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オカルト研究部 田中祐一 今日も怪異あり  作者: waku


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144/153

黒霧に沈む集会所

 集会所では、徐々に異変が起こり始めていた。祐一たちは集会所への帰路を急いでいた。

***山道の出口・悪霊の群れ***

 

ようやく山道を抜け出すと――。

その前には、信じられない光景が広がっていた。

 道路を埋め尽くすように、無数の黒い影がうごめいている。


 悪霊だ。亡霊だ。

その数は、数十体――いや、数百体以上はいるかもしれない。

 寮が、ハンドルを握りしめたまま呟く。

「なんてことだ……僕たちを罠に嵌めるのが目的だったのか……」

 祐一の顔が、青ざめる。

「こんなに……」


 小川も、声を震わせた。

「どうするんですか……!?」


 その時、陽菜が静かに車を降りた。

「これくらいの悪霊……私が浄化する」


陽菜は静かに車を降り、前方の悪霊たちを睨みつけながら、両手を広げた。


「霊光弾……」



その瞬間、陽菜の周囲に、数十個の光の球体が浮かび上がった。

 まるで、星々が集まってきたかのように。


 亜里沙が、息を呑む「すごい……」


 陽菜が、静かに呟く。

「行け……」光の球体が、一斉に放たれた。

 

 次の瞬間、悪霊たちが、次々と光に包まれていく。

瞬時に、数十体の悪霊が浄化されていった。

 

 悲鳴のような音が響き渡り、黒い影が消えていく。

 亜里沙が、驚愕の表情で呟いた。


「すごい……こんなに一度に……」


***連携攻撃***

 

 橘美紀も、車から降りた。そして、静かに呪文を唱える。

「朱雀よ、我が呼び声に応えよ……」

 美紀の手から、赤い炎が立ち上る。

 その炎は、次第に形を成していき――。

 やがて、数体の朱雀が現れた。

 炎の鳥が、空中を舞いながら、悪霊たちへと突進していく。

 次々と、悪霊が炎に包まれ、浄化されていった。

 

 祐一が、目を見張る。「あれが……本物の朱雀……霊府とは比べ物にならない」

 

春香も、車を降り、静かにお経を唱え始める。


「南無阿弥陀仏……南無阿弥陀仏……」その声が、周囲に広がっていく。

 

 不思議な安らぎ感が、辺り一帯を包み込んだ。

 

 すると、悪霊たちが、まるで光に引き寄せられるように、次々と浄化されていく。

 争うことなく、ただ静かに消えていった。

 

 祐一と小川が、顔を見合わせる。

「この調子だったら……」

 小川が、興奮した様子で言う。

「ここに集まった悪霊を全て浄化できそうだ!」

 祐一も、うなずく。

「ああ! これなら何とかなる」

 

 しかし、寮が、鋭い声で言った。

「いや、これも何かの罠かもしれない。急ごう」

 全員が、はっとする。

 

 寮は、真剣な表情で続けた。

「おかしい。何か……別の目的があるはずだ」

 陽菜も、同意する。「確かに……妙ね」

 

 春香が、不安そうに呟く。

「もしかして……時間稼ぎ……?」

 

 寮の表情が、さらに険しくなった。

「まずい……集会所だ……!」


 ***集会所・異変の加速***

 

その頃、集会所では、残ったメンバーたちが異変に気づいていた。

 

 照明が、ついたり消えたりを繰り返している。

峯川が周囲を警戒しながら叫ぶ。

「なんだ……これ……!?」広末が、震える声で答える。

「怪奇現象が……強まってる……!」

 星川が、札を手に取りながら言った。

「結界が……持ちこたえてるけど……

 外からの圧力が、どんどん強くなってる……!」

 松井あゆみが、全員に向かって叫ぶ。

「みんな、気をつけて……!」

 その瞬間――。

 窓ガラスが、ビリビリと震え始めた。

 扉が、軋む音を立てる。

 天井から、何かが落ちてくるような音が響く。

 東都大学のメンバーたちも、顔色を変えた。

「これは……」

「何かが……来る……!」

 空気が、一層重くなっていく。

 まるで、巨大な何かが、集会所全体を押し潰そうとしているかのように。

 広末が、護符を握りしめながら呟いた。

「早く……寮さんたち……戻ってきて……!」

 

