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狩り人106

アンソニアのオ・ネ・ガ・イに苦虫を潰した様な顔にて苦渋の決断として同意するダリル。

今迄、散々無礼な口を利いて来た事もあり、今更と言う事でもあるが…

それでも相手が大貴族ともなれば、矢張り戸惑いは隠せない。

それは致し方あるまい。

生殺与奪権は既にアンソニアに握られていると言っても過言では無いのだ。

アンソニアがその気になれば、ダリル達は何時でも不敬罪で命を奪われる立場なのだから。

そう考えたら今更であろう。

此処で今更気を使っても何も変わらぬ。

そう開き直ったダリルが告げる。

「相分かった。

 では、そうさせて貰おう。

 それでは品を出すので検分願おうか」

そう告げ、食事を終えた後のテーブルへ品を並べる。

それを見たアンソニア。

「ヒュ~」

思わず出された品を見て。

「これは凄いねぇ。

 これらの鉱脈を?」

ダリルが鉱石を並べていると、アンソニアが告げる。

だが…

「まだだ」

そう告げ、洞窟内で採れた岩塩や薬草に茸、苔を並べて行く。

驚いた様にアンソニアが品を手に取り調べる。

そしてマジマジとダリルを見詰め尋ねる。

「君、本当に規格外だよね。

 一体、何処から、こんな品を探して来たのさ」

鉱石の鉱脈も凄い発見と言えよう。

特に稀少鉱石の鉱脈は垂涎とも言える。

だが、鉱脈は掘り進めれば何れは尽きると言えよう。

それに比べ、茸や苔などの苗床は、適切な管理を行えば尽きる事は無かろう。

しかも薬効が知られた物や、その味から高級品とされる茸。

これは尽きない財と成り得る代物なのである。

ダリルが提示した情報は莫大な財を得る可能性を秘めていると言えよう。

隠しても無駄な情報故、アンソニアに提示はした。

だが、先程と同じ条件とはならないとダリルは思っている。

得られる可能性がある富が巨大過ぎるのだ。

この様な権利において貴族が五分五分の条件提示を守るとは思えぬ。

いや、ギルドなどに報告した場合、権利などは貰えずに二束三文の報酬となったであろう。

口約束とは言え約束…そんな物は貴族と平民の間では関係ない。

全てを取り上げられても文句を言える立場では無いのだから…

だが…

「うん、これは凄いね。

 じゃぁ、約束通りに五分五分だね」

そんな事を。

驚いた顔でダリルがアンソニアを見る。

「んっ?

 どうかしたかな?」

アンソニアが不思議そうにダリルを見る。

そんなアンソニアに戸惑った様にダリルが確認を入れる。

「本当に、あの条件の侭で契約するのか?」っと。

そんなダリルに心外だとでも言う様に。

「下賎な貴族共はいざ知らず、公爵家を舐めないで頂きたいね。

 そりゃ、必要ならば嘘も吐くし謀略も行うよ。

 でもそれは、自分達の領民や守る者達の為ならばね。

 己の利権の為に口約束であろうが契約を保護にはしないさ。

 それこそ貴族の誇りを汚す所存だからね。

 三流貴族共と同等に思われたなら心外だねぇ」

少し拗ねた感じで。

しかし腹を立てている様子は無い。

なんとも掴めない感じの男である。

その後、荷物を背嚢へと仕舞い店を後にする事に。

そしてアンソニアと共にハンターギルドへと赴く。

道中にて野次馬に捕まりそうになったりしたが…

「ねぇ~ぇ、君達。

 歩行の邪魔なんだけどさぁ」

そうアンソニアが。

「うっせいよ。

 俺達ぁ、その勇者とかに用があんだ。

 邪魔すんじゃねぇ」

ゴロツキ共が。

「ふぅ~ん。

 でぇ、君達は貴族の私よりも偉い様だねぇ。

 何処の家の者なのかな?」

穏やかに告げているが…

その内容は辛辣。

だが、最初に告げた馬鹿はアンソニアが告げた内容を理解できない様で…

「んっだとぉ~」

などと言い始めるが…

「や、ヤバイっ!

 馬鹿たれ、行くぞっ!」

兄貴分らしき男が慌てて男の頭を殴り付け、ペコペコと頭を下げつつ逃げ始めた。

「ありゃりゃ、何だったでしょ~ねぇ」

なんとも暢気に。

「良い性格しているな」

呆れるダリル。

「そうでしょ~」

ニコヤカニ告げるアンソニアである。

そんなアンソニアに呆れつつ、何気にアンソニアと馴染むダリルであった。

そんな2人の後を、オズオズとついて行くカリン。

(なんでダリル兄ィはぁ、普通に付き合ってんだよぉ~)

アンソニアの身分についてダリルから説明され固まったカリン。

未だにアンソニアには慣れない彼女であった。

そんな一行がハンターギルドまでの道を練り歩く。

最初にダリルを見付けた何組かはダリル達に絡もうとしたのだが…

アンソニアが貴族だと知ると、直ぐ様逃げ去っている。

アンソニアも一々手打ちにはしない。

無論、貴族と告げて絡んで来たりしたら別だ。

その場合は権威的な問題にもなる為、即座に切り捨てるつもりである。

何気に話ながら剣の鯉口を切っていたり…

ニコヤカニ無礼打ち。

なかなか恐ろしい男でもある様で。

そんな一行がハンターギルドへと到る。

その後を野次馬がついて歩き、丸で大名行列が如し様相を呈していた。

ダリルは(目立ち過ぎだ)っと、頭を抱えたい気分である。

彼にとっては苦行に近い時間が過ぎ去り、漸くハンターギルドへと。

そしてギルド内へと入る訳だが…

ハンター用の入り口と一般向けの入り口は違う。

カリンはハンター故に、無論、此方から入る事が可能だ。

ダリルは今から加入である。

故に、当然此方から入る事に。

アンソニアもハンターギルドへ加入を済ませている。

それはコレよりダリルに同行する為、己もハンターとなった方が同行し易いと考えた為である。

そして白銀の騎士鎧は実家へと送り返している。

今はハンターに相応しい革鎧に板金を部分的に施し補強した物を纏っている。

この出で立ちならば狩場へ同行しても問題はあるまい。

こうなると、鎧を問題として同行を断る手は使えないと言えよう。

そんな3人とは違い、ハンターギルドへ加入していない物はハンター用入り口からは入る事は出来ない。

そんな者達が守衛に咎められ入る事を止められる訳で…

ダリル達の後方では大混雑が発生していたりする。

別にダリル達のせいでは無いのだが…

困ったものである。

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