ラックトップ -Luck Top-
少年は山を登っていた。険しく、道もない山を、体をボロボロにしながら。
喉は渇き、食事も数日前に取ったきり。山を降りる体力はすでに残されていない。
だから登る。登り続ける。
足場代わりにしていた岩が、ボロリと剥がれ落ちる。
咄嗟にナイフを抜き、岩の隙間にねじ込む。刃は欠けたが、眼下の雲に吸い込まれることは免れた。
――己のなかに残っていた雫が、一気に目減りする。
「本当に……あった……」
月明かりを頼りに登った先。高い山の頂上付近に、古びた城を見つけた。
蔦が這い永く閉ざされた城門が、少年を迎え入れるように音を立てて開く。
「み、水だ……っ!」
城の庭にあった池の水に、なにも考えず口をつける。
喉を潤し城内を見て周ると、一際大きな扉があった。
――最後まで残っていた雫が蒸発する。
「オマエが魔神なのか……?」
そして、扉を開けた先で少年――レオンは願いを叶えるという魔神と出会う。
『願望の魔神』ヴェラルナーラに願ったものは“運”。
運命を否定し運を願った少年と、願いを叶える魔神。
奇妙な共同生活の末に、一体なにを見るのか。
喉は渇き、食事も数日前に取ったきり。山を降りる体力はすでに残されていない。
だから登る。登り続ける。
足場代わりにしていた岩が、ボロリと剥がれ落ちる。
咄嗟にナイフを抜き、岩の隙間にねじ込む。刃は欠けたが、眼下の雲に吸い込まれることは免れた。
――己のなかに残っていた雫が、一気に目減りする。
「本当に……あった……」
月明かりを頼りに登った先。高い山の頂上付近に、古びた城を見つけた。
蔦が這い永く閉ざされた城門が、少年を迎え入れるように音を立てて開く。
「み、水だ……っ!」
城の庭にあった池の水に、なにも考えず口をつける。
喉を潤し城内を見て周ると、一際大きな扉があった。
――最後まで残っていた雫が蒸発する。
「オマエが魔神なのか……?」
そして、扉を開けた先で少年――レオンは願いを叶えるという魔神と出会う。
『願望の魔神』ヴェラルナーラに願ったものは“運”。
運命を否定し運を願った少年と、願いを叶える魔神。
奇妙な共同生活の末に、一体なにを見るのか。
プロローグ
2017/09/09 23:11
平均であり普通の何事もない生活 1
2017/09/11 00:13
平均であり普通の何事もない生活 2
2017/09/11 00:18
平均であり普通の何事もない生活 3
2017/09/11 23:01
平均であり普通の何事もない生活 4
2017/09/11 23:37
平均であり普通の何事もない生活 5
2017/09/12 23:38
平均であり普通の何事もない生活 6
2017/09/13 23:44
平均であり普通の何事もない生活 7
2017/09/14 23:36
平均であり普通の何事もない生活 8
2017/09/14 23:49
平均であり普通の何事もない生活 9
2017/09/15 23:46
兎角この世は生き辛い 1
2017/09/16 23:24
兎角この世は生き辛い 2
2017/09/17 23:42
(改)
兎角この世は生き辛い 3
2017/09/18 23:50
兎角この世は生き辛い 4
2017/09/19 23:22
兎角この世は生き辛い 5
2017/09/21 23:32
兎角この世は生き辛い 6
2017/09/22 23:42
黒花の病 1
2017/09/23 23:41
黒花の病 2
2017/09/24 23:38
黒花の病 3
2017/09/25 21:59
黒花の病 4
2017/09/27 00:14
黒花の病 5
2017/09/27 23:36
黒花の病 6
2017/09/28 23:18
黒花の病 7
2017/09/30 00:01
運の天秤が傾く先 1
2017/09/30 23:32
運の天秤が傾く先 2
2017/10/01 00:15
運の天秤が傾く先 3
2017/10/02 00:01
運の天秤が傾く先 4
2017/10/03 00:14
運の天秤が傾く先 5
2017/10/03 23:32
運の天秤が傾く先 6
2017/10/03 23:47
運の天秤が傾く先 7
2017/10/05 01:07
運の天秤が傾く先 8
2017/10/06 23:21
運の天秤が傾く先 9
2017/10/08 22:22
エピローグ――所詮この世は運次第
2017/10/10 22:52