そのとき、玄関の扉が、激しく叩かれた。

 ドン、ドン、ドン。

 全員が、息を呑む。

 峯川が、震える声で言う。

「……誰だ……?」

 返事はなかった。

 

ただ、叩く音だけが、執拗に続いていた――。


***集会所・防衛戦***


 集会所の中では、寮が持ち込んだ魔よけのお香が焚かれていた。

煙が、部屋全体に広がっている。

 

 そして、橘美紀が作成した霊符と、春香が書いたお札が、壁や柱、窓に貼られていた。

 峯川が、札を握りしめながら叫ぶ。

「今度は、前の時より、こっちもパワーアップしているはずだ……!」

 その言葉通り、扉を叩いていた悪霊たちは、結界に阻まれて中に入ることができずにいた。

 結界が、淡い光を放ち、悪霊たちを押し返している。

 

 広末が、少し安堵した様子で言う。

「本当だ……前より、ずっと強い結界ね……!」

 星川も、うなずく。

「春香さんと美紀さんの札……すごい効果だ……!」

 峯川は、すぐに浄化スプレーを手に取った。

「でも、油断はできない……!」

 そう言って、窓の外に向かって霊符を投げつける。

 

 霊符が光を放ち、窓の外にいた悪霊が浄化されていった。

次々と黒い影が消えていく。

広末も、別の霊符を投げた。「エイッ……!」

 

 また一体、悪霊が浄化される。

 

 広末が、少し驚いた様子で呟く。

「これだったら……なんとか持ちこたえられそうね……」


***連携防衛***


 松井あゆみも両手に霊力を込める。


光の球体が浮かび上がった。


「行きなさい……!」光の弾が放たれた。

 

 一体、また一体――。


悪霊が、光に包まれて浄化されていく。

 松井が、真剣な表情で答える。

「でも、何かあるかもしれない。気を抜かないで!」

 

その時、1年生の山田が浄化スプレーを手に取った。


「僕も手伝います!」山田は、窓に近づき、スプレーを噴射する。

 

 霧状の浄化液が、窓の外へと広がった。

 

 すると、霧に触れた悪霊たちが、次々と浄化されていく。

 まるで、霧が悪霊を溶かしているかのように。

 山田が、驚きながら話す。

「すごい……!今度の浄化スプレーだったら、この程度の悪霊、なんとかなる……!」

 

 東都大学のメンバーたちも、それぞれ霊符や護符を使って応戦している。

 集会所全体が、一つの要塞のようになっていた。

 峯川が、周囲を見回しながら叫ぶ。


「この調子だ……!寮さんたちが戻ってくるまで、持ちこたえるぞ……!」

 全員が、声を合わせる。


「おう……!」


***異変の予兆***


 しかし、その時、星川が何かに気づいた。

「……待て……」全員が、動きを止める。


「どうした?」峯川が尋ねる。

 星川は、窓の外を見つめながら言った。

「悪霊の数が……減ってる……」


 「え?」広末も、窓の外を確認する。

確かに、さっきまで群がっていた悪霊たちの姿が、少なくなっていた。

 

松井が、呟く「まさか……逃げた……?」

「いや……」峯川が、緊張した声で答える。

「そんなはずは……」


 その瞬間、集会所全体が、激しく揺れた。

 まるで、地震が起きたかのように。

 

 全員が、バランスを崩す。

「な、何だ……!?」山田が、恐怖に震える声で叫ぶ。


 照明が、激しく点滅し始めた。

そして、天井から、重苦しい気配が降りてきた。


まるで、巨大な何かが、集会所の真上に現れたかのように。


 広末が、顔を青くして呟いた「これ……」

 星川も、震える声で答えた。

「さっきの悪霊たちとは、別の何かが来る……」

 

 空気が、一気に冷え込んでいくのをメンバー全員が感じ取った。

 

 峯川が叫ぶ。「くそっ……!みんな、結界を強化しろ……!」

 しかし、その瞬間、結界が激しく震え始めた。

 

まるで、何か巨大な力が、結界を押し潰そうとしているかのように。

 

松井が、悲鳴を上げた「結界が……持たない……!」


***再びの耳鳴り***

 

集会所全体に、あの耳鳴りが響き渡った。

キィィィィィン――。


高く、鋭い音が、頭の中に直接響いてくる。


 松井あゆみが、頭を押さえてうずくまくった。

「痛い……頭が……痛い……!」

 

