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#122 "能力王"ユークレル=リーシャ

「リーシャ!いるなら返事してー!」

ルナの声だけがただ響いていた。

「情報確認(パラメーターチェック)でも反応無いよ」

先輩が付け加える。

自分が作ったスキルに探知されなくなるのも簡単とは恐れ入った。

流石は"能力王"ユークレル=リーシャ。

それでも、ルナから逃げられるとは思わないほうがいい。

「リーシャが作ってないスキルなら…意思再会《リユニオン》!」

「それってカルナの…」

「借りた」

"奪った"のほうが正しいのでは?と思った。

「やだなー"正当な手段"だって」

そう言ってスタスタと迷いなく歩きだした。


しばらく歩いた後、ルナの足は自然に止まった。

どこかから、泣き声が響いている。

「…リーシャかな」

「さっき自分から出ていってたけど、なんで泣いてるんだろうね?」

声の方に進む。

そこには――

「やっぱりリーシャだ!」

ルナが声を上げるが、リーシャは振り向こうとはしない。

ただ泣きじゃくるだけだった。

「大丈夫なの?アレ…」

不安そうに先輩が言う。

「ルナに任せるしかないですね」

僕には、よく分からない。

あの二人の関係も、傷ついた人の癒し方も。

そして、ルナはリーシャの近くに寄っていた。

――だが、ルナには不安があった。

それは、星巡記憶(エターニティメモリー)が使えていないこと。

同格には使えないのが悪かった。

よって、察することなど出来ない。

なんとかして本人から理由を聞き出すしかないんだが…

ルナには、そのスキルが欠けていた。

なので…

「なんでそんなに泣いてるのか、私に話してくれない?」

ド直球。

大人なら、気を悪くしたかも知れないぐらいに。

でも、リーシャは…一万年生きてはいるが、精神はまだ子供のままだった。

そして、泣くのを止めた。

言葉を少しずつ出す。

「私は…お兄様に『必要ない』って言われたの。もう、私がいることに意味なんて…ない」

それを聞いたルナは目をぱちくり。

「お兄様は一人でも生きていける。でも、私には無理なの。それなのに…」

ぶり返したように泣き出した。

その事を知ったルナは、何も言えずにいた。

神格者特有の悩み。

それは、長い時間生き続けてしまうこと。

寄り添える相手がいないと、気がおかしくなってしまう。

子供の精神状態なら尚更だ。

きっと二人は、お互いが支え合うことで今まで生きてこれたのだろうに…

ルナはその事を痛いほど分かっていた。

「――それでも、きっと必要とされてると思うよ。喧嘩した時に、つい心にもないことを言うのが人間だもの。それに…リーシャのスキルは、二人いないと使えないでしょ。そばにいるだけで、トリスの役には立つんだからさ」

リーシャの顔が少し明るくなった。

もう、泣いていなかった。

「本当に…?」

「そりゃそうでしょ。二槍創星(ツイン・ジェネシス)は二人で一つ。仲直りしに行きなよ」

ルナがリーシャを起こす。

そして、元いた方へ歩き出していった。

ルナが駆け寄る。

「ほらね。上手く行った」

そうか。初対面であんなに詰め寄ったのはそういうことだったのか。

湊の考えが分かったようにルナは言う。

「行こうよ」

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