#141 四大聖霊
言われたとおり、詰め所に来ている。
「なあ頼むって。俺とお前の仲だろ〜?教えてくれよ〜」
カウンターに身を乗り出し質問しているワダツミを遠くからずっと見ていた。
相手は聖霊。
端末をいじりながら話を聞いていた。
ワダツミいわく、「なんとか説得している」らしい。
ただ…どう見てもナンパだ!
「お願いだからさ。そうだ、後でカフェでもどう?何でも奢ってやるよ。だから…」
「天界に生者用のカフェはありません。固くお断りします」
結果、見事に玉砕した。
「いやいや。ナンパじゃないよ?俺が言ってるのは、ただ復活させる方法を教えてほしいだけで――」
「機密情報故教えることは出来ません。せめて証拠でも持ってきて下さい」
肉体がないくせに鉄壁と言わんばかりのフィジカル。
すると、ワダツミは首をひねった。
「証拠って?」
「例えるなら…封じられた魂、又は肉体、当人との契約、婚姻関係等でも構いません。行動の記録や動機、身分証と水道・ガス料金票でも…」
「レンタルショップのカード契約じゃないんだよ!認められた人ならここにいる。どうかさ…」
教えてもらうまでてこでも動く気はない――それを知った受付の聖霊はため息まじりに言った。
「分かりました。このまま進んで下さい。私がお叱りを受けることになるので、そちらが会ったら先に断っておいて下さい。絶対にお願いしますよ?」
機械的で音の抑制はなかったが、呆れと怒りだけが伝わった。
「全く、感情など愚かしいというのに…」
聖霊はぼそっと呟いた。
「ありがとな!今後もよろしく!」
気にせず、ワダツミはそう言って奥へと進んだ。
「待って、どこに行くんだよ」
僕が聞くと、後ろも見ずに言った。
「"聖霊王"直属の部下のところだ。俺は面識ないが、白石がいればなんとかなるだろ」
「なんで僕?会ったことないけど…」
すると、ワダツミが振り向いた。
「はぁ!?お前全然知らねぇじゃねえか!どうするんだよ!?」
そう言って肩を掴まれ、頭がブンブン揺れた。
「いや…なんとかなるかなって」
どうやら、似た者同士だったようだ。
「――仕方ない。行き当たりばったりで行くぞ!」
正攻法はもう諦めていた。
死者の霊を安置する場所、天界には序列がある。
頂上を"聖霊王"ポラリスとして、その下に直属の――"四大聖霊"がいる。
そして、"聖霊"、一番下が"天上人"だ。
"四大聖霊"はポラリスを補佐する存在。
例え封印されたとしても、その役職に変わりは無い。
つまり、間接的に白石をも見ていたことになる。
それを知った湊はと言うと――
「ストーカーだった…?」
完全に引いていた。
ルナと言い、熱狂的なファンが多い男である。
四大聖霊の一角――"任務"のガブリエルがずっと謝っていた。
「済まなかった!君に伝えるべきだとは思っていたが、機会を掴めなかったんだ。どうか許してくれ」
その後、なんとか落ち着きを通り戻した湊は、聞きたくなかった真実を知ることになる。




