#111 氷室
意識が戻らないフィアナさんに向かって、「回復魔法!」
この魔法、最近威力が上がった気がする。
使える魔力量が増えたからなのか、カノンのおかげなのか。
そもそも威力って言うのかどうかも疑問だが…
「ん…湊君?」
声が聞こえ、安堵の息を漏らす。
「よかったですよ。死ぬことはないとは思ってましたけど、不随とか洒落にならないですからね」
「死ぬことはないって何?私か弱い女なんですけど」
30代でか弱いとは中々…おっと、そう言えば。
「さっきはありがとうございました。背中が益々痛くなった事以外は完璧でしたよ」
あえて背中を強調しておく。
「そう。なら起こしてくれない?」
ちょっとは悪びれろ!
そう思いつつも、起こすんですけどね…
ただ自分の意思の弱さを嘆くだけだった。
「そう言えば土製人形を倒したら、扉が開いたんですよね」
新たに開いたほうに指を指す。
「なら進む?」
「――そうですね」
扉に向かって歩き出した。
少し進むと、ちょっとした広さのある空間に出た。
「ここで合ってるんでしょうか」
「でも、道はまだ続いてるよ」
フィアナの言う通り、まだ続く。
「いくらなんでも長過ぎません?ちょっと休みましょうよ」
腰を下ろす。
「体調管理発動してるから疲れないよね?」
体力の話じゃないんですよ――
すると、どこからか音がした。
そんな気がした。
「フィアナさん。今なにか聞こえましたか?」
「いや、私は何も…」
フィアナさんが、上を向いた。
そこには、光の玉が2つあった。
「あれ?私が作ったのは一個だよね」
疑問を浮かべる。
「そうですね。多分コレは…」
言い終わる前に、片方が動き出した。
「…追いかけましょうか」
休憩は終わりだ。
「そうね」
追いかける内に、光は一つ、二つと増えていく。
輝きも、少しづつ増していった。
「もう照明天火よりも明るいわね」
フィアナさんが言った通り、既にライトを凌駕している。
「やっぱり、精霊でしょうか」
「精霊の生息地はここじゃないでしょ」
「でも、前回見たときと一緒なんだよな…」
「精霊だとしたら…"聖霊王"がいるのかもね」
「いたらいいですね」
話をするうちに、少しづつ希望が見えてきた。
「そろそろゴールじゃない?」
指を指した先には、扉があった。
とても重厚で、模様のない…
「封印されてない?」
確かに。
「フィアナさん。解けますか?」
「私でも流石に…」
フィアナは、情報確認を開いた。
[精霊の封印:特殊な方法以外で解除は不可能]
「終わったわね。手がかりはないかしら」
特殊なものだとしたら…
この剣か?
「そうよね。やってみましょう」
フィアナさんが剣を受け止り――
バチィ!
電流が流れた。
「痛い!前回もこうだった!」
そういや、そうだった。
「僕がやってみます」
剣を拾い、掲げた。
「封印を解き給え!」
これは完全に適当に言った。
「湊君。そんなのでいけると思ってるの?もっと真面目に…」
すると、封印が解けた。
「ええ!?」
フィアナさんが驚きの声を上げる。
「こんなのでいけるなら、今までの私の努力は…」
「ほら、いきますよ」
扉に手をかけ、開けた。
そこには…
「なにこれ氷?」
そこには、確かに氷があった。