 東都大学のメンバーたちも、次々と同じ症状を訴え始める。

「うっ……!」

「頭が……割れそうだ……!」

 広末も、顔を歪めながら耐えている。

 星川が、必死に護符を握りしめた。

 

 峯川が叫ぶ。

「また……アイツが来る……!」その言葉に、全員の表情が凍りついた。

 耳鳴りが、さらに激しくなる。

 

 そして結界が、激しく震え始めた。

 バリバリと、何かが割れるような音が響く。

 山田が、恐怖に震える声で叫ぶ。

「結界が……結界が……!」

 

次の瞬間、結界が、完全に破られた。

 光の壁が、粉々に砕け散った。


 ***女性の亡霊・再降臨***

 

 静寂。一瞬の恐ろしいほどの静寂に呑まれる。


 そして、集会所の中央に、白い着物の女性が現れた。

 あの、悲しげな表情をした女性の亡霊。

 しかし、今の彼女は以前とは、何かが違っていた。

 その瞳には、深い憎悪と怒りが宿っている。

 女性の亡霊は、ゆっくりとメンバーたちを見回した。

 

そして、低く、恐ろしい声で呟いた。

「……見つけた……」

 峯川が、後ずさりする。

 広末も、震える手で霊符を握りしめる。

 女性の亡霊の口が、ゆっくりと開く。

「憎い……お前たちを……消してやる……」その声は、集会所全体に響き渡った。

 まるで、無数の声が重なっているかのように。

 松井が、震える声で叫ぶ。

「やめて……!」


しかし、女性の亡霊は、聞く耳を持たなかった。


 ***黒い霧***

 

次の瞬間、女性の亡霊の周囲から、黒い霧が噴き出した。

それは、瞬く間に集会所全体を包み込んでいく。


 視界が、一気に奪われ真っ暗闇の闇に包まれる。

 何も見えない。

 峯川が、叫ぶ。

「みんな……! 離れるな……!」

 広末の声が、闇の中から聞こえる。

「見えない……何も見えないよ……!」

 星川も、必死に声を上げる。

「こっちです……! こっちに……!」

 しかし、声だけが虚しく響くばかりだった。

 

黒い霧の中で、何かがうごめいている。

 

 冷たい気配が、すぐ近くを通り過ぎていく。


 山田が、恐怖に震える声で叫んだ。

「何か……何かが……いる……!」

 松井が、必死に霊力を集中させる。

「光よ……!」

 彼女の手から、微かな光が放たれた。

 

 しかし、その光は、すぐに黒い霧に飲み込まれてしまう。

 東都大学のメンバーたちも、闇の中で悲鳴を上げていた。

「助けて……!」

「誰か……!」

絶望的な状況に峯川が、歯を食いしばる。

「くそっ……!寮さん……早く……!」


***到着***


 その時、集会所の外に車が急停車した。

 寮たちが、車から飛び出す。

 集会所を見た瞬間、祐一の顔が青ざめた。

「何だ……あれ……!」


 集会所全体が、黒い霧に包まれている。

 まるで、巨大な闇が、建物を飲み込んでいるかのように。

 陽菜が、霊刀を抜く。

「まずい……!」

 春香も、緊張した表情で言う。

「みんな……中に……!」

 寮が、すぐに指示を出した。

「急ぐぞ……!春香、美紀、陽菜、結界を張りながら突入する……!」


「はい……!」三人が、それぞれ霊力を集中させる。

 祐一も、護符を握りしめた。

「僕たちも……!」

 小川と亜里沙も、覚悟を決める。

 六人は、黒い霧に包まれた集会所へと駆け込んでいった――。


***突入***




 扉を開けた瞬間、濃密な闇が襲いかかってきた。

 視界が、完全に奪われる。

 祐一が、叫ぶ。

「峯川……! 広末……! みんな……!」


しかし、返事はなかった。


胸の奥が、締めつけられる。


――間に合わなかったのではないか。


そんな最悪の考えが、祐一の脳裏をよぎった。


ただ、遠くから微かな悲鳴が聞こえるだけだった。

 

寮が、冷静に指示を出す。

「春香、浄化の光を……!」


「はい……!」春香が、両手を合わせる。

 そして、お経を唱え始めた。


「光明遍照……十方世界……」

 その声が、闇の中に響き渡る。

 

すると、春香の周囲から、柔らかな光が広がり始めた。

 闇が、少しずつ晴れていく。

 視界が戻ってくる。

 

そして――。

 


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