵まで認識できた」
「いつ!?」
「貴方達が寝ている間。ルナも寝れたことに違和感を持たなかったの?」
「そう言えば…」
言われてみれば、昨日は静かだった。
「造り込みも甘い。生物も奥に行くほど少なくなる」
そして、遂に果てに到達。
ポラリスは壁をコンコンと叩いた。
「唯一、これだけは一筋縄では行かなさそうなのよね」
檻のように、閉じ込めようとしている壁。
「夢の中なら、何をやっても許される」
その理論で、淵源彗霊。
しかし、壁はびくともしなかった。
「これで駄目なら、大元を叩くしかなさそうね。面倒な事になる前に撤収しましょう」
水平線は文字通り視界の端で、氷の溶けた海はそれを隠すように戻る。
「いつの間にスキルにかかっていたんだろう…」
「恐らく、初日の夜よ。今夜は徹夜ね」
大人しく宿へ戻る。
道中の目線が監視しているように感じれた。
「この人たちも、この世界に捕らわれているのかな…」
「だとしても、幸せそうには見えないけれど」
現実と同じ夢なんて、面白味がない。
「敵はNo1008。なら呼称は…ビャクヤでどうかな」
我ながらいい名前だと思う。
「ビャクヤ…私達への皮肉かしら?」
「そんなのじゃないよ」
「ともかく、対策と作戦を――」
そうして、夢から逃げる事になった。




