↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
148/211

#135 馬鹿

「おやおや。今まで散々寝ていたと言うのにまたお休みですか?」

レイズは革靴を鳴らし、ふてぶてしく歩く。

「――返事は無しですか。本当に寝ているのか、それとも…」

彼女から出る魔力が、一層濃くなった。

「なるほど。こうして膨大な魔力を維持していたのですか」

鼓動を鳴らすように、魔力が脈打つ。

一つの生物のように――そして、アル=ゼリオにもある魔力のように。

「使えるだけ、使わせて貰いますよ。後は――」

「何をするつもりだ?」

彼女の方から声がした。

レイズが振り向く。

「起きていたんですか。ならそうと言ってくれれば良いのに」

「それよりも、その後何するつもりだったんだ?約束だけはしっかり守ってもらうぞ」

「勿論です」

すると、彼女は再び目を瞑った。

「…本当に、馬鹿ばかりで助かりますよ」

隠す気の無い笑みを浮かべた。

「白石も、その仲間も、彼女でさえも…」

その高笑いは、他の誰の耳にも届かなかった。


「――」

「…」

セレナは、机に向かっていた。

対面に座っているのは、白石湊。

真横に座っているのは、カノンだ。

「――今更僕に説教ですか?どうぞ」

湊は放心しきった…と言うよりも、完全に意気消沈。

燃え付いて、冷笑族の仲間入りを果たしている。

「…今日は説教をしたい訳じゃないわ」

そして、一泊だけ待って言った。

「白石君は――もうこの世界に来なくて良いわ」

部屋が静寂に包まれる。

「帰るなら、ゲートがまだ残っている今のうち」

そう言って、突き放すように立ち上がった。

「それだけよ。さようなら」

そう言って、セレナは退出した。

湊はその言葉を、呆然と受け止めていた。

今までの行動からして、当たり前と言えば当たり前。

「――カノンは何しに来たの」

逃げるように聞く。

「ただ監察しているだけです」

冷たく言う。

今までの言葉の一つ一つが、湊に突き刺さった。

そして、湊は立ち上がり、歩いて何処かへ行った。

「…ルナ様が、浮かばれませんよ」

湊が退出したあと、カノンは一人で呟いた。


ユラリアの外は、もう雪が降り始めていた。

これから先、止めどなく降り続ける雪。

ゲートはそこまで遠い訳では無い。

しかし、今回は今までよりも遠く感じれた。

重い足を動かし、前へと進む。

その時、何を考えていたかは分からない。

ゲート手前まで来た時、不意に立ち止まった。

気が付けば、あの剣も消えている。

支えてくれる存在も全て失ったのだ。

再び、歩き出した時――

突如として、頬を殴られる。

「少年。それでいいのか?」

久しぶりに聞いた声。

そこに立っていたのは、湊に訓練を付けた筋骨隆々の人だった。

ポカンとしている湊に、彼は言う。

「それでいいのかと聞いているんだッ!」

周囲の雪が溶けてしまいそうな程の熱を向ける。

「逃げる事に文句は言わない。しかし!今まで助けて貰った人達を、この世界を見捨てる事など、この私が許さんッ!」

そう言って構えを取った。

「かかってこい!少年!」

湊に取って、きっと――いや、間違いなく勝ち目はない。

それでも、湊は…


「ハッハッハッ!強くなったな。少年!」

完全にのびている湊に言う。

結果は、大男の勝利。

「さらばだ!縁があればまた会うだろう!」

そして、大男は去っていった。

暫くして湊は立ち上がる。

ゲートを見る。

そして――歩き出した。



「カノン!」

部屋の扉が勢いよく開いた。

「神格者を蘇らせる方法を教えて下さい!」

頭を下げ、懇願した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。