#112 救出大作戦
氷室は、そこまで涼しくはなかった。
「この気温でこれだけの氷を保つなんて、絶対に能力の力よね」
大きな氷の塊が、中央に鎮座している。
不思議と、冷気は感じれなかった。
しかし、謎はもう一つある。
「中に人がいるようには…見えないですよね」
封印されているとしたら、もっとはっきり写っていてもいいはずだ。
「また剣を使うんじゃない?色々やってみたら?」
フィアナさんに言われた通りに、周囲をぐるぐる回ってみる。
剣を掲げたり、刺してみたり、触れてみたり…
「――助けてください。手がくっつきました」
ああ、何とも間抜けな姿だろうか。
最早笑うしかなくなっている。
「助けてって言われても、火で溶かすと巻き添えになっちゃうだろうし…」
すると、なぜか近づいてきた。
「なんで近づくんですか?魔法ならもっと遠くで…」
それでも何も言わず、僕の後ろに回った。
「――力技で行くわよ。せーの!」
フィアナの腕から力が加わり、胴体が後ろに持っていかれる。
それでも、手が氷から離れる気配はない。
まるで、掴んだものを離したくないかのように。
「なら次は…こうよ!」
言い終わった瞬間、力が増した。
「何したんですかー!」
この時湊は知る由もないが、フィアナは後ろの空気を空圧制御で押し出し、気圧差で力を増しているのだ。
しかし、湊の手はまだまだ離れない。
「さすがは特別性ね。最後はこれよ!」
これ以上どうしようも…
考えていると、視線の先が光った。
「まさか…」
その声は、爆風によって消された。
「解決法は爆発よ!」
そんな方法じゃ絶対無理に決まって――
その時、ふいに手の感覚が消えた。
取れたのだ。
――氷ごと。
「ちょっとフィアナさnー!?」
湊の体は、気圧の力で真後ろに吹っ飛ぶ。
体は壁に打ち付けられた。
「回復魔法…」
最近こういうことばかり起きている気がする。
「ごめん!その後のことは考えてなかったわ」
生きてるからいいんですけどね。
…だんだん思想が"社長"に似てきた気がする。
「それより氷塊が壊れたけれど、これでいいの?」
フィアナさんが一つをつまみ上げて言った。
「いいのかって言われたら、良くない気はしますけど…」
結局、中には何も入っていなかった。
なので、結果的には問題ないはずだ。
無いはずなのだが…
剣が、異様なまでに光っている。
まるで、「なぜ壊したの?」とでも言いたげに。
怒っている"聖霊王"の姿が頭に浮かんだ。
「…ごめんて」
それでも、収まる気配はない。
すると、剣が自ら動いた。
僕も引きずられるように、部屋の中央へ。
「湊君頑張れ…」
フィアナは少し離れたところで見守っていた。
中央で、より一層輝きを増した剣。
僕には、"聖霊王"がアレをしろ。コレをしろと言っているように見えた。
…もちろん、読み取ることは出来ないが。
すると、剣が自ら上がる。
丁度、剣を掲げるような形になった。
「なんでこんな事…」
頭の中には、ミヅハを呼び出した時のような感情があった。
そして、剣が僕の魔力を吸う。
ただでさえ少なくなっている魔力を。
「ちょっと!?何する気…」
次の瞬間には、ボワンと煙が上がる。
湊は、またもや頭から爆発を食らったのだ。
そして――
そこには、あの時の"聖霊王"が横たわっていた。
いや、なんで…?




