第4話 覚えること 前編
翌朝――。
まだ朝靄の名残が王都を包む頃、直属メイド寮では静かに一日が始まろうとしていた。
窓から差し込む柔らかな朝日が部屋を淡く照らし、澄んだ空気が静寂を運んでくる。
アイリスは制服の襟元を整えながら、小さく息を吐いた。
昨日までとは少し違う朝だった。
直属メイドとして迎えられた喜びは、もちろん胸にある。だが、それ以上に「今日から本当に働くのだ」という緊張が、心を静かに満たしていた。
鏡へ目を向ける。
映っているのは、旅を続けてきた魔法使いアイリスではない。
王直属メイド――リナ。
その名を胸の内でそっと繰り返した、その時だった。
コン、コン。
控えめなノックが扉を叩く。
「リナ、起きてる?」
聞き慣れた明るい声に、アイリスはすぐ返事をした。
「はい」
扉を開けると、リンネが腕を組みながら立っていた。
「おはよう」
「おはようございます」
アイリスが頭を下げると、リンネは満足そうに笑う。
「うん、時間ぴったり」
「新人は初日に寝坊しないか毎年ちょっと心配なんだけど、今年は優秀そうだね」
冗談めかした口調に、アイリスの肩から少しだけ力が抜ける。
「昨日は顔合わせと適性確認だったけど、今日からは本格的に仕事を覚えてもらうよ」
二人は廊下を並んで歩き始めた。
「フィオナとサリーは一昨日から少しだけ研修を始めてるけど、今日は三人一緒に最初から流れを確認するから安心して」
歩幅を合わせながらリンネが続ける。
「仕事って全部繋がってるんだ。一人だけ違うことを覚えても後で困るからね」
「はい」
その言葉に、アイリスは静かに頷いた。
一人だけ遅れているわけではない。
三人で同じ一歩を踏み出せる。
そう思うと、胸の奥にあった小さな不安が少しだけ和らいだ。
◇
直属メイド控室では、すでにフィオナとサリーが待っていた。
「おはようございます!」
フィオナがぱっと笑顔を咲かせる。
「リナさん、おはようございます」
「おはようございます」
サリーも丁寧に一礼した。
昨日よりも表情が柔らかい。
少しずつ緊張が解けてきているのだろう。
アイリスも自然と笑みを浮かべた。
「おはようございます」
三人が揃うのを待っていたように、リンネが部屋の前へ立つ。
「よし」
軽く手を打ち鳴らす。
「今日から新人研修、本番」
三人の視線が自然と集まる。
「まずは一日の流れを覚えてもらう」
壁に掛けられた予定表を指差した。
「朝は掃除」
「次に洗濯」
「昼前は寝具の交換」
「昼休憩」
「午後は給仕」
「来客対応」
「片付け」
「それから、急な呼び出しが入ることもある」
一つ説明されるたびに、予定表の文字が重みを増していくようだった。
フィオナが思わず息を漏らす。
「……こんなにあるんですか」
「もっと、お茶をお出ししたり、お部屋のお世話をするくらいだと思っていました……」
「みんな最初はそう思う」
リンネは苦笑しながら肩を竦めた。
一方でサリーは、小さな手帳を取り出し、一言も漏らすまいという真剣な面持ちで書き留めている。
アイリスも予定表を見つめた。
(覚えられるでしょうか……)
仕事そのものは苦ではない。
だが、覚えることの多さに圧倒されそうになる。
そんな心の揺れを見透かしたように、リンネが笑った。
「全部覚えようとしなくていい」
三人が一斉に顔を上げる。
「今日は流れを知る日」
「失敗して覚えればいいんだから」
少し間を置いて、穏やかに続けた。
「最初から完璧なんて、誰にも期待してないよ」
その一言が、不思議なくらい胸に染みた。
張り詰めていた気持ちが、ふっとほどけていく。
