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#105 天使系

「どうするのよ!完全に迷ったじゃない!」

周囲にはただ先輩の声がこだましていた。

「私の記憶があるから大丈夫でしょ」

そうそう。星巡記憶(エターニティメモリー)はこういうのにも使える便利なスキル――

「それ、迷ったって認めたわね」

「う…」

「しかも、似たような景色ばかりだと目印も見つからないわよね?」

さすが秘書、追求もプロレベル。

「ごめん。そこまで考えてなかった」

ルナが気まずそうに言った。

「でも、記憶があるってのは良いことね。じっくり思い出してみて、なにか見えなかった?」

アフターフォローまで完璧とは恐れ入った。

「特に何も…あ!大樹はどこでも見える!」

そうか!

大樹がある方に歩けば街に着く。

「なら、一旦大樹がどこにあるのか見つけないと。ルナ、神格化して探してくれない?」

「もちろん!」

言った直後に、ルナが光りに包まれた。

白い翼に、少し大きな背丈。

「じゃあ行ってくる!」

垂直に飛び立っていった。

「彼女、便利ね」

セレナが驚嘆したように言った。

「いつか私のためにも働いてもらおうかしら」

「それはできないと思うよ。ルナちゃん基本的に白石君の言う事しか聞かないし――」

先輩が忠告する。

「それは大丈夫よ。図らずとも働くことになるわ」

「何が起きるの?」

「秘密よ。いずれ分かると思うけど」

――匂わせ発言はしないでほしいな。

「秘書さんっていつも何してるの?"社長"滅多に働かないから補助とかも何もないんじゃ…?」

働いてるの最初の時しか見たことなかったため、二人とも疑問に思っていた。

「あら。意外と多忙よ。私にも仕事押し付けてくるのは止めてほしいけど…意(・)外(・)と(・)頼りになるし」

それは事実かもしれない。

最初のドラゴンも、なんだかんだ保護してくれたときも――

「それに、社長秘書ってのも意(・)外(・)と(・)悪くないわ。ギルドの頂点に立てるのは気持ちいいわよ」

"意外と"が妙に強調されているが、きっと気のせいだろう。

「私にも、"社長"にも、守らなければいけないものは有るし…」

その横顔は、少し寂しそうだった。

そして、丁度ルナが降りてくる。

「あったよ。丁度こっち側に」

指をさすが…

「リングワンダリング待ったなしね。上で飛んでおいてくれないかしら。私たちはそれを見て歩くわ」

そっちのほうが迷うことはなさそう――

すると、自分たちの周りで異変が起きていることに気がついた。

「うん?これは…」

見ると、光の粒が2,3個、周囲を飛んでいる。

「もしかして、精霊じゃない?」

ルナが言う。

「私が今神格者状態だから、反応して寄ってきたのかも?」

光の粒は、白色や赤色などの色を放ちながら飛んでいる。

「何もしてこないのを見ると、天使系のようね」

天使系…?

首を傾げていると、ルナが説明してくれた。

「精霊には天使系と悪魔系があって、悪魔竜(デビルドラゴン)みたいなのは悪魔系なの」

なるほど、害をなすのが悪魔系と。

「天使系ってことは、系列的には"聖霊王"の眷属に当たるんだけど…今いないからね」

なにか伝えたいことがあるんだろうか?

「でも、精霊って喋れないから…」

何も分からないんだ。

すると、一つの精霊が突如まばゆい光を放つ。

「うわっ!?」

思わず、目を閉じて――

気がつけば、とある遺跡に立っていた。

荒れた雰囲気に、地面に映る紋様。

その景色には、見覚えがあった。

「アル=ゼリオ…?でもなんでだ?」

あの精霊は、一体何を――

すると、後ろに気配を感じる。

それは…

「もしかして、"聖霊王"さん?」

その人は、少しだけ微笑んだように見えた。

「ここに来て。勿論――皆でね」

少し口を開いたと思うと――再び、視界が真っ白になった。

「ちょっと!?まだ知りたいことが…」

その願い叶わず、現実に引き戻される。

「また後で逢いましょう。白石湊君」



「おい。起きろ」

顔をペチペチと叩かれる感覚。

「誰…?」

「誰とはなんだ。この俺様がわざわざ迎えに来てやったんだから感謝しろよ」

ワダツミ…

「なんだその顔は」

周囲を見渡すと、そこはあの寄宿舎だった。

「やっと起きたわね。あんなところで気を失わないで」

また気を失ったのか?

「無事で良かったけど…病院行ったほうがいいよ」

先輩にも心配された。

いや、そのことよりも…

「それより、"聖霊王"にあった!」

突拍子もない一言。

「…」

「何言ってるのパートナー。倒れたときに頭打った?」

ああ、誰も信じていない。

「とにかく、帰ったらすぐにアル=ゼリオに行こう。何かが起きるらしいから」

このことは、バカンスを終わらせてしまった。

そして――新たな旅路へと繋がるのだった。

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