#123 "能力王"その三
ルナは、さっきからもう何も言わなかった。
後は二人で解決できるでしょ――ということだろう。
最後に言ったのは、「後は流れで!」
何とも頼りない言葉である。
もっとも、リーシャの後押しにはなったようだが。
「お兄様。少々話があります!」
それ以降は、声量が下がってしまったため、こっちからは聞き取れない。
だが、ジェスチャーだけでも何を話しているか分かるぐらい、表情豊かに喋っている。
「さっきは…ごめんなさい。行き詰まってることが分からなくて、いっぱい口出ししたり…」
勢いで話し、手が動きまくるリーシャと対象的に、トリスは特に動かなかった。
その目はただ一点だけを見つめていた。
「それでも、私分かったの。私に出来ることは、お兄様を支えることだけって。だから…」
トリスがリーシャの話を遮った。
「――何の話をしているんだ?そんな事、言った覚えがないんだが…」
「…え?」
思わず、呆気にとられる。
「いや、リーシャがそう言うならおそらく言ったのかもしれない。作ってる時は言動が荒くなるものだ。だが、本心ではない。リーシャには私がそんな事を言うように見えるのか?」
すると、慌てて訂正した。
「いえ、お兄様がそんな事…」
トリスは、まるで分かっていたかのように頷いた。
「当たり前だ。今まで支えてきてくれたリーシャを、そのように言ったりはしない。むしろ…」
リーシャに聞こえない程度の声で言った。
「私の方こそ、リーシャの側にいるべき存在かどうか迷っていたところだ」
勿論、気が付くことはなかった。
リーシャは顔を明るくして言った。
「良かったです!」
そして、ルナの方に向かった。
「ありがとうございます!おかげで私は…」
「いや、全部君だよ。私は何も言ってないからね」
それでも続けようとするリーシャを、無理矢理遮った。
「代わりに…今作ってたスキルを教えてくれない?」
すると、二つ返事で了承して言った。
「"相手の能力を奪える能力"です。"運命王"からそう言われました」
「――運命王が?」
急に渋い顔になった。
「もしかして、またなにか企んでるんじゃ…?」
その瞬間から、次に行くべきところが決まったようだ。
「ありがと。また今度呼んだらその時はよろしくね」
ルナは体を翻して、どこかに行こうとした。
「ルナちゃん!?次はどこに…」
「"運命王"」
短く言った。
「私とパートナーが出会ったのも、全て"運命王"が定めたことよ。ついでに、"配縁王"にもね」
突然の告知に、驚きを隠さずにはいられなかった。




