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14 聖女は片思いをしてくれない

「うちならいつでも抱いていいから」


 唐突に聖女の真理が正常な男子高生なら飛び上がって喜ぶ文言を俺に叩きつけてきた。


 今、寝室に第一婦人から第四婦人まで揃っている。俺の国王になるセレモニーを終え、皆でこれからのことを話し合おうと集まっていきなり真理が先ほどの言葉を言い放ったのだ


「良かったわね、成長してない物の使える機会が訪れたじゃない」


 涼子がそう、辛辣に言い放ってくる。すごい、俺を目で蔑んでいるのに顔は笑っている。


「だ、抱くわけ、な、ないだろ!」

「どして〜?夫婦になったんだから当たり前のことでしょ〜?うちだけ抱かないのはルール違反じゃない〜?」


 真理の言葉にその場にいる第一から第三婦人が黙る。


「いや、お前だけじゃなく俺は誰も抱いてなんかないぞ」

「え〜?うそ〜どして〜?もしか〜インポ〜?まだ高校生なのに〜カワウソ〜」

「俺はインポじゃない、ただそういう状況がなかっただけだ」

「そなの〜?」


 真理は第一から第三婦人を見回した。


「わたしたちにはわたしたちの事情があるのです」

「どな〜?」


 略すのがギャル用語なのか知らないがたぶん、どんなを略したんだと思う。


「まず、わたしは第一婦人の涼子様か先に済ませていただかないと出来ませんし、第三婦人のリオンはわたしはが済ませないかぎり許しません」


 リオンがわたしは別に良いのにと小声で言うがミオンの刺すような視線と笑顔に黙ってしまう。


「じゃ〜涼子が抱かれたら問題解決じゃん!」


 第二から第四婦人の視線が涼子に向く。俺も期待を込めて涼子を見た。


「む、無理よ!」

「どし〜?恋次のこと嫌い〜?」


 俺がここ十年聞きたかったことをサラッと聞く。


「き、嫌いなわけないでしょ、わ、わたしの好き嫌いの問題じゃなく恋次の能力の問題なのよ」

「それ〜どゆ〜?」

 

 たぶん、それってどういうこと?と聞いてるんだろうな。俺は自分のステータス画面を開きながら真理に説明する。


「俺の能力は相手に片思いするかされたら、相手の能力を自分で使えるようになる能力だ。ちなみに真理の能力は使えないな」

「な〜に〜それ〜うちの想いバレバレってこと〜?たしかに恋次のことは好きでも嫌いでもないけどさ〜夫婦になったからには覚悟できてるよ〜」

「お前が出来てても好かれてない女性を抱くことはできないな」

「そっか〜わかった、じゃ、うちのこと好きになったら好きにしていいから〜」


 可愛い笑顔でそんなことを言われたら男として自然に顔が緩むが、とある人の蔑む視線を感じて瞬時に真顔に戻した。


「そ、そうだミオン、能力のレベルは上がったか?」


 この片思いの能力は片思いをしている時間で能力のレベルが上がるみたいなので、涼子が上がってたから時期的にミオンも上がってないかと聞いてみた。


「はい?能力にレベルなんてありませんよ?この世界のどのどんな能力もです、過去にレベルが上がった能力なんて存在しませんよ?」

「…そうなのか、でも、見てみてくれないか?」

「はい、恋次様が言われるなら……え、えええええ!上がってます!スターゲイザーがレベル二に!」

「やっぱり、これも俺の能力だと思う、俺の片思いの能力がレベル上がるから能力を共有している相手も上がるみたいだ、ちょっと使ってみてくれないか?」

「はい…スターゲイザー!」


 能力名を唱えた瞬間、ミオンの身体が光り輝く。あまり、変化は無いように見える。


「これは…」

「どうだ?違いはあるか?」

「はい、まるで違います、今、お見せします」


 ミオンはそう言うと、瞬時に消えた。その場にいる全員で部屋を見回してもミオンはどこにもいなかった。ドアも開けられてないからこの部屋にいるはずなのだが、まったく見つけられない。しばらくして俺の背後からミオンの声が聞こえた。


「恋次様」

「うわ!」

「すみません、驚かせてしまいましたか?」

「い、いや、大丈夫だ、それより今、ずっとこの部屋にいたのか?」

「はい、いました、スターゲイザーで動いておりました、凄いです!この速度でこんなに繊細に動けるなんて!」


 いままでのミオンは直線は速く動けたが小回りはきかなかった。スーパーカーのスピードで軽自動車みたいな小回りができるようになったもんか、凄いな。


「全然見えなかった」

「お姉様…ますます化け物に…ひ」


 ミオンに睨まれ、俺の背後にリオンが逃げてくる。


「これは、でも…恋次様、恋次様と両思いになったらこの恩恵は無くなってしまうのでしょう?」

「たぶん、な」

「この恩恵は大き過ぎます、この世界に一つだけの能力は王として保全してもらわないと…恋次様には申し訳なく思いますがしばらくは誰も抱けないかと」

「やっぱりそうだよな、わかってるさ、こんな黙ってても強くなっていく能力大切にしないといけないよな、いいんだ、俺が片思いのままでいればいいだけなんだから…いいんだ」


俺は十年片思いしている女性に視線を送ったが、仕方ないわよねって顔をされて終わった。


「す〜ごい!凄い凄い!これってうちも片思いされたらレベル上がるってことだよね〜さっきの撤回〜!いま、うちのこと好きになって」

「…別に、お前が俺を好きになっても片思いは成立するぞ?」

「無理」


 いままで語尾を伸ばしてたくせに即答で答えてきた。


「うちのタイプじゃない」


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