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#121 "能力王"ユークレル=トリス

ユラリア某所、"能力王"の住処。

「そろそろ目を開けていいよ」

暗闇にルナの声だけが届いた。

なぜ暗闇なのか。それは目を閉じていたから。

まぶたを開け、視界が開ける。

「あの兄妹、自分が住んでるところを教えたがらないんだよ。ごめんね」

「いいよ。無理言ってるのはこっちだし」

目隠しをした状態でここに連れられたのだ。

「一応、ここはユラリアなんだよね」

「そうだよ。あの世とかでもない、普通の現世にあるの」

やってきた理由は勿論、協力してもらうため。

「ロールが他の誰かの位置を知ってるはずがないもんね。でも、なんでファントは居場所を知ってたんだろう」

「僕たちにはよく分からないけど…」

しかし、どうやら分からなかったのは僕だけのようだ。

「私が考えるに、きっとファントが霊体だからじゃないかな?」


「あの兄妹とは昔ながらの友達だし、簡単に協力してくれるハズ――」

ルナが言いかけた、その時だった。

「もう頭にきちゃう!お兄様の、わからず屋ー!」

言葉とともに、何かが飛んでくる。

そして、丁度湊の頭に。

「な、何?」

困惑。

すると、奥から誰かが走ってきた。

その姿を見たルナは言った。

「リーシャ!?何で…」

それでも止まらず、どこかへ走り去っていった。

「…何だったの?今の」

「兄の方に聞いてみよう」


「ルナか。なんで今来るんだよ」

"能力王"の兄――トリスは不機嫌そうに言った。

「それよりも、リーシャと何があったの?兄妹喧嘩なんて珍しいじゃない」

「――ほっとけよ。全部リーシャが悪いんだ」

トリスは自分に責が無いと思っているようだ。

「――なにこれ。子供の喧嘩?」

先輩が小声で言った。

「相手だけが悪いなんて絶対に有り得ないのに、お互いにそれを認めようとしないんだね」

先輩の軽蔑したような声は、トリスの耳に届いたようだ。

「何も知らないくせに調子に乗るなよ。その気になれば貴様など…」

「やったらどうなるか分かってるね?」

本気の威圧に、トリスは黙り込んでしまった。

「なんで喧嘩したのか教えてよ」

その声とセリフだと、先輩がお母さんに見えた。

「――スキルの事だ。貴様らには関係ない」

「スキルの事?」

「また新しいスキルを作っておけと"運命王"から言われた。でも、それが難しかったんだ」

「それで、ピリピリしてる時で喧嘩に発展したと。なるほどね」

「所詮貴様らには分からないだろうな」

悲観したように言っている。

「いや、少なくとも君たちを仲直りさせることはできるよ」

その事を聞いたトリスは、変な顔になった。

「やれるものならやってみろ。どうなるかは見ものだがな」

それを聞いた先輩は奮い立った。

「仲直りさせて、私たちに協力してもらおう!」

まさに、仲直り大作戦が幕を開けた。

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