#118 ゲルゼズ
ゲルゼズ共和国にて、民衆によるデモが発生。
鎮圧を試み軍隊を送るが、一部の兵が脱走更には民兵に加わるといった事態にまで発展。
終いには首相が側近に暗殺され、ゲルゼズ共和国は終焉を迎えた。
跡を継いだゲルゼズは、民衆と和解。
首相の横暴を防ぐため、そして、再び民衆の反感を買わないように法律を制定。
そして――インフラの整備を進めるのだった。
「これが今やっていることだ。俺は学のない田舎者だが、民衆の力を借りてなんとかやっていってる」
という話を、飛行機内で聞いた。
もちろん、あの時の893である。
まさか本当にレジスタンスになっていたとは思わなかったが、短期間で国を変えたとは…
「これも全て、アニキのおかげです!」
首領にまでなっていたとは思わなかった。
「ゆくゆくは、国歌の中にも称える歌詞を入れようと思っています」
国歌!?
「流石にやりすぎじゃない…?」
「いや、俺達を変えたのはアニキ達ですから、当然です!」
「でも、程々にね…」
「ゆくゆくは、国会の前に銅像でも――」
「止めて!絶対壊されるやつだから!」
指導者の銅像が歴史上何度壊されたことか。
「それぐらい、世話になったってことよ」
次は発言に気をつけよう――
この世界に来てから、一体何度目の飛行機だろうと、ふと思った。
よくよく考えると、異世界にありがちな展開が――
ルナを見る。
先輩にも言われていたが、これはハーレムではないだろう。
だいたい、もっと世界は未開拓で元の世界の現代知識で主人公ウハウハ…というのがベターなところだろうか。
「ま、下手に蛮族だらけでも困るじゃない」
先輩が言った。
「最初に殺されたら何も言えないでしょ。移動も便利だし」
「そうですね…」
「言葉も通じなかったら、一向に話が進まないよ」
――なんで日本語が通じてるんだろう。
何かしらの能力によるものだろうか。
「私も知らない」
ルナが言った。
「"異世界から人が来た"なんての長い人生始めてだから」
イレギュラーな事。
「"社長"って正体なんだろうね」
「聞こうとしたら忘れるんだよね…」
星巡記憶はどうした。
「セレナさんといい、只者じゃない雰囲気はするけどね」
「どんな関係なんだろう。恋愛はしてないよね」
「ないない。セレナさんは20代あたりだけど"社長"は40越えてるでしょ」
でも年の差――
「そろそろ空港につくと思うぞ。シートベルトしとけ」
飛行機が、高度を落とす。
首都名も、ゲルゼスタンからゲルゼズに変えたようだ。
「俺達の国はこれから。また何かあったら――よろしくな!
元893とは思えない笑顔だった。




