#153 傲慢な我慢
「やっぱり、白石君は私がいないとダメだね」
そんな声が響いた。
同時に――爆発。
氷が全て消し飛ぶ。
「な、なんだと…?」
突然の攻撃に、魔女が怯む。
「電雷双奏!」
声と共に、一閃の光弾が放たれた。
その声を、僕は知っている。
「先輩!」
一瞬の雲の隙間から、あの時と同じ夕陽が顔を出していた。
「今までどこにいたの?」
そうルナが聞く。
「白石君がヘタレだったから、放ったらかしていたの。まさか追っかけてこないとは思わなかったけどね…」
あの状況で追いかけた所で、一体何が出来ると――
ドスッ!
湊の真横の雪に、氷が刺さる。
我に返った"氷の魔女"が仕掛けてきたのだ。
「焔化灯命!」
先輩は氷を打ち消そうとするも…失敗。
「え」
ドスドスと、周囲に氷が突き刺さった。
「"氷華"」
魔女はそう呟く。
すると、氷から――まるで種のように、芽が出た。
「いっ!?」
蔦が足に巻き付く。
先輩は冷たそうだが、問題はそこではない。
身動きが取れない…つまり、相手の攻撃を避けれない。
――全部、受ける!
行動が限定されたおかげで、逆にやるべきことがはっきり決まった。
「四大霊王」
受け特化型――"福祉"のラファエルを召喚。
「できる限り守って」
「了解!」
残りは、3人がかりで攻撃をいなすのみ。
それを否定するように、剣が光った。
4人だ。
10発程度の氷塊が襲いかかる。
最初に、先輩が二つ。
ラファエルが受け止め、通り抜けたのを僕とルナが弾く。
落ち着いて行えば何ら問題はない。
しかし、それは飛び道具のみ。
レイズが短剣を構える。
そう――近距離戦は、圧倒的に不利。
だから、こうする。
キィン!と音を立てて、剣どうしがぶつかる。
蔦が巻き付いているのは片方のみ。
もう片方の足で体を支えて、斬り合うのだ。
「小癪な――それでも、コレには耐えられますかね?」
「魔力球…!」
三点、同時攻撃。
全てラファエルに守ってもらうにしても、限度がある。
取りこぼした時には、回避も防御も不可能な領域――
いや、大丈夫だ。
「"聖霊王"ポラリス!」
剣がポラリスへと変化する。
「任せて」
圧倒的な聖霊の力。
聖なる光が、敵対する魔力を消滅させる。
そして…
「淵源彗霊!」
ポラリスは我慢できずに、発射――
しかも、過去最大サイズである。
すべて受けきる前に、相手が先に潰れた。
守る者は勝ち、攻める者は負く――
その一例である。




