#132 大災害
「生活魔法と攻撃魔法は禁忌。この地域で使ってはいけない」
暗闇の中、誰かの声が響いた。
「地獄の氷河は、400年前に世界を滅ぼした災害」
どこかの教師がそう言った。
「復活させてはいけない。世界が滅ぶわよ」
聞き馴染みのある声達が頭の中でこだまする。
「そうか、僕は…」
事実に気がついた瞬間に、目が覚める。
「白石君!起きてよ!」
先輩が叫んでいた。
「喚くな。見苦しい」
悲鳴が聞こえる。
「えらく遅い目覚めだの。味方は皆倒れたと言うのに」
声とともに、腹部に強烈な痛みを感じた。
身体が真後ろへと吹っ飛ぶ。
「奴等が妙に貴様を守ろうとするから、殺すのに時間がかかってしまった」
淡々と言う。
「…ルナは?先輩は…?」
「神格者は皆消した。あの女はまだ生きてはいるが…安心せい。すぐに仲間のところへ送ってやる」
槍を振り下ろす。
ルナが持っていたような、いや、それよりも大きい槍。
反応もできず、成すがままにされようとしていた所…
――ガキィン!
刹那、武器と武器がぶつかる音。
目の前に、白石を庇うようにセレナが立っていた。
「ほう?散々邪魔してくれおった貴様が今更何のようだ?」
セレナは答えず刃を振る。
敵は、避けようともしなかった。
首に当たる所で、止まる。
――パキッ
刃の先端が、凍っていた。
「そうか。守ろうというのか。自分勝手な女よ」
「…自分勝手で結構。私は私が正しいと思うことをするだけよ」
暗器を取り出し、投げつける。
それをいとも簡単に受け止めたと思うと、槍を振りかざした。
「ならば、望み通り貴様も同じようにしてやるわ。逆らった事を後悔するが――」
「そこまで!これ以上やっても無駄ですよ」
レイズの声が響く。
「貴様に指図される筋合いは無い」
睨みつけるが、レイズは続けた。
「復讐も果たせました。ひとまずは引きましょう」
「――チッ。命拾いしたな」
舌打ちした後、どこかへ消えた。
セレナは武器を持ち直す。
「ほら。立てる?」
湊から反応はない。
「葵。貴方は無事のようね。手伝ってくれない?」
「私が無事って…人使いが荒い!」
「"社長"に似たのよ」
回復魔法をかけた後、無理やり起こす。
湊は何も話さなくなっていた。
「…ショックを受けているようね」
セレナが背負う。
「今する話では無いのかもしれないけれど…さっきは悪かったわね」
やはり、返事は返ってこなかった。
「方法を探しましょう」
広場には、12柱の氷塔が立っていた。




