#170 結局大惨事
「乱暴⋯過ぎる」
自分で言いだしたことだが、想像よりも後悔していた。
よくよく考えれば衝撃吸収なんて出来るわけがない。
「ラファエル!どうにか――」
困った時の神頼み。
「お任せ下さい」
真っ白な魔力とともに、ふわっと体が浮く。
良い感じに衝撃を吸収してくれたようだ。
まったく、いい仲間を持ったものだ――
「そうだ。すぐに向かわないと⋯」
強行突破だ。
強化ガラスをぶち破り、無理矢理中に侵入する。
「船長さんですか!?今すぐに機関室へ案内して下さい。もう時間がありません!」
後ろでは、既に橋が大きく見える位置まできているのだ。
「⋯何だね君は。子供は危ないから早く逃げた方が良い。それにどこから⋯」
船長は困惑しきっている。
「落ち着いて下さい。僕は今からエンジンを壊します」
すると、船長は両手を横に振った。
「止めてくれ。私の命よりも大切な船なんだ」
その気持はよく分かるが、今はそれどころではない。
「エンジンはまた後で直せます。しかし、一度陸に乗り上げたらどうしようもないです!」
そう言って、船長の腕を掴む。
――転ばないように、慎重に。
「⋯お願いします。町が危ないんです」
すると、船長は苦しげな顔をした。
「⋯分かった。できるだけ被害を抑えてくれ」
そして、非常階段を駆け下りる。
「この一番下に行けばドアがある。それを破壊したら唯一回っている機械があるはずだ。それを壊すとエンジンは止まる」
「ありがとうございます!」
礼を言い駆け下りる。
衝突まで、残り3分。
一方、対岸に残された二人は⋯
「私達、何すればいいんだろうね⋯」
「ちょっとやそっとで何も変わらなさそうなのがまた⋯」
二人揃って迷っていた。
「祈る?」
「そうしよう」
重い扉が、鈍い音を立てて壊れた。
そして、あまりの熱気に卒倒しそうになる。
「熱⋯」
オーバーヒートしているのだろう。
機関士はどこへいったのやら。
「ともかく、これを⋯」
四大霊王発動とともに、ポラリスを出す。
「これを壊せばいいのよね?」
頷く。
「⋯張り切っちゃおうかしら。聖なる斬撃!」
すると、ポラリスが持っていた剣が虹色に光る。
「えいっ!」
その瞬間、全てが音を立てずに割れた。
機械どころか、その奥の壁も、海すらも。
聖書で紅海が割られたように、海が真っ二つに割られたのだ。
そして、強烈な浮遊感が体を支配する。
船のいる位置まで割れたら、後は落ちるのみ。
「ポラリス!?やりすぎ⋯」
そのまま、激突した。
違う形で大地に乗ることになったのだ。
「ごめんなさい船長さん⋯」
後でポラリスに注意しなければ⋯




