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103/169

狩り人103

ロアンデトロスを狩った河原より戻ったダリル達。

洞窟にて肉と毛皮の加工を進める。

無論、カリンの鍛練も続ける事に。

此処はカリンを鍛えるには最適な場所と言えよう。

食材は豊富に存在する。

香辛料や香草に塩も十分に得られる。

此処にも林はあるが、上に登れば、そこも素材の宝庫だ。

川に湧く温泉に浸かれば疲れも癒えようと言うもの。

暫く滞在したいと思える環境ではあるが…

ロアンデトロスやボアング、それに鹿や狼の革は成るべく早く納品を行いたい。

矢張り猟師とは言え専門家が(ナメ)した訳では無いのだ。

品質劣化…いや、より良い品とする為には早めに納品した方が良いと思われる。

とは言え、持ち運びたい荷は膨大だ。

それに発見したこの地も報告せねばなるまい。

此処を隠匿し露見すれば罰せられる事にもなる。

とは言え、迂闊に報告すれば搾取されるだけ。

村長に話しても良いが、領外にて手はだせぬ。

余計に、ややこしい事態に陥る可能性もあろだろう。

それを鑑みて、村へと戻り村長へと告げるのは下策と言える。

ならば、どうするか…

良い案は浮かばぬ侭、ダリルはカリンを伴い洞窟を離れる事に。

荷の大半は洞窟へ残す事に。

持つのは洞窟内で得られる素材のサンプルと革素材のみとする。

それでも、結構な荷となる。

2人で分けて持ち運ぶが、カリンには辛い移動となりそうだ。

途中で食べ物が得られない可能性もある。

故に干し肉は、ある程度持参。

無論、水も川で汲み持てるだけ持つ。

水を得られる場所が次に見付かるのが何時になるか分からないのだから…

道無き地を下生えを掻き分け鉈で切り開き進む。

無論、成るべく下生えの無い楽に移動できる場所を選んで移動はしてはいる。

それでも山の中を移動しているのだから、楽に移動できる場所ばかりでは無いのだ。

途中で数度の野営を行い、漸く町まで辿り着く。

街道を使うよりは早い移動となる筈だったが…

狩ったロアンデトロスの処置、ボアングとの遭遇騒ぎなどなど。

思わぬトラブルに巻き込まれ、当初の予定より遥かに時間が掛かっていた。

正直、街道を移動するよりも時間が掛かっていると言えよう。

漸く辿り着いた町。

野盗や獣の襲撃に備え、櫓からの監視や見回りなどは居る。

だが町へ入るのに検問などは無い。

誰でも気楽に町へと入る事は可能だ。

ましてダリル達を見張る者など居る筈もない。

いや、居ない筈であった。

だが、町の入り口付近に店を構える軽食屋台の軒下に、ヤツが陣取りダリルを待ち構えて居たのだ。

ダリルは既に記憶の外に追い遣っていた男。

そう、あの貴族、アンソニアである。

「やぁ、随分遅かったねぇ」

気楽に声を掛けて来る。

一瞬、誰が声を掛けて来たのか分からなかったダリル。

彼の存在に気付き…渋く嫌そうな顔へと。

「おまえか…

 まだ、こんな所へ居たんだな。

 家へは戻らんのか?」

吐き捨てる様に。

ダリルが、そんな態度をとるのは珍しい。

カリンが驚いてダリルを見て尋ねる。

「誰?」

するとダリルは困った様に…

「俺に付き纏う変態だ」

っと。

それを聞いたカリンが嫌そうに…

「うっわぁ~」

そう声を上げてドン引きしつつダリルの影へと隠れる。

「ちょっと、酷くないかね?」

顔を引き攣らせながら。

「断られて避けられているのに男に付き纏う輩を変態と呼んで、何かおかしいか?」

冷たく告げる。

「ふっ。

 勇者ダリルとも呼ばれる者に興味を持っても、おかしくは無かろう?」

その様な反撃を。

ザワッ。

辺りがアンソニアの発言を聞き騒めく。

どうやら先の獣竜討伐の噂は町へと流れ、ダリルの名は人々に知られているとみえる。

「チッ」

面倒な事になったと、ダリルはアンソニアを()め付ける。

そんな事は意に介さずアンソニアは告げる。

「あれほどの武功を遂げた貴方だ。

 絶対に何かを成すと思っても良かろう?

 私は、それを見たくてね」

楽しそうに告げる。

唯でさえアンソニアと言う男は目立つ男だ。

そんな者が、この様な話題を提供するのだから、辺りが騒然となり始めている。

無駄に目立つ事をダリルは良しとしない。

故に…

「話すならば、場を替えるぞ。

 そうで無いなら、他所へ行ってくれ」

苦々しく告げる、ダリルであった。

騒ぎを嫌ったダリルの提案を受けてアンソニアも同意を。

3人は近場の雑貨屋へと。

「何故、此処へ?」

訝しく思い尋ねると…

同じく訝しくアンソニアを見る店主へ小金を握らせ…

「裏口を頼みたいのだがね」

そう告げてウインクを。

手に握らされた物を、ソッと確認した店主。

ニンマリと笑い…

「へい。

 彼方となりますので、案内しましょう」

快く了承して案内を。

それを呆れた様に見るダリルとカリン。

とは言え、表を移動すれば野次馬を引き連れる事となろう。

仕方なくアンソニアに従い移動を。

アンソニアと共に雑貨やの裏口より裏道へと。

その後は彼の案内に従い移動する。

無論、裏道へと3人が抜けた事を知った者が後を追おうとしたが、彼らが裏道へと到った頃には3人の姿は既に無かった。

そして、3人の姿はある店の個室に。

勿論、アンソニアの案内にて到った店である。

「昼食は、まだなのだろ?

 迷惑を掛けた様だから、此処は奢らせて貰うよ」

その様な事を。

中々に食えない男の様だ。

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