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12 聖女は女子高生ギャル

「聖王国ラ・ピースより聖女様がいらっしゃいました」


 執務室にいる猫人族の女性がそう言うとドアが開き、真っ白な修道服を着た女性が入って来た。顔立ちは美少女だがどこか俺の苦手な雰囲気を醸し出していた。


「やっほー初めましてっ、うち聖女の日高真理ひだかまり、ズッ友からはヒダマリってあだ名で呼ばれてて、異世界の日本から無理矢理呼ばれて無理矢理聖女させられてまーす、今日はなんか交渉して来いって言われて来たよーな?感じ?」

「お、おう」


 初っ端からのマシンガントークに面食らいながら両足を骨折しているので椅子に座りながら返事を返す。クラスにいたな、俺とは縁遠いこんなギャルが。


「初めまして、この町の雑務を担当してる、愛蓮涼子よ、横で苦手なギャルに口がきけなくなってる片岡恋次と一緒にあなたと同じように無理矢理この世界に呼ばれたわ」


 俺が物怖じしてると隣にいた涼子が代わりに答えてくれた。


「恋次っちに涼子っちね、やっぱりそうだと思ったーだってこの町に他にはないシャンプーがあるんだもん、絶対うちと同じ異世界からの仲間だと思ってたーうちとズッ友になろ!」

「い、いや、俺は」

「えーほまにーだめー?」

「ごめんなさい、恋次はあなたみたいな元気の良い女性が苦手なの、陰キャのオタクだから、あたしとズッ友になりましょ」


 涼子と聖女が握手を交わす横で俺は涼子に感謝をしつつ過去を思い出していた。


 始まりはクラスのギャルに告白されたことだった。涼子が好きな俺はその告白を断ったが、断った次の日からギャル集団で俺に対するイジメが始まった。


 普通のイジメはわからないようにするのだろうが、ギャルのイジメはアッケラカンと明るく公然と俺を蔑んできた。イジメは涼子がなんとかしてくれたが、それ以来ギャルの明るさが俺は怖くなっていた。


「えーほまにー?この町で一番偉いのにー?」

「ええ、ほまによ、なにせこの世界に呼ばれて一週間お風呂に入れなかったあたしの匂いを嗅ごうとしたのよ、信じられる?」


 そんなに根に持たなくても。


「それガーチャー?うちもいま一週間風呂に入ってないから、うちの匂い嗅ぐ?」

「「ぇ゙?」」


 俺と涼子が同じ声を発した。


「だってここに来るまで一週間かかったしー途中に風呂なんて無かったしー」

「…いますぐお風呂に行きましょう!」


 涼子が聖女を風呂場へと連行していった。俺は残された聖女の付き人と共に二人が帰って来るのを待つことになった。


「ふ〜さっぱりした〜決めた!あたし交渉受ける!」


 温泉風呂から出てきて開口一番に意味不明なことを聖女が言う。


「さっきも言ってたけど交渉ってなに?」

「なんでも〜ワーウルフキングていうモンスターの石がうちのいた国が欲しいらしくて〜その交渉をして来いって言われてさ〜」

「この石を?」 


 涼子の目線が端にある台の上に向かう。ワーウルフキングの魔石は執務室に飾っていた。この石を見るだけの為に猫人族の王様まで来たくらいだ。俺には用無しだが猫人族には大事な物だろう。


「ちょっとミオンに聞かないと、ミオンを呼んできてもらえる?」


 俺の意図を察してくれたのか涼子が部屋にいた猫人族女性に指示を出す。ミオンがこの場にいないのは今も忙しく働いているからだった。しばらくしてミオンが部屋に入ってきた。


「良いですよ、そもそもその魔石は恋次様の物です、恋次様が好きにしてくださって大丈夫ですよ」

「でも、王様が見に来るくらい大事な物なんだろ?」

「それは、その魔石を確認したかっただけだと思います、ワーウルフキングを討伐した証ですから、猫人族に魔石を大切にするということはありません」

「そうか、じゃあ、持っていって貰って良いですよ」


 俺が聖女に向き直りそう言うと。


「ありーじゃ、うちと交換ってことで交渉はよきまるね!」

「ん?交換?」

「あれ、言ってなかった?その石を貰う代わりにあなたの嫁になれって国に言われてさ〜最初は嫌だったけどここは温泉もあるし、シャンプーもあるし、ズッ友も出来たしうち的にありになったから〜」

 

 いや、そのズッ友が俺の好きな人なんだが。涼子を見てみると瞳に怒りが宿っていた。


「なに、その国、そんな石の為に女の子に嫁にいけなんて…許せない!そんなの守らなくて良いわよ、石は上げるから真理は嫁なんて気にしないでここに住めば良いわよ」

「ん~~それがダメなの、うちの能力、人を治せるんだけどかなりレアらしくて、この能力は婚姻で同盟を結んだ所にしか行っちゃ行けないって言われてさー」

「そう、でも、嫁なんて…」

「でも、うちが嫁に来てその足治さないと一生歩けないよ〜能力で怪我の状態わかるんだけどもう歩けないって出てるし〜」

「交渉成立ね、聖王国の人、魔石はお持ち帰りください、真理はこちらで引き取らせて頂きます」


 俺の足の状態を聞いた涼子の判断は早くその日の内に聖王国との婚姻と同盟の書類を作り上げた。


 そして、俺に四人目の嫁が出来た。



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