#174 自称
「ん⋯おはよう」
「おはようございます。今日は朝日が綺麗でしたよ」
目が冷めてすぐ、ポラリスがいた。
潜り込んだ痕跡はなく、しっかり守ってくれているようだ。
「今日は対岸の方に行くか」
逆に、それ以外することがない。
「二人と合流して、そこから⋯」
すると、ポラリスが物言いたげに彷徨いていた。
「⋯なにか隠してる?」
普段の行動からして、あまり隠し事をするようには見えないが――
「いえ。特に何も」
ポラリスにとって、今の状況が湊に知られるのはあまり得策ではない。
"術が解けた"とアレに知られたら、狙われる対象になってしまう。
そのため、一人だけで戦いたいのだ。
「…なら、別にいいけど――」
その時、ドアが鳴った。
「起きた?早く行くよ!」
声で分かった。ルナだ。
「もうすぐ行く」
荷物をさっさとまとめる。
「…ポラリス?」
何処かぼうっとしていた。
「…あ、はい」
それからというもの、ポラリスは挙動不審である。
道を歩く時もキョロキョロして何かに怯えているようだし、普段と違って「剣には戻らない」なんて言い張った。
怪しい。
しかし、普通には言ってくれそうにない。
「…ルナ。ちょっと来て」
そう言って、少し離れた角へと連れ込んだ。
「ポラリスさん、今日なんだか変なんだよ」
「分かる。私もずーっと思ってた」
ルナにまでバレてるとは中々重症だ。
「だからさ。どうにかして聞き出せないかな…?」
すると、ルナは少し考え込んだ後「任せて!」と言った。
一体、どうするつもりだろうか。
「"聖霊王"、今日なんだか変だよ」
まさかの直球。
勿論、ポラリスは否定する。
しかし、ここで引き下がらないのがルナだ。
「私の目は誤魔化せないよ。星巡記憶!」
あれ、その技確か使えないんじゃ…
「ま、見てなよ」
圧倒的な精神攻撃耐性を誇っていても「攻撃」以外なら通る。
心の壁を強制突破しない。
少しづつ解除していく。
「なるほど。一足先に気がついていたんだね」
ポラリスの顔が引き攣る。
「それなら言えば良いのに。パートナーの事、信じてないの?」
その瞬間、ハッとしたように表情が戻る。
「今なら間に合う。仲間で対処しようよ」
「…そうね」
今僕は、ルナの事を褒めちぎっている。
「どうやって分かったの?」
すると、ルナはさらっと言った。
「なんも分からなかった。やっぱり無理があったみたい」
…つまり、ポラリスは自爆したのである。