リンネは三人を見回し、いつもの明るい笑顔を浮かべた。
「それじゃ、行こうか」
◇
最初の仕事は、王城の廊下掃除だった。
朝日を受けた長い廊下は、磨き上げられた床が鏡のように光を映している。
窓から吹き込む風が、花の香りをかすかに運んできた。
「今日はこの区画をお願い」
リンネが掃除道具を配る。
「まずはいつも通りやってみよう」
アイリスは雑巾を受け取ると、自然と身体が動いた。
孤児院でも。
神殿でも。
掃除は毎日の仕事だった。
窓枠を拭き、床を磨き、家具の脚まで丁寧に布を滑らせる。
身体が覚えている動きだった。
(ここまでは同じですね……)
そう思った時、不意に廊下の端へ飾られた花瓶が目に入った。
逆光のせいで、花が少しだけ影になっている。
(少しこちらへ向けた方が、もっと綺麗に見えるかも……)
ほんの数センチ。
そう思って手を伸ばしかけた、その瞬間。
「リナ」
穏やかな声が静かに響いた。
振り返ると、リンネがこちらを見ている。
「良かれと思っても、勝手に動かしちゃ駄目」
アイリスは慌てて手を引いた。
「すみません」
「謝らなくていい」
リンネは優しく笑いながら花瓶の横へ歩み寄る。
「ここにある物には、全部意味があるんだ」
窓から差し込む光。
来客の目線。
廊下を歩いた時の見え方。
「家具も」
「花瓶も」
「絵も」
「全部ね」
「決められた場所に置かれてる」
アイリスは静かに頷いた。
「綺麗に見えるようにと思って……」
「うん。その気持ちは分かる」
リンネは一度花瓶へ視線を向け、それからアイリスへ笑いかけた。
「でも、王直属メイドは自分の美意識で仕事をするんじゃない」
「王城の決まりを守ることが仕事なんだ」
その言葉が胸に落ちた、ちょうどその時だった。
静かな足音が廊下へ響く。
イライザだった。
背筋を伸ばしたまま、一歩ずつ廊下を進み、床や窓、家具へ静かに視線を巡らせていく。
やがて花瓶の前で足を止めると、何も言わず、ほんのわずかに位置を戻した。
それから三人へ向き直る。
「王直属メイドは、自分の美意識ではなく、王城の品格を守ります」
穏やかな声が、静かな廊下に澄んで響いた。
「美しさとは、統一から生まれるものです」
それだけ告げると、イライザは再び歩き出す。
誰も叱られなかった。
それでも、その短い言葉は何より重く、アイリスの胸に残った。
花瓶を見つめながら、そっと息を吐く。
(王城では……善意だけでは足りないんですね)
アイリスは花瓶へもう一度視線を向け、小さく頷いた。
ここで求められるのは、自分なりの正しさではない。
王城が積み重ねてきた品格を守ること。
その意味を、ほんの少しだけ理解できた気がした。
◇
廊下掃除を終えると、リンネがぱん、と軽く手を打った。
「よし、次は洗濯室へ行こう」
三人は掃除道具を元の場所へ戻し、リンネの後に続く。
王城の廊下を歩くたび、すれ違う使用人たちは慌ただしくも無駄のない足取りで持ち場を行き来していた。
大きな籠を抱える者。
銀器を磨く者。
客室へ花を運ぶ者。
誰もが自分の役目を理解し、迷いなく動いている。
その姿を目で追いながら、アイリスは胸の内で小さく息をついた。
(私も、早くあんなふうに動けるようになりたい)
やがて一行は、王城の奥にある洗濯室へ辿り着く。
扉が開くと同時に、石鹸と乾いた布の匂いがふわりと漂ってきた。
広い室内には、洗い終えたシーツや制服が整然と並べられ、何人ものメイドたちが休むことなく手を動かしている。
布を畳む音。
籠を運ぶ音。
窓から吹き込む風が洗濯物を優しく揺らしていた。
「ここは直属メイドだけじゃなく、一般メイドも出入りする場所」
