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狩り人105

アンソニアのカマ掛けに、まんまと引っ掛かったカリン。

冗談半分のつもりで軽く告げていたのだが、思わぬ収穫にほくそ笑むアンソニア。

「酷いや」

拗ねるカリン。

困った顔のダリルである。

「それで、何を見付けられたので?」

興味津々に尋ねる。

「それを教えて、俺達にどんな得が?」

いや、交渉しだいではアンソニアに告げた方が利益が得られる可能性はある。

それはダリルも分かってはいる。

聞いた話ではアンソニアは位の高い家系の出だとか。

そして彼はダリルとの知己を得たいと考えている様だ。

彼としては貴族と親しくしたいとは思えないのだが…

此処で無下に扱っても良い事はあるまい。

だが、容易く教えて足元を見られるのは面白くない。

なので、既に交渉モードといったところか。

ダリルの雰囲気が変わった事に気付いたアンソニアはニンマリと。

「私は公爵家の末席に席を置く身でしてな。

 とは言え、家督順位は低く家督を継ぐ事は無いでしょう。

 ですが公爵家一員として、それなりの権利は得てましてな。

 既得権の無い場所に対して申請すれば、私所有とする位は可能なのです」

シラッと、その様な事を。

ダリルの目が剥かれる。

カリンは貴族の爵位について知ってはおらず、アンソニアが貴族だと分かったのみ。

彼の貴族としての地位が、どの位なのかなどは知る筈もない。

逆に、貴族に親しげに接せられるダリルを尊敬の目で見ていたりする。

そんな彼女の視線には気付いてはいるが…

ダリルにとっては、それ所では無い。

「こ、公爵…家…

 バカな、なんで、その様な高爵位の貴族様が、この様な所をフラフラしている?」

マジマジとアンソニアを見てしまう。

いや、本来は、その様な行為自体が不敬罪に当たる行為ともなる。

通常ならばダリルも直ぐに気付く事なのだが…

不意打ちに打ち明けられた内容に気が動転したとみえる。

だが、ハッと気付き、直ぐに身を正し平伏を。

平民が高位貴族と同等に接するなど、普通は無いのであるのであるから…

そんなダリルを渋い顔で見てアンソニアが告げる。

「いや、それは止めて貰えるかな?

 確かに公式な場で無闇に馴れ馴れしくされては困るけどさぁ。

 私は家督順位が、かなり低くてね。

 だから国内であれば武者修行として自由を得ているのだよ。

 まぁ、家に何かあれば戻る事にはなるけど…

 でも今は1個人のアンソニアとして自由でありたいのさ。

 そして信頼できる友たる者も探していてね」

ニコニコとダリルを見る。

平伏しながら、ギョッとするダリル。

嫌な予感が止まらないっと言った感じだろうか?

そんなダリルに気付かぬ様にアンソニアは続ける。

「無論、私は武者修行に出る程に武芸が好きでね。

 弱い者などは願い下げだ。

 だが知性の欠片も無い者は更に御免だね。

 けど、その様な素質を持つ者は、なかなかねぇ」

そう告げる彼の目はダリルを捉え微笑んでいる。

完全にロックオンっと言うヤツか?

(えらいヤツに目を付けられたぞ、これは…)

内心、脂汗ダラダラと言った感じである。

平民が高爵位の貴族と知己となるなど聞いた事も無い。

それも王族の次と言われる爵位である公爵家の者となど…

何か問題でも起こせば、即斬首となる事も。

それが平民同士では些細な遣り取りが不敬罪となる事も。

地雷原を自分に合わせブロックスクロールさせながら、そこを永遠と歩むとも言える行為。

ハッキリ言って、ダリルは勘弁して頂きたい所である。

だが、そんなダリルの内心を見抜いてか…

「はははっ。

 普段は唯の騎士アンソニアに過ぎないからね。

 逆に堅苦しいのは御免なのさ。

 だから普通にして貰えないかな?

 大体、不敬罪など適用するなら、君は既に罰せられているだろ?」

ダリルが畏まって平伏するのが気に入らないと見える。

不満気に告げるのだった。

そんなアンソニアの言葉を聞き、村で彼に接した時の態度を思い出す。

軽く冷や汗を。

だが考えるとだ、彼が罰するつもりならば既にダリルの首は落ちているであろう。

それを鑑みると、現在の状態の方がかえって拙いやもしれぬ。

そう考えたダリルは、考えを変えて平伏を取り止めた。

「それで、君が見付けた物だが…

 それが何かは知らないけどさ、取り分を5分5分としようか。

 無論、所有権は譲れないし、経費を抜いた純利益からの配当とさせて貰うよ」

その様な事を。

ダリルは、それを聞き困った様に彼を見る。

そんなダリルを不思議そうに見て。

「んっ?

 不満なの?」

そんな問いにダリルが戸惑った様に返す。

「いや、逆に厚遇過ぎてな。

 本当に、それで良いのか?」

(まぁ、所詮は口約束だしな)

その様に思うが、どちらにせよ彼方は高爵の者である。

低爵の者でも平民のダリルでは相手にならない。

故に抵抗するだけ無駄とも言えよう。

なので…

「誰にでもって訳では無いさ。

 君だからだね」

その様に告げられ観念するのだった。

そしてダリルはアンソニアに、ある了承を。

「見付けた場所から採取できる物を持って来ております。

 御覧になられますか?」

畏まって告げる彼に苦笑したアンソニアが。

「硬い、硬いよぉ。

 今迄の感じで良いからさ」

「ですが…」

「私からのオ・ネ・ガ・イじゃ、ダメかね?」

いや…

それはお願いでは無く強制と言うのでは?

溜息を吐き了承を。

カリンは目を白黒させつつ見守るのみであった。

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