#127 "時間王"イラストリアス=ヴァンガード
街の一角にある噴水で、丁度涼しんでいた頃。
「残りは"時間王"だけだね。近場にいるから結構早く終わると思うけど…」
思い返せば、すごく長かった。
"魂久王”から始まって、"創壊王"に"能力王"、"運命王"と"配縁王"で、"法則王"と今回のだとすると、7人と出会ってきた。
神格者らしいと言えば神格者らしい、癖のある人たちだった。
「"時間王"はね…名前通りなんだけど、時間を止められるんだよね」
「時間…停止?」
それを聞いた途端に、先輩が叫んだ。
「え!?時間停止モノは嫌ー!」
いきなり何を言い出すと思えば…
「落ち着いてください。アレは大体がヤラセです」
向こうの世界にそんな夢のある事はない。
すると、先輩が一言だけ言った。
「白石君、なんで知ってるの?」
「いっ!?」
そう言えば、先輩女性だった。
あんまりこんな話をするべきではない。
そう思い、ルナに"助けて"と眼差しを送る。
そして、僕が取るべきことはただ一つ。
「クラスメイトと話す時に話題に上がったんですよ。僕も実際見たことはないです!」
とにかく、弁解することである。
先輩はまだ、疑問たっぷりの目で見つめてくる。
「――でも、ちょっと幻滅した」
勝手に期待しないでください。
その時、ルナが何やら合図をした。
やっとこの尋問から抜け出せる…
「私はどんなパートナーでもいいけど」
違う!そうじゃないんだ。
ありがたいけどさ…
「やっぱり、ルナちゃんはすごいね。そんな事私には無理だよ」
すると、なぜかうまい方向に話が向かった。
「生きる時間が違うからね。期待しすぎても得ないし」
ルナは、何かを悟ったような目をしていた。
「"時間王"そろそろ来れるって」
「向こうから来てくれるの?」
「うん。暇なんだって」
時間を持て余しているから…なのか?
「時間を止めれるって結構チートだと思うけど、実際どうなの?」
「実は、意外とそんな事なくて…私にはよく分かんないけど、何にも見えなくなるんだって」
何にも見えなくなる…?
「滅多に止めないみたいだよ。面倒くさいから」
強いだけじゃないのか。
「あ、いた」
ルナが見た先には、丁度好青年が一人立っていた。
背丈だけなら大学生ぐらいだろうか。
モノクルをつけていて、いかにも賢そうな見た目だ。
「どうも。"時間王"イラストリアス=ヴァンガードと言います。名前が長いので、好きに呼んで下さい」
頭にぱっと浮かんだ名前は…
「――VAN?」
すると、彼は静かに笑った。
「そのような呼び方をされるのは始めてですね。いい響きです」
噛み締めるように言った後、少しだけ話をした。
「――時間停止って聞いて、どう思います?」
「万能で最強だと思うけど…違うんだよね」
VANは勿論と言いたげに頷いた。
「私にもよく分からなかったので、プローフに聞いてみたんですよ。そしたら、『光まで止まってるんじゃないか』と言われました。なんなら、魔力も止まってるので他のスキルも使えません。体だけが動かせるといった感じですね」
――とんだ欠陥では?
「個人だけ止めると"運命王"にその人の運命がどうのこうの言われて使えないんですよ。つまるところ、完全な欠陥能力です」
それだけ聞くと、これが神格能力とは信じられなかった。
「神格者は無限の時間もありますし、わざわざ使う必要もないと言うか…」
大変だなと、率直に思ったのだった。