リンネが周囲を見渡しながら説明する。
「制服も寝具も毎日大量に使うから、洗濯室は王城の中でも特に忙しい場所なんだ」
その光景を見渡したフィオナが、目を丸くした。
「こんなにたくさん……」
視線の先には、山のように積まれたシーツや制服が並んでいる。
「毎日これ全部ですか?」
「毎日」
リンネは迷いなく頷いた。
「だから丁寧さだけじゃなく、速さも大事」
その言葉を聞きながら、アイリスも室内を見回した。
どのメイドも無駄なく動いている。
慌ただしいはずなのに、不思議と慌てた様子はない。
それぞれが自分の仕事を知り、息を合わせて働いているからだろう。
リンネは三人の方へ向き直った。
「サリー、この前練習した畳み方を、二人にも見せてもらえる?」
突然名前を呼ばれたサリーは、小さく目を見開く。
「……私が、ですか?」
「そう」
リンネは迷いなく頷いた。
「人に教えると、自分でも理解が深まるからね」
少しだけ戸惑った様子を見せたものの、サリーはやがて静かに頷いた。
「……分かりました」
そう答えると、一枚のシーツを机いっぱいに広げる。
「まず端を合わせます」
落ち着いた口調とともに、指先が迷いなく動く。
角と角をぴたりと重ね、皺を丁寧に伸ばしていく。
「次はこちらを内側へ折ります」
布は滑らかに形を変え、あっという間に整った長方形になった。
「収納棚へ入れる時、この向きにすると次の人が取り出しやすくなります」
無駄のない動きだった。
アイリスは思わず感心する。
「なるほど……」
サリーは小さく頷く。
「では、やってみてください」
三人はそれぞれシーツを広げた。
フィオナは慎重に折り目を合わせ、アイリスも神殿での経験を思い出しながら手を動かす。
だが――。
「あ……」
最後に折る向きを逆にしてしまった。
見た目は綺麗に整っている。
しかし、収納した時に取り出しにくい向きだった。
サリーはすぐに気付いた。
それでも無言で直すことはせず、アイリスの隣へ歩み寄る。
「リナさん」
「はい」
「こちらを先に折ると……」
そう言いながら、自分の手元を見せる。
「収納した時、次の人が取りやすくなります」
一度言葉を区切り、穏やかに続けた。
「一人だけの仕事ではありませんので」
その一言に、アイリスははっとした。
綺麗に畳めれば終わりではない。
次に使う人が使いやすいように整える。
それもまた、この仕事の一部なのだ。
「ありがとうございます」
礼を言われたサリーは、少し照れたように視線を逸らした。
「……母に教わっただけです」
「お母様に?」
「はい」
小さく頷く。
「家では洗濯を任されていたので」
その答えに、アイリスは少し意外そうな表情を浮かべた。
すると、横で聞いていたリンネが笑う。
「サリー、家じゃ毎日洗濯してたもんね」
「り、リンネ先輩……」
耳まで赤く染めるサリーに、その場の空気がふっと和らぐ。
真面目で堅い印象ばかりだった彼女にも、年相応の愛らしい一面がある。
アイリスは思わず頬を緩めた。
◇
洗濯室での作業を終える頃には、三人とも最初より手つきが少しだけ慣れていた。
「最初にしては上出来かな」
リンネが畳まれたシーツを見渡し、満足そうに頷く。
「もちろん細かいところはまだまだだけど、それは何度もやって覚えていけばいいから」
三人はほっと息をついた。
褒められたというより、「これでいい」と認めてもらえたことが嬉しかった。
「じゃあ次」
リンネが振り返る。
「寝具交換を覚えよう」
◇
案内されたのは、まだ誰も使っていない来客用の客室だった。
大きな窓から陽光が差し込み、白いカーテンが風に揺れている。
