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13 聖女が嫁に来たら猫人族の王になった

「うち、第四婦人なの〜?いちおう聖女やらしてもらってるんですけど?こういう場合繰り上げでうちが第一婦人になるものじゃないの〜時代劇だとそうだよ?」


 ギャルなのに時代劇が好きなのか。俺の嫁に来た聖女の真理が第四婦人だと知らされて執務室で声を荒げている。事前になにも知らされていなかったようだ。ただ、俺のところに行き嫁になれとしか言われていなかったらしい。

 

「そうは言ってもな、第一婦人の涼子はシャンプーの開発者だぞ?」

「シ、シャンプーの?それは勝てないわね…シャンプーを売って貰えなくなったらうちの死活問題だもん」


 真理が驚くのは無理もなく、涼子の開発したシャンプーは最初は猫人族のあいだで流行り、髪の毛か綺麗になった猫人族が各地に飛び回ると、その猫人族を見た世界中の人々が我先にシャンプーを欲しがった。


 その結果、シャンプーは世界的に売れている。今、うちの町は経済だけなら猫人族の王都を超えているらしい。なのに何故か俺はサラリーマンのお小遣い程度しか貰えていなかった。まぁ、大金があってもこの世界で欲しい物が無いので意味無いからいいんだが、この若さでサラリーマンの苦悩は知りたくなかったな。


「そして、第二婦人のミオンは世界最速の猫人族だ、いまでは世界の王族の重要な連絡や物を運んでいる、ミオンが運べば確実に届くからな」


 各国の重要な品物は犯罪者から狙われやすい、猫人族の配達でも成功は三割位しかなかった。それがミオンが運ぶと失敗は零になった。まぁスターゲイザーを使ったミオンを見つけることが誰にも出来ないだろうからな。


「え〜?世界の王族が頼りにしてる猫人族ってミオンっちのことだったの?無理、勝てない、うちも重要だと思うけどミオンっちはさらに重要だもん」


 ミオンの今の重要度は各国が認めている。真理がしょんぼりしている。そんな真理を見て俺は自分が知っていたギャル達と真理が違うと感じていた。


 まぁ、俺が知っているギャル達は俺をイジメてた奴らの事なんだが、あれ以降ギャルを避けてきたからな。


「じゃ、じゃあ、第三婦人なら?さすがにこの中学生より下は聖女の威厳が…」

「リオンは実質ワーウルフキングを倒した立役者だ」

「そ、そうなの〜?」

「ああ、リオンとリオンの能力が無かったら絶対倒せなかったからな」


 ワーウルフキングは歴代の勇者でも倒せなかったから、倒した俺達は世界から英雄扱いされていた。


「…わかった、第四婦人で良い…」


 肩を落として聖女は執務室を出ていく。そのあとを第一、第二、第三婦人が追いかける、どうやら、元気づけるために温泉風呂に行くらしい。


 「あの…仕事…」


 あとに残された俺は出来ない仕事の山を見て嘆くことしか出来ないでいた。現実逃避をしようと夫の立場で一緒に風呂に入りに行けないかなと一瞬思ったが、涼子の蔑んだ目が浮かびたちまち消えた。


 翌日、猫人族の王様が急遽、俺に会いに来た。なぜか執務室に座っている俺に対して部屋に入って来るなり、猫人族の王がしゃがんで頭を垂れている。


「いきなり、どうしたんですか?王様?」


 俺はその行動の理由を聞いた。


「恋次…いや、恋次様、この度は聖王国の聖女とのご結婚おめでとうございます、猫人族を代表してお祝い申し上げます」


 前回来た時に王様とは仲良くなり名前で呼び合う中になっていたが、いきなり様呼びとは?


「はぁ、ありがとうございます」

「つきまして、私に代わり我が猫人族の王になって頂くことはできないでしょうか?」

「俺が?」


 唐突な提案にキョトンとする。


「はい、ワーウルフキングを討伐し、聖女を嫁に迎えられる貴方様が猫人族の王になって頂ければ猫人族は各国に有利になります、猫人族はただの配達人と思って下に見ている人々を見返すこともできます、どうかお受け頂けないでしょうか?」


 猫人族の王様がさらに頭を下げる。俺はミオンに助けを求める視線を送る。気づいたミオンが一歩前にでた。


「恋次様、王様がここまでしてくれたのです、受け入れてくださいますようお願い申し上げます…大丈夫ですわたくし達がお支えいたしますので」


 ミオンが真摯な表情をする。


「任せて、政治も経済もあたしがなんとかするから」


 涼子が優しく微笑む。


「え?旦那様が王様になったらわたし、王族に?ゆ、夢が…」


 リオンは小躍りしていた。


「聖女のうちがいるんだから当たり前よね」


 ギャルの聖女が両手を腰につけふんぞり返る。


 ミオン達にそう言われた俺は、意を決して返事をした。


「わかりました、お受けします」


 こうして、俺は猫人族の王になった。


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