寮たちと海岸の調査へ
祐一達は、寮たちの協力の元、海岸の調査に向かう事になった。
***夜明け前***
集会所の窓から、まだ薄暗い空が見えていた。
祐一は、毛布から抜け出し、静かに身支度を整える。
周囲では、他のメンバーもすでに目を覚まし、無言で準備を進めていた。
寮は、窓際に立って外の様子を確認している。
「……今日は、いい天気になりそうだな」
その言葉に春香が小さく笑う。
「こんな状況で天気の話をするんですね」
「天候は大事だよ。霊的な活動にも影響する」
陽菜が、腕を組んで付け加えた。
「特に今回みたいな強力な霊は、曇天や雨天のほうが活性化しやすいからね。
晴れているのは、少しだけ有利かもしれないよ」
亜里沙が、装備を確認しながら尋ねる。
「でも……昨日は晴れてましたよね?」
「ああ」
寮が振り返る。
「だから、曇りや雨だったら、もっと酷いことになっていたかもしれない」
その言葉に、一同の表情が引き締まった。
***出発準備***
小川が、カメラとレコーダーを念入りにチェックしている。
「録画も録音も、バッテリーは満タン。
予備も持ってきた」
祐一は、腰のポーチに護符と結界札を確認する。
「札も……よし」
春香が「祐一さん、無理だけはしないでくださいね。
危ないと思ったら、すぐに退避してください」
「……はい」
祐一は、真剣な顔でうなずいた。
そのとき、峯川が声をかけてきた。
「部長……頼んだぞ。無事に戻ってくることが、一番大事だからな」
「ありがとう。必ず戻ってくる」
松井あゆみも、心配そうな表情で言う。
「気をつけて。私たちは、ここで待機しています」
広末が、真剣な目で付け加える。
「何かあったら、すぐに連絡してください。
できる限りのサポートをします」
***現地へ***
朝靄が立ち込める中、調査チーム――寮、陽菜、春香、祐一、小川、亜里沙の六人は、例の場所へと向かった。
車を降りると、すでに空気が違っていた。
ひんやりとした、重苦しい気配。
陽菜が、眉をひそめる。
「……重苦しい感じね」
「ええ」
春香も、警戒した表情で周囲を見回す。
「まるで……待ち構えていたみたい」
寮が、静かに言った。
「おそらく、向こうも気づいている。僕たちが来ることを」
祐一の背筋に、冷たいものが走った。
小川が、カメラを構えながら呟く。
「……嫌な予感しかしないな」
亜里沙が、深呼吸をして気持ちを整える。
「でも……ここまで来たんです。
やるしかありません」
寮は、全員を見回してから告げた。
「いいか。今回の目的は、あの女性の霊の手掛かりを探る事と、碑の再封印だ」
「戦うつもりは……?」祐一が尋ねる。
「戦闘は最終手段だ。まずは情報収集。そして……もし可能なら、成仏させる方法を探る」
陽菜が返す。「とはいえ、襲われたら容赦はしないわ」
***封印の地へ***
六人は、慎重に足を進めた。
海岸を歩き、岩場へと近づいていく。
すると――。
突然、春香が立ち止まった。
「……待ってください」全員が、動きを止める。
「どうした?」寮が尋ねる。
春香は、目を閉じて集中していた。
「……います。すぐそこに」
その瞬間――。
岩場の向こうから、白い着物の女性が、ゆっくりと姿を現した。
あの、悲しげな表情をした女性の霊だ。
祐一の心臓が、激しく鳴った。
女性の霊は、六人を見つめると――
静かに、口を開いた。
「……来たのですね」その声は、風に乗って、確かに届いた――。
そして姿が消えた。。。。
***海岸周辺・調査開始***
さらに一行は先に進み六人は、海岸沿いの険しい道を進んでいた。
波の音が絶え間なく響き、潮風が頬を撫でる。
しばらく歩くと、ごつごつとした岩場に差し掛かった。
祐一が、足を止める。
「……確か、この前は、この辺りで……悪霊に襲われました」
その言葉に、小川と亜里沙も、緊張した表情でうなずく。
寮は、岩場を見回しながら、低く呟いた。
「負のエネルギーが強いな……相当数の霊が、ここで彷徨っていたんだろう」
陽菜が、周囲を見渡す。「今も残ってる可能性は?」
「あります」春香が、真剣な顔で答えた。
「でも……それほどの数ではありません」
***封印の場所***
さらに進むと、前方に崖が見えてきた。