部屋には整えられた机や椅子、小さな花瓶が飾られ、落ち着いた空気が流れていた。
その中央には、大きな寝台が置かれている。
「今日はこの部屋を使って練習するよ」
リンネはベッドの脇へ立つと、掛け布団を静かに持ち上げた。
「寝具交換は力仕事に見えるけど、一番大切なのは丁寧さ」
布団を外し、シーツを外し、新しい物へ替えていく。
一つひとつの動作には迷いがなく、まるで長年繰り返してきた舞のようだった。
「角をしっかり合わせる」
ぱん、と布を広げる。
「皺を残さない」
掌で布を滑らせると、白いシーツはぴんと張り、美しく整った。
「最後に全体を確認」
リンネは一歩下がり、寝台全体を見渡した。
「終わり」
フィオナが思わず感嘆の声を漏らす。
「すごい……」
「一瞬でした」
アイリスも目を見張る。
ただ交換しただけではない。
仕上がった寝台からは、見ているだけで気持ちよさが伝わってくる。
「じゃあ、やってみよう」
三人はそれぞれ別の寝台へ向かった。
アイリスはシーツを持ち上げ、四隅を合わせようとする。
しかし布は思った以上に大きく、一人で広げようとすると端が床へ落ちてしまった。
「あっ……」
慌てて拾い上げる。
その様子を見たリンネが笑う。
「最初はみんなそう」
「一気にやろうとしなくていいよ」
そう言って寝台の反対側へ回り込む。
「まず一つの角を決める」
布を角へ掛ける。
「そこが決まれば、残りは自然に合わせられる」
アイリスも真似をしてみる。
一つ目の角。
次に向かい側。
すると先ほどまで暴れていた布が、不思議なくらい素直に収まっていった。
「本当ですね……」
「順番って大事なんだ」
リンネは微笑む。
「慌てると余計に時間がかかる」
その言葉は寝具交換だけではなく、仕事全体に向けられた教えのようにも聞こえた。
一方、その隣では――。
「わわっ!」
フィオナの声が上がる。
勢いよくシーツを広げた拍子に、反対側まで布が飛び、本人がその中へすっぽり包まれてしまった。
「きゃっ」
もがくたびに布が絡まり、姿が見えなくなる。
一瞬の静寂の後、リンネが吹き出した。
「あはは!」
アイリスも思わず笑みをこぼす。
サリーも口元を押さえ、小さく肩を震わせていた。
「だ、大丈夫です!」
布の中からフィオナの慌てた声が響く。
ようやく顔を出した彼女は、真っ赤になりながら髪を整えた。
「勢いよくやれば早いと思ったんですけど……」
「うん」
リンネは笑いを堪えながら頷く。
「気持ちは分かる」
「でも寝具は逃げないから、落ち着いて」
その言葉に、部屋には再び笑い声が広がった。
張り詰めていた空気がほどけ、三人の表情にも自然な笑みが浮かぶ。
失敗を責める人はいない。
だからこそ、失敗を恐れず挑戦できる。
そんな温かな空気が、この研修には流れていた。
何度かやり直すうちに、三人とも少しずつ皺なくシーツを張れるようになっていく。
リンネは一人ひとりの仕上がりを見回し、満足そうに頷いた。
「うん、最初なら十分」
「これも毎日やってれば、身体が勝手に覚えるよ」
その言葉に、アイリスは整えた寝台へ視線を向ける。
朝にはただの大きな布にしか見えなかったシーツが、今は誰かを迎えるための寝台へと姿を変えていた。
目立つ仕事ではない。
誰かに褒められることも少ないだろう。
それでも、この一つひとつが王城の日常を支えている。
そう思うと、自分の手で整えた寝台が少しだけ誇らしく見えた。
◇
寝具交換の練習を終えると、廊下の窓から差し込む日差しは、朝よりもいっそう明るさを増していた。
気づけば、慣れない作業の連続で三人とも額にうっすらと汗が滲んでいる。
