#108 理事長
「続いては、理事長先生のお話です」
一人の司会が言った。
学校のトップって、なんでみんな話が長いんだか。
今回も退屈な――
そう思っていた。
突如として、講堂が暗くなる。
生徒たちのざわめきも一段と大きくなった。
そして、理事長が登壇する。
教壇特有のコン…コン…という音を立てながら。
そして、咳払いをして言った。
「この学校に入ったからには、守らなければいけないルールが沢山ある。それは理解しているだろう」
暗闇で姿は見えない。だが、熱弁する先生がいる事だけは分かる。
「しかし!狭き門をくぐってこの学校に入ってきた優秀な君達なら、必ずや達成できると信じている!」
そして、両手を大きく広げた。
その瞬間、光が回復する。
「いま一度言う!この学校を選んでくれてありがとう!君達のおかげで、我が校は創立以来の栄華を極める事となるだろう!」
丁度理事長を照らし、エンジェラルダーのような神々しさを醸し出した。
…いくらなんでも、大げさなような。
「理事長先生、毎年この話するよ」
フィアナさんが言った。
何回栄華を極めてるんだよこの学校。
「でも、生徒達からしたらどうだろうね…」
それってどういう事?
よくよく観察してみると――
「うう…一生着いていきます。理事長先生…いや、師匠!」
涙ぐみ、師匠とまで言っている。
「もはや、理事長教なんだよね。はは…」
フィアナから乾いた笑いが漏れた。
そして、止まらない拍手が沸き上がったのだった。
「理事長!」
廊下で追いかける。
「何だい?話なら聞くが…って、魔導師か。君が何か言おうとするとは珍しいな」
「今回新たに見つかった遺跡群のことについてです」
「もちろん知っているとも、君にも参加してもらおうと思っていたところだ」
「そこで、この人を連れていけないでしょうか」
この人――つまり、僕である。
「君は確か…ああ、あの"流星を切った”子か」
こんなところまで知れ渡っているとは。
「別にいいんじゃない?彼なら変なことはしないだろう」
「い、いいんですか!?」
「大学側の人員にも限りがある。増援はこちらとしても有難いことだ。よろしく頼むよ」
「いえいえ、こちらこそ」
ガッチリと握手を交わす。
このときから、僕の研究チーム入りが決まった。
「集合は明日、アル=ゼリオに集合…」
ブツブツつぶやきながら帰っている。
忘れないようにするためだ。
「こんな千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかない!待ってろよ!」
「列車の中のマナーは守ろうか」
「あ、はい。すみません…」
普通に怒られてしまった。
「神格者探しも大変だね。そもそも、今回の遺跡に神格者が本当にいるの?」
「いるはずです。多分…」
すると、呆れたように言った。
「多分か…絶対見つけるぐらいの気持ちで行きな。あそこ、ただっ広いからね」
「はい!」
「静かにしなよ」




