#13 余波
「白石君……白石君!」
遠くから、声がする。
誰かが、呼んでいる。
聞き覚えのある声。
でも――思い出せない。
「……起きて……!」
声が、近づく。
意識が浮かび上がる。
重たいまぶたを、無理やり開く。
「……あれ……」
白い天井。
見慣れない景色。
ゆっくりと、視線を動かす。
そこには――
「白石君!」
此花先輩。
そして、もう一人。
フードの女。
「起きた……!よかった……」
先輩の声が、震えている。
目が、赤い。
泣いていたんだと気づく。
「……すみません」
「今、適当に謝ったでしょ」
即バレた。
視線を逸らし、話題を変える。
「その……受け止めた後、何があったんですか?」
「ああー、それね」
先輩が、少しだけ落ち着いた声で話し始める。
"社長"から聞いた話らしい。
流星群を見ていたとき、突然、女性が現れて。
「二人が危ない」
そう言ったという。
そして、現場に着いたときには――
「ボロボロだったって」
苦笑する。
「……生きてて、よかった」
ぽつりと、呟く。
さっきまでの勢いはない。
本音だと分かる。
「……はい」
小さく答える。
少しだけ、胸が締め付けられた。
「で……」
視線を、もう一人へ向ける。
フードの女。
改めて見ても、やっぱり美人だ。清潔系と言うのだろう。
それに…
(いや、これは見過ぎか……?)
胸が…大きい。
「白石君?」
「いえ、何でもないです」
先輩に睨まれた。
完全にバレてる。
「私ですか?」
女が、静かに口を開く。
「シフリスと申します」
淡々とした声。
「今回は……ありがとうございました」
深く、頭を下げる。
聞いた話によると、操られていた間の記憶はないらしい。
気がついたときには、
目の前に瀕死の人間が二人。
「……怖いな」
思わず、呟く。
「はい?」
「いや、何でもない」
そのとき。
ドアが開く。
「おお、起きたか」
"社長"だ。
相変わらずの雰囲気。
「危なくなったら逃げろって言っただろう」
「ああ……すみません」
「まあいい。生きてりゃどうにでもなる」
軽い。
軽すぎる。
「死んでたらどうにもならんがな」
それはそう。
「ある程度の傷なら回復魔法で治るし」
(瀕死って“ある程度”なんだ……)
新しい価値観に触れる。
すると。
「次に行ってもらいたい場所がある」
来た。
「……」
ブラック企業かな?
「黒幕に関する情報が入った」
確かに、気になる。
でも。
「……少し休んでからでいいですか?」
切実にお願いする。
「駄目だ」
即答。
知ってた。
「とはいえ、三日は休め」
(三日もくれるのか……?)
一瞬、希望が見える。
「その後すぐ出発だ」
消えた。
「……何しよう」
呟く。
その瞬間。
体が重くなる。
「あ、これ――」
懐かしい感覚。
体調管理発動。
抗えない睡魔。
「……寝よ」
視界が暗くなる。
意識が、ゆっくりと沈んでいった。
今回で転生編は終わり
明日も投稿