「お疲れさま」
リンネが穏やかに声を掛けた。
「午前中の研修はここまで」
フィオナがほっと胸を撫で下ろす。
「もうお昼なんですね」
「覚えることが多くて、あっという間でした……」
アイリスも同じ気持ちだった。
掃除。
洗濯。
寝具交換。
どれも神殿で経験したことのある仕事だったはずなのに、王城では求められる基準がまるで違う。
一つひとつの意味を考えながら動く難しさを、身をもって感じていた。
「午後からは給仕の練習」
リンネはそう告げると、小さく笑う。
「その前に、ご飯にしよう」
その言葉を待っていたかのように、フィオナのお腹がくう、と可愛らしく鳴った。
「あ……」
本人は慌てて両手でお腹を押さえる。
「ご、ごめんなさい!」
顔を真っ赤にして俯くフィオナに、リンネは吹き出した。
「謝ることじゃないよ」
「ちゃんと働いた証拠」
アイリスも思わず笑みを浮かべる。
サリーも口元を緩め、小さく笑っていた。
緊張ばかりだった朝とは違う。
三人の間には、少しずつ自然な空気が流れ始めていた。
◇
直属メイド専用の食堂は、一般の使用人食堂よりも少し静かな雰囲気だった。
決して豪華ではない。
けれど、磨き込まれた木の机や整然と並ぶ椅子からは、清潔さと落ち着きが感じられる。
昼食には、焼き立てのパン、野菜の煮込み、香草を添えた鶏肉、それに温かなスープが並んでいた。
「おいしそう……」
フィオナが思わず声を漏らす。
「いただきます」
三人は手を合わせ、昼食を口に運んだ。
ほっとするような優しい味だった。
派手さはない。
けれど、疲れ始めた身体にゆっくりと力が戻ってくる。
「王城のご飯って、もっと豪華だと思ってました」
フィオナがパンを頬張りながら呟く。
リンネは苦笑した。
「王族やお客様の食事はもちろん豪華だけど、私たちは毎日食べるからね」
「栄養と食べやすさが一番なんだよ」
「なるほど……」
アイリスもスープを口へ運ぶ。
野菜の甘みがじんわりと広がり、思わず頬が緩んだ。
神殿でも温かな食事はあった。
けれど、こうして同じ仕事をする仲間と囲む食卓には、また違う温もりがある。
自然と会話も弾み始めた。
「リナさんは、ここにくるまでどんなお仕事をされていたんですか?」
サリーが尋ねる。
孤児院や神殿での
「掃除や洗濯はもちろんですが、お花の手入れや畑仕事もしていました」
「畑ですか!」
フィオナが目を輝かせる。
「野菜とか育てるんですか?」
「はい。季節ごとに少しずつ」
「すごーい!」
感心したように声を上げるフィオナとは対照的に、サリーは興味深そうに頷いていた。
「だから掃除もお上手だったんですね」
「いえ、まだまだです」
アイリスは小さく首を振る。
「今日だけでも、知らないことばかりでした」
「でも、それでいいんだよ」
リンネが穏やかに言う。
「昨日より今日、今日より明日」
「少しずつ覚えていけば十分」
焦らなくていい。
その言葉は今日だけで何度も聞いた。
けれど、不思議と何度聞いても胸が軽くなる。
直属メイドは、完璧だから選ばれるのではない。
学び続けられる者だから育ててもらえる。
そんな気がして、アイリスは静かに微笑んだ。
昼食を終える頃には、食堂には和やかな笑い声が広がっていた。
王城での生活は始まったばかり。
覚えることは山ほどある。
それでも、隣には共に学ぶ仲間がいて、導いてくれる先輩がいる。
その事実だけで、心強かった。
午後からはいよいよ、王直属メイドとして最も重要な仕事の一つ――給仕の研修が始まる。
アイリスは姿勢を正し、新たな気持ちで席を立った。




