#147 復活劇
操られたものは仕方がない。
この世界、搦手が多いから…
そう素直に考えても、勝ち目はほぼ0である。
12…いや、"聖霊王"がいない…神格者って言ってもそのうち全員が戦えるわけじゃない…1、2、5、8は戦闘系スキルじゃなかったはず。
そう考え、ルナに向き合う。
「やっぱり、3対7は卑怯だって…」
操られて本気が出せない――そんな状況を願うしかない。
ってその前に武器だ。
使ったことが無いすごい槍が一つ。
あと…あの剣か。
まだポラリスが完全復活していなかったから洗脳を免れたのだろう。
…思わずため息が出る。
万能な神格者がこうも簡単に操られるとは思わなかったものだ。
ルナはなぜか攻撃しようとはしなかった。
じっと観察しているように思える。
それを見て、覚悟を決めた。
「やってやる!ルナ、待ってろよ…」
そう言って走り出す。
とにかく武器調達。
ルナが反応に遅れた隙に剣を取り、構える。
しかし、流石の反応速度で追い付かれる。
せめて持つだけでも――
ルナの手が触れる。
剣と同時に。
「ッ――!」
剣をルナに向ける。
「離れて」
ゆっくり、諭すように言う。
すると、腕を掴む力が少し弱まった。
その間に――脱出。
即座に一定の距離をとる。
ルナは一瞬残念がったが、それもすぐに戻った。
そして、分かったことがある。
まだ、意識は残っていた。
王道展開って本当にあるんだと感心しつつも、とりやえず安堵。
後はどうにかして戻すだけでいい――
そう思っていると、突如として選択肢が現れた。
"降伏する" "敗北する"
どちらも似たような意味である。
「選ばない!」
当然、拒否黙秘だ。
今のは"魂久王"のスキル…
つまり、他の神格者も参戦して――
予感は的中する。
身体が重くなったのだ。
リゼリア――
自然と地面に這いつくばる形になり、身動きが取れなくなった。
…これは不味い。
一方的に嬲られるとかごめんだ。
しかし――できそうなこともない。
セレナさんやカノンに助けを呼べば、たちまち捕まってしまうだろう。
ならば出来る事は一つ。
全身の力を振り絞って声を上げる。
「"聖霊王"ポラリス様。どうか復活して下さい!」
とにかく念じる。
条件は満たされているはず。
ならば意思さえあれば――
すると、不思議なことが起こった。
急に左手が空く。
僕が持っていたもう一つの武器――あの槍が、消えたのだ。
そして、右手の剣も消える。
何が何やら分からぬ内に、儀式は勝手に進行した。
ルナが気がついたように駆け出した。
しかし、時既に遅し。
とっくに儀式は完遂されたのである。
放たれた拳は、ポラリスの手のひらに収まっていた。
ルナはまたもや渋い顔になる。
そして、ポラリスがルナを…蹴った。
はるか後方へと吹き飛ぶ。
内心びっくりしていた。
中がいいと思っていただけに、そこまで簡単に躊躇いなく蹴れるとは想像しなかったのだ。
ルナは相変わらず無表情なままである。
それでも、悔しみがなんとなく感じれた。
そして、それはさらに増すことになる。
――言葉で表すとするなら、"ハグ"や"抱きつく"が妥当だろう。
ポラリスが、湊を――である。
ルナから見るとポラリスは泥棒猫どころか寝取り女郎になったので、ルナのその後の怒りようは想像を超えるものだった。
結果、遂に本気になってしまった。
それを見た湊は慌ててポラリスを引っ剥がす。
すると、自然に立ち上がって他の神格者の所へ向かった。
引きつける――と言うことだろうか。
ただし、一番の脅威を武器がない湊に相手させる。
もはや戦意も消え失せるものである。
湊は説得へ舵をきった。