その崖の一角が、大きくくぼんでいる。
まるで、洞窟の入り口のようだった。
寮が、全員に合図を送る。
「あそこだな。入るぞ」
六人は、慎重にくぼみの中へと足を踏み入れた。
中は薄暗く、ひんやりとした空気が漂っている。
そして――。
奥には、大きな岩が転がっていた。
いや、転がっているというより――倒れている。
美紀が、近づいて岩を調べる。
「……これは……」
「封印の岩か?」寮が尋ねる。
美紀は、岩の表面を撫でながら答えた。
「ええ。間違いありません。
でも……自然に倒壊したみたいです」
春香も、岩の周囲を確認する。
「長年の風化と、地盤の崩壊……
それに、地震の影響も加わって、限界を迎えたんでしょうね」
陽菜が、腕を組んで呟いた。
「えっと……封印が解けたのは、誰かの仕業じゃなくて、自然崩壊だったってことね」
「そういうことになるな」寮が、静かに答えた。
***封印の儀式***
寮は、すぐに指示を出した。
「春香、美紀、陽菜。封印の儀式を行う。準備を」
「はい」
三人は、それぞれ霊符や道具を取り出し、岩の周囲に配置していく。
寮は、祐一たちに目を向けた。
「祐一君、亜里沙さん、小川君。君たちは、周囲の見張りを頼む」
「了解しました」
祐一は、すぐに入り口付近へと移動する。
亜里沙と小川も、それぞれ別の方向を警戒した。
春香が静かに詠唱を始める。
美紀も、霊符を岩に貼り付けながら、呪文を唱える。
陽菜は、結界を張るように空中に文字を描いていく。
三人の霊力が、次第に収束していく。
光が、岩を包み込んだ。
そして――。
10分後。光が消え、封印の儀式が完了した。
春香が、深く息を吐く。
「……終わりました」
「思ったより簡単だったね」陽菜が、少し拍子抜けした様子で言う。
しかし、美紀は首を振った。
「いえ……簡単すぎます。ここには、もう……あの女性の霊はいません」
寮の表情が、引き締まる。
「……どういうことだ?」
「封印されていたのは、おそらく大量の悪霊だけ。
あの女性の霊は……別の場所にいるんだと思います」
春香も、うなずく。
「ええ。ここからは、彼女の気配を感じません」
***悪霊の襲撃***
その時だった。
入り口付近で見張っていた祐一が、声を上げる。
「来ます……!」
亜里沙と小川も、身構えた。洞窟の外から、黒い影がいくつも這い寄ってきた。
悪霊だ。
祐一は、すぐに護符を取り出し、霊力を込める。
「退散!」
光が放たれ、悪霊の一体が消滅した。
亜里沙も、霊術を発動させる。
「浄化の光よ……!」
彼女の手から放たれた光が、別の悪霊を包み込み、浄化していく。
小川も、魔法の呪文を唱え光の弾を発した。
「消えろ……!」次々と、悪霊が浄化されていく。
数体――五体、六体……。
やがて、周囲の悪霊が一掃された。
「……やった……」
小川が、息を切らせながら呟く。
しかし――。
祐一の背筋に、冷たいものが走った。
「……まだだ……」
その瞬間。
洞窟の入り口に、巨大な影が現れた。
それは、黒く、うねるような形をしていた。
まるで――海坊主のような、巨大な黒い影。
亜里沙が、息を呑む。
「あれは……!」
祐一は、すぐに護符を取り出し、霊力を込めて放った。
「退散……!」
光が、黒い影に直撃する。
しかし――。
影は、まったく動じなかった。
光が、吸い込まれるように消えていく。
小川も、魔法を唱えたが、同じだった。
「効かない……!?」
亜里沙も、浄化の術を試みる。
だが、黒い影は、まるで無傷のままだった。
影が、ゆっくりと近づいてくる。
圧倒的な霊的圧力が、三人を押し潰そうとしていた。
「なんて奴だっ……!」祐一が、歯を食いしばる。
その時――。
陽菜が、前に飛び出した。
「下がって……!」
陽菜は、霊力を込め一気に霊力を解放する。
「霊光弾……!」眩い霊光の光が放たれた。
霊光の弾が黒い影を包み込み浄化されていった。
黒い影が、悲鳴のような音を立てて、消滅した。
辺りは静寂が戻った。
祐一たちは、息を整えながら、その場に立ち尽くし見守っていた。
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