#171 厄介
「この度は、本当にすみませんでした!」
レーベル町庁舎では、町長が険しい顔をして立っていた。
あそこまで大事になったのだ。仕方がないことではあるのだが――
「君たちには弁護士を付ける権利がある。罪状の説明を」
すると、一人の男性がスラスラと読み上げた。
「刑法第125条:往来危険罪。第126条:往来危険による艦船転覆等罪。付属的に261条:器物破損。234・235条:業務妨害罪。民法709・717条による損害賠償請求。その他――」
町を守ったのに罪に問われるとは思ってもいなかった。これも偏にポラリスのせいだ。
剣伝いで反省の念を感じたが、気が付かなかったことにしておく。
そして、遂に読み終わった。
もう、心も決まっている。
「⋯これらが今、君たちが疑われている罪状だ。これに異議は――」
「ありません」
即答。
「全てやったことです」
すると、町長は少し驚いたような顔をした。
「――本当にいいんだな?」
そして、町長は電話を取り出す。
「⋯はい。認めるようです。…分かりました」
この間、気が気でなかった。
どれだけの罪を受けることになるのか、見当がつかない。
そして、命運はもうすぐ決まることになる。
「君たちには――」
唾を飲む音が聞こえる。
「お咎めなしだ」
――やっぱりそうか。仕方がな⋯…
「え?」
思わず声が出る。
「町を守ったのは事実だ。君達に感謝する」
町長はそう言って頭を下げた。
困惑し、僕は先輩と目を合わせた。
「⋯」
側近の男が言った。
「君達が悪びれる様子もなかったらしっかり更生して貰おうと思っていたのだが、君達は自分の非を認めた。よって、君達を許すということだ」
僕が次に出したのは、安堵のため息だった。
⋯良かった。
ポラリスがずっと怯えているが、――まぁなんとか⋯
「もう用事は終わりだ。好きに帰るといい」
そう言って町長は切り上げようとした。
「あ、町長さん。この辺りに昔から生きてるって噂の人とか伝承とかありませんか?」
「⋯聞いたことないな」
そして、町長室の後ろの戸から消えた。
「⋯収穫なし。今日はもう休もう」
まだ日は暮れていないが、今日はゆっくりと⋯
「そうだね。帰ろう」
そして、帰路についた。
道中の橋から見える景色は、いつも通りではなかったが⋯
どことなく情緒を誘い出していた。
海はもう元に戻ったようで一安心。
船は――どうしようもなかった。
代わりの船を町が手配したようだが、船長の悲しみは拭えないだろう。
「ほんと、すみません⋯」




