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番外編 シフリスとフェイタル その3

とりやえず飛び出してきたはいいものの、対抗手段すら何も無い

冷静になってみれば、せめてあの秘書だけでも味方にしておいた方が良かった。

今使える能力は"契約の絆"と伝操統術(アンタゴニスト)のみ。


"契約の絆"

・相手スキルの部分的使用(世界超越(ファストトラベル))

・相互位置把握

・相互能力上昇

伝操統術(アンタゴニスト)

・対象の制御

・対象の能力上昇

・能力の授与、剥奪


…やはり頼ったほうが良かったかもしれない。

そもそも、戦闘系スキルなんてほとんど持ち合わせていないのだ。

持ち物は…本物ではなく、模造品だが日本刀一本だけ。

あまりにも貧弱。

行く先で誰かの助けを…って、知り合いがそもそもいない。

とにかく進んで玉砕するか、状況が分からないまま悶々と過ごすか。

どちらに転んでも地獄。

「両方地獄なら…救える方を」

決断の末、修羅の道を歩みだした。


ユラリア某所、監禁所――

ガシャンと音を立てて牢獄が閉じた。

腕には鎖。

シフリスは呆れていた。

"家族"と言う割には大層なご挨拶だ。

さらに、魔力を吸う鎖によってスキルは使えなくなっている。


世界超越(ファストトラベル)

・空間、時間、次元の移動が可能

・ゲートの生成、保存


手持ちはナイフ一本だけ。

正直、勝ち目はない。

ナイフで鎖を切ることは出来ない上に、魔力量で押し切ることも不可。

無論、暴れたところで切れるような代物でもない。

脱出は諦めて、制圧に踏み切ることにした。

ざっと見た所、敵は"親"ただ一人。

もし変なことをしようとするなら、必ず隙が出るはず。

それまでは従順なふりをして、その時が来たら力を解放するしか術はない。

不思議と落ち着いていた。

家出したあの日から、もう二度と戻らないと決めた場所でも。

フェイタルがいつか来てくれるはず――そう信じることで、恐怖は消え失せている。

何となくだが、分かっていたのだ。

それほどの存在であった。

幸いにも、空腹になることも、睡魔に襲われることもない。

警戒は解かずに、その時まで見張っていようと固く心に誓ったのだった。


一方、あの時逆方向に走り出したセレナは、"社長"と相談していた。

「遂に動いたようです。初代の差し金かと思われます」

ただならぬ緊張感が二人の間に漂っていた。

「現在は、リアエンド=フェイタルが行方を追っていますが…正直、勝てるとは思いません」

「…流石に、死ぬことはないだろう。ただの人間が神格者に勝てるはずがない。そう信じたいが…」

状況は、芳しいとは言えない。

「利害の違いにより、まさかこれほどまでに悪化するとは思いませんでした」

「年老いた奴は、何を考えるか分からない。万全の対策をせねばならん。君はこのままここにいてくれ」

「ですが、あの子達は…」

「問題ない。私の勘だよ」

勘と言うにはふさわしくないほど、確信を持って言っていた。

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