↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
147/211

#134 各々の災害

発災、2日目――

各地で対応に追われていた。

ある人は、遠くの地へと。

またある人は、それも運命と信じて受け止めた。

各々が、後悔しない末世を送ろうとしていた。

そして、ゼルティアでは…

「西区、北区の退避完了しました!いつでもいけます!」

「了解!魔力吸収弾第一陣、打て!」

ヴェルナの号令と共に、街から一斉に銃弾が放たれる。

目指すは、全て上空の雲。

それらは雲の中へと飛び込み――雲を消した。

「やったか!?」

思わず、手を握った。

しかし、また別の雲が表れる。

「――今回も失敗のようね」

低く呟く。

「どうやら、空中にある魔力が雲を生み出していて、それらを同時に消し去るしか、すべてを対処しきることはできないようです」

「困りましたね。まだ校舎の復旧すら進んでいなかったのに」

「災害は待ってくれないわ。たとえ人災でも同様よ」

ヴェルナは再び机へと向かう。

隣に座った男性が言った。

「試しに、国旗を真っ白にしてみます?今なら通ると思いますよ」

おどけて言ったつもりなのだろうが、冗談を言っていられる場合ではない。

「――最善を尽くすわよ。降伏するのはその後」

華麗にスルーと言うより、威圧が混じっていた。

「すみません。気をつけます」

「いいわよ。冗談も言いたくなるものね」


発災、3日目――

未だカノン不在のローラスは、各地の守護者が一堂に集められていた。

理由は単純である。

過去最大規模の結界を張る――それでしか、この場を護ることは出来ないと、カノンは考えたのだ。

具体的には、世界樹(ユグドラシル)周囲の結界を引き伸ばす。

その為には、ワダツミ率いる竜人族(ドラゴニュート)の協力は不可避。

と言うことで、ユレールは忘れられた地(フロンティア)を訪れていた。

「…だいたい、法皇様本人を連れてくるってのが筋じゃないのか?」

そして、猛烈に怒られていた。

「カノン様は今、ユラリアへ行っていて、代理で私めが――」

目が泳ぎきっている。

「それは俺様でも知ってる。そうじゃない。法皇様はまたいつか来てくれるんだろうな?」

「はい。恐らく…」

「…分かった。明日から取り掛かろう。適当な所に泊まっておいてくれ」

そう言って、ワダツミはユレールを帰らせる。

「…これで良いのか。母様…」

その目は、もう暗い空を向いていた。


発災、4日目――

ラグナ魔法国家では、とあるデマが蔓延していた。

アル=ゼリオ第七遺跡群発見と、再発災の関係性についてである。

『遺跡に踏み入れた事により、神の逆鱗に触れた』

などの妄想や、

『ユラリアとラグナが手を組んで世界を支配しようとしている』

など、陰謀論めいた物まで。

そして、ラグナ国立大学では――

「このようなデマに惑わされる愚か者は、我が校には一人もいないと信じている。経験と記録の裏に真実がある事を忘れないように!」

理事長が相変わらずの熱弁をしていた。

「いつまでこの話をするのだか。そろそろ避難させてもいいと思う」

講堂の後ろ側から冷観しているフィアナ。

「理事長の性格からして、事実無根な蜚語に操られるのが許せないのは分かるけど…」

隣にいた先生に言った。

「今日から避難が始まるんです。我が子達に会えなくなると思ったら言葉が溢れてくるんでしょう」

見ると、理事長は涙ぐんでいた。

「大変だね…」

乾いた声が出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。