幕間 セレナの1日
秘書セレナの朝は早い。
臨機応変に対応できるよう、体調管理は使用しない。
指定の時間に起きられるよう、訓練を重ねているのだ。
セレナは、朝風呂に入ることを習慣付けている。
特に仕事には関係はない。が…
ストレスが溜まる故、入らないとやっていけないのだ。
風呂から上がると、朝食。
もちろん、自炊である。
健康に気を使い、野菜と水、パンで済ましている。
起きて間もない間に、昨日の内に準備していた資料をまとめる。
今日午前にある会議のためだ。
とは言え、出席するのは"社長"だけなので少しの余暇が生まれた。
"社長"からは珍しくフリーをもらっている。
「労働基準法に抵触しそうだから、適当に何処か行って休暇判定貰ってこい」
――呆れた。
しかし、セレナは遊び方が分からぬ。
それ故、毎度毎度適当な事をして過ごしている間に、疫病神に出会って、仕事をさせられているのだ。
だが、今湊はゲルゼズにいる。
「流石に出会わないでしょう!勝った!」
海に向かってポーズを決めていると、後ろから声がした。
「セレナ様…?」
そう。そこには元湊の仲間、シフリスが立っていた。
「なんでアナタがこんな所に!?」
予想だにしなかった事態に、冷静さが乱れた。
「私、いつもこの辺り歩いてますけど…」
そこで、セレナは思い知る。
"湊の仲間からは、逃げることができない"と。
「白石湊…ここまで厄介な人だったのね」
またしても何も知らない湊である。
「セレナ様はどうしてここに…?」
いつも滅多に顔を見ることがないので、シフリスは不思議がっていた。
「…私はね。久しぶりに休暇を貰ったのよ。湊にも邪魔されず、平穏な休暇を送れると思ってた」
完全に意気消沈。
「――すみません。私フェイタルを待たせているのでそろそろ…」
「待って!名前を出したら…」
セレナが慌てるも、悪い予感には逆らえない。
「セレナ?なんでこんな所にいるんだ?」
顔を顰める。
「ああ、またしても…」
休暇を取れない女、セレナである。
午後、特に呼び出しもかからなかったので、一日フリーが確定した。
しかし、もう外に出る気はない。
ゼルティアに行こうが、ローラスに行こうが、またあの一味と出会ってしまう。
それが、とてつもなく嫌だった。
家でゴロゴロして、休養を取って…
寝付けない。
自分が昼に寝れない事にセレナは気が付いた。
徹底的な睡眠生活を送っていた為、夜以外寝れなくなっている。
「…掃除ですか」
暇な時の最終手段、家の掃除をする事になった。
いつも、"掃除"をやっているので慣れている。
掃除の基本は、上から下。
どちらの意味でも完全である。
秘書の夜は遅い。
「――掃除しすぎた。結局休めてないし…」
せっかくの休暇が台無しになった…
そこで、"社長"から連絡が入る。
「はい。明日はいつも通り出勤しますよ…」
しかし、"社長"か言ったのは「それなんだが、明日も休んでいいぞ」
聞いた瞬間、飛び上がって喜んだのである。
「よし!これで…」
その後、嬉しすぎてよく眠れず、更には明日も同じような一日になったのは言うまでもない。




