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幕間 転生世界の日常

休息、二日目。

目が覚める。

……早い。

まだ、空は暗い。

「またか……」

ため息をつく。

原因は分かっている。

体調管理(コンディション)

体調は万全。

その代わり――睡眠も、完璧すぎる。

「起きる時間くらい、調整させてくれよ……」

ぼやきながら、窓の外を見る。

静かな街。

まだ誰も動いていない。

――自分たちが守った街。

そう思うと、少しだけ不思議な気持ちになる。

後から知った話だが、

ここも流星の夜事件(メテオール・ナハト)の被害圏内だったらしい。

それでも、こうして朝を迎えている。

「……よかったな」

小さく呟く。


海岸へ出る。

波の音。

規則正しく、静かに響く。

潮の香りが、風に乗って届く。

元の世界では見慣れない景色。

それだけで、少しだけ気持ちが軽くなる。

空を見上げる。

何かが飛んでいる。

「鳥……か?」

情報確認(パラメーターチェック)


【解析結果】

名称:ミジロゴイ

ランク:C


「……鳥だな」

当たり前の結論に落ち着く。

やがて、光が差し込む。

水平線から、ゆっくりと太陽が昇る。

海が、輝く。

言葉が出ない。

ただ、見ているだけでよかった。

「……綺麗だな」

ぽつりと呟く。



この世界は、どこかおかしい。

時間の流れが、違う。

日が昇るのも、沈むのも早い。

地球と同じじゃない。

「まあ、異世界だしな……」

納得しておく。


帰り道。

見覚えのある姿があった。

シフリス。

一人で立っている。

じっと、どこかを見つめている。

(……何してるんだ?)

声はかけない。

何となく、そうした方がいい気がした。

そんな感覚があった。


金欠だ。

現実は厳しい。

街を救ったからといって、生活が保証されるわけじゃない。

むしろ、何も持たずに始まった分、マシな方かもしれない。

「……働かないとな」

ぼやく。


剣を磨く。

"社長"に言われた言葉を思い出す。

「身の回りのものを大切に出来る人間が、強くなる」

どこの名言だよ、と思ったが。

今は、少し分かる気がする。

「……でもなぁ」

剣を見る。

「あの時、光ってから反応ないんだよな」

あの一撃。

確かに、何かがあった。

でも、それっきりだ。

「……まあいいか」

布で拭き上げる。

「こんなもんだな」

それなりに綺麗になった。


「で、どう?」

紙を差し出される。

此花先輩だ。

そこに書かれていたのは――小説。

恋愛もの。

「……何で僕に?」

「感想聞きたいから」

即答。

逃げ場はない。

「えっと……」

読む。

しばらくして。

顔を上げる。

「……どう?」

期待の目。

「……すごい、です」

沈黙。

「……具体的に」

詰められた。

「えっと……その……」

言葉が出てこない。

「……駄目だねぇ」

呆れられた。

「いや、面白かったですよ!本当に!」

「どこが?」

「……」

詰んだ。

「ほら、言語化できてない」

図星。

ぐうの音も出ない。

「いい?“面白い”だけじゃ伝わらないの」

真面目な顔。

「どこが良くて、どう感じたのか。それを言葉にするのが大事」

「……はい」

完全に授業だ。

「まあでも」

先輩が少しだけ笑う。

「読んでくれたのはありがとね」

「……いえ」

ちょっとだけ、照れる。


先輩が紙をまとめる。

「……ねえ白石君」

「はい?」

「もしさ」

少しだけ、真面目な顔。

「元の世界に帰れたら――どうする?」

不意の質問。

「……え」

考える。

元の世界。

日常。

当たり前の生活。

「……戻りたい、とは思います」

正直に答える。

「でも」

言葉を探す。

「ここでのこと、忘れたくないなって」

先輩が、少し驚いた顔をする。

「……そっか」

小さく頷く。

「じゃあさ」

ニヤッと笑う。

「小説にしなよ」

「……え?」

「この話」

紙をトントンと叩く。

「せっかくなんだし」

その言葉に、

少しだけ胸が熱くなった。

次回から次の章がスタート

応援よろしくお願いします。


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