#107 夕食の一時
『続いてのニュースです。魔導遺跡アル=ゼリオで、新たな遺跡群が見つかりました』
時は夕暮れ、虫の音が響く頃。
そのニュースは、あのことを彷彿とさせた。
『アル=ゼリオに来て。白石湊君』
あの声、何かを伝えていたのかもしれない。
このことも、予測の内――
「ほら、手が止まってるよ!」
すると、僕の前にある食器が浮く。
「湊君が食べないのならコレは閉まっとくけど」
「ああ!待ってください…」
フィアナさんが魔法で浮かしていたのだ。
「なら早く食べな。明日も早いんでしょう?」
僕の前にストンと、落ちてくる。
「出されたものは食べる。礼儀ですよ白石さん」
カルナまで――
「ねえねえ。なんか野菜増えてるんだけど」
先輩が、料理をつつきながら言った。
「さっきまで無かったのに、まるで魔法で増えたみたいに…」
魔法と言えば…
「私は違うわよ湊君。もう大人だしそれぐらい食べるわ」
となると――
「カルナ、君がやったの?」
「いやいや、そんな事しませんよ!それに、魔法だったらルナさんも…」
すると、ルナの眼が光った。
「つまり、私がやってるっていいたいの?心覗いてもいいんだよ?」
おー怖…
「でも、それ以外の人も…」
すると、フィアナが言った。
「虚偽確認によると、嘘をついているのはカルナ」
カルナが少し驚いた顔を青ざめた。
そして――
「星巡記憶でも、おんなじ結果だね」
ルナが追い打ちをかける。
「――決まりだね。ちゃんと自分で食べなよ」
先輩が箸で野菜をカルナの皿に戻した。
「後もう少しだったのに…」
渋々、食べていた。
大人になっても一緒だと、再び思う。
「そう言えば、カルナの彼氏さんと最近会ったけど、忙しそうだったよ」
「心霊放送なんかやっちゃって、まさに"夏"って感じだったよね。もうすぐ冬になっちゃうけど…」
え、もう冬なの?
元の世界の時間感覚だと、どうしてもズレちゃうんだよな。
「やっぱり、季節が過ぎるのは早いね」
「神格者となると、ジャネーもいいところだと思うけどね…」
先輩が何やら難しい言葉を使ったので、意味がわからず首を傾けると、「白石君もまだまだ子供だね。羨ましい限りだよ」なんて言われた。
「私からしたら、二人とも子供だけどね」
結局、その勝負ではルナには勝てないのだ。
諦めてテレビを見る。
『アル=ゼリオでは最近になって次々と新事実が発見されています。今回の事でもどうなるか、期待したいと思いますね』
ニュースのコメンテーターが、まるで台本を読むように、無機質に言った。
「…僕も調査に参加さしてくれないかな」
ボソリと呟いたつもりだった。
「なら、理事長に湊君が調査に参加出来ないか聞いてみようか?」
フィアナさんには聞こえていた。
いや――むしろ好都合。
「いいんですか!?ならお願いします」
気合と懇願。
「じゃあまた明日、あの大学に行くよ」
あの大学――ラグナ国立大学。
前回行こうとした時にカルナに邪魔されたんだっけ…
「ご馳走様です」
カルナが言い、そそくさと席を離れた。
――触れないでおいてあげよう。
多分黒歴史だろうから…